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戦闘妖精・雪風が(やっぱり)面白い

読書 SF

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アンブロークンアロー 戦闘妖精・雪風

地球のジャーナリスト、リン・ジャクスンに届いた手紙は、ジャムと結託してFAFを支配したというロンバート大佐からの、人類に対する宣戦布告だった。ついに開始されたジャムの総攻撃のなかで、FAFと特殊戦、そして深井零と雪風を待ち受ける、思いもよらない苛酷な現実とは―。

名作“戦闘妖精 雪風”について。


 



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今ちょうど神林長平氏の名作“戦闘妖精 雪風”の三作目「アンブロークンアロー」を電子書籍で読みかえしてる。
やはり面白いのでネタバレなしのオススメ用雑文をひとつ。

先週、早川の電子書籍を半額で売ってましたが、今もまだ40%オフくらいなんですね(25%オフ、20%ポイント)。
買うならまだ間に合う! (なにこれ…… 

あらすじ

突然、南極に出現した超空間通路。
そこから侵攻してきた異星体ジャムの撃退に成功した人類は超空間通路の向こう側に基地を設営。
対ジャム戦を行い侵攻を食い止める専門部隊フェアリィ空軍(FAF)が日々戦いを繰り広げる。

この「通路の向こうの戦争」は、テレビに映る海の向こうの戦争と同じ「実感のない戦争」。
ジャムの侵攻は人類の危機に関わる事態だがそれを理解しているのは通路の向こうのFAFだけで、地球に住む人間は理解していないしできない。
ジャムとの戦争は長期化し、雪風に乗るパイロット深井零はジャムの正体に近づいて行く。
 
戦闘妖精・雪風(改)

異星体侵略ものって、大概デカいUFOがやってきて、ボコボコにされた人類は逆撃のミサイル撃ち込みに元パイロットの大統領が「インディペンデイスデーイ!」とか叫んで戦闘機で飛び立ちUFO倒してめでたしめでたし、やっぱりアメリカって強いねーという、ざっくり大味にTHIS IS AMERICAなローランド・エメリッヒみたいな展開を連想しやすいんだけれど、当然ながら雪風は異なる。
米国謹製大作エンタメは大味。
 
 

ジャムとの戦争

まず異星体ジャムの正体が知れない。
たしかに黒い戦闘機に見えるんだけれどジャムと呼ぶ敵が搭乗してるのかどうかわからない。
拿捕もできない。
ジャムの正体が明らかになればなるほど幻想小説というか哲学的展開にハマっていく。
神林氏の「人間と機械の境界」や「言葉と意識」といったテーマが展開される。

哲学的

意識とは何か、自分とは何か。
それを理解し己を見失わないようにしなければジャムに負ける。
抽象的な概念がよく登場するので

「われわれ人間というのは、それぞれが違う現実を生きている、ということだ。しかしジャムには、そういうわれわれ人類の世界が理解できないに違いない。ジャムにとっては、人間には人の数だけ現実がある、ということが本質的に理解できないのだろう、だから、人類という種と、うまくコミュニケーションが取れないのだ」
アンブロークンアロー 戦闘妖精・雪風

といった「フウム」な話も出てくる。
世界の認識すら違う種同士の戦争。
ジャムは大気中でFAF戦闘機と戦うからこそその姿と言うだけ、その存在は謎のまま。
 
 
もちろんドッグファイトのドンパチアクションもあるし(1作目は特に)エンタメ的な要素も当然ある。
重苦しく難解なだけじゃあないんですよね。

一応アニメ化もしてますが……原作読まずにアレ観て理解できるのかしら。
一読して損なし、価値ありの傑作SF作品。
神林作品だと「敵は海賊」の方が読みやすいけど神林氏が好むテーマ性はこちらの方が濃い。
年末年始に一気読みとかどーですかね。

ということでネタバレなしの雪風オススメ記事でした。

グッドラック 戦闘妖精・雪風