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靖国神社で爆発音 逮捕の韓国人 前日に下見か
12月9日 21時17分

靖国神社で爆発音 逮捕の韓国人 前日に下見か
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東京・千代田区の靖国神社のトイレで爆発音がして火が出た事件で、正当な理由がないのに神社の敷地内に侵入したとして、建造物侵入の疑いで逮捕された韓国人の男が、事件の前日にも神社を訪れていたことが分かり、警視庁は、トイレに不審物を仕掛けるため下見をしていた可能性があるとみて捜査しています。警視庁によりますと、調べに対し男は「よく分からない」などと供述し、容疑を否認しているということです。
逮捕されたのは、韓国人のチョン・チャンハン(全昶漢)容疑者(27)です。
この事件は、先月23日に東京・千代田区九段北の靖国神社の南門付近のトイレで、爆発音がして火や煙が出たものです。
警視庁の調べによりますと、チョン容疑者は正当な理由がないのに神社の敷地内に侵入したとして、建造物侵入の疑いが持たれています。警視庁は、付近の防犯カメラの映像から、事件直後に現場から立ち去っていたチョン容疑者を特定し、滞在していたホテルを捜索するなどして行方を捜査していました。
チョン容疑者は事件直後、韓国に帰国していましたが、9日午前に再び来日し、警視庁は羽田空港で任意同行を求め逮捕しました。
チョン容疑者は、9日午後9時前、捜査本部が置かれている麹町警察署から警視庁本部に移されました。
これまでの調べによりますと、現場周辺の防犯カメラの映像から、事件の前の日にもチョン容疑者が靖国神社を訪れていたことが警視庁への取材で分かりました。これまでの調べで、トイレの天井の30センチ四方の穴から、直径およそ3センチ、長さ20センチほどの鉄パイプ状の物4本が束ねられた状態で見つかっていますが、事件当日の朝に神社の関係者が巡回した際にはトイレに異常はなかったことが分かっています。
警視庁は、チョン容疑者が前の日に神社を下見し、事件当日の午前中にトイレに不審物を仕掛けたとみて動機を捜査するとともに、再び来日した目的などを調べています。
警視庁によりますと、調べに対しチョン容疑者は、事件について「よく分からない」などと供述し容疑を否認しているということです。そのうえで、9日に来日したことについて、「日本の記者から質問を受けて、靖国神社のトイレを確認しに来た」という趣旨の供述をしているということです。

容疑者の足取りは

捜査関係者によりますと、チョン容疑者が日本に入国したのは、事件の2日前の先月21日でした。その後、事件前日の22日には、靖国神社から1キロほどの場所にある東京・千代田区のホテルに宿泊していたことが、これまでの捜査で分かっています。また、事件の後にもこのホテルに立ち寄り、事件当日の23日に羽田空港から帰国していました。
ホテル側はNHKの取材に対し、「宿泊したことは事実だが、捜査中のことなので詳細なコメントは差し控える」と話しています。

不審物はパイプ状の物4本

靖国神社のトイレの天井の穴で見つかった不審物は鉄パイプ状の物4本で、それぞれ直径およそ3センチ、長さ20センチほどでした。捜査関係者によりますと、鉄パイプ状の物は両端にふたがされて黒いテープで巻かれ、4本が結束バンドのようなもので束ねられていました。
このうちの1本にはリード線が付いていたということです。爆発の痕跡はありませんでしたが、4本ともに内部で何かが燃焼したようなあとがあり、このうち1本には砂状のようなものが残っていたということです。
また、トイレの床からはリード線やデジタル式の表示のある時計のような物、それにハングルの表記がある焦げた乾電池が見つかりました。
警視庁はこれらが時限式の発火装置で、鉄パイプ状の物と接続されていた可能性があるとみて鑑定を進めています。

母親「なぜ逮捕されたか理解できない」

チョン容疑者の母親は、NHKの電話取材に対し、「息子が逮捕されたことは先ほど知りました。息子とは最近会っていなかったが、なぜ逮捕されたか理解できません。こんな事件を起こす子ではありません。愛国主義者でもないし、まじめに暮らしていました」と取り乱した様子で話していました。

チョン容疑者は、韓国南西部のチョルラ北道(全羅北道)・クンサン(群山)にあるアパートで最近まで1人で暮らしていました。
近所に住んでいるという女性は「そのような人が住んでいたとは全く知りませんでした。怖いです」と話していました。
韓国軍関係者によりますと、チョン容疑者は、兵役を終えてからも空軍で5年ほど勤務していましたが、ことし3月に除隊したということです。
NHKは、チョン容疑者の携帯電話の番号が分かったため、8日夜から9日朝にかけて何度も電話をかけましたが、誰も電話に出ることはありませんでした。

韓国政府の立場は

韓国外務省は「東京にある大使館に日本の警察から韓国人を逮捕したという連絡があった。捜査結果を注視している」というコメントを発表しました。
靖国神社を巡っては、以前にも神社の門に放火した疑いがあるとして、日本政府が韓国で別の罪で服役していた中国人の男を引き渡すよう韓国政府に求めたことがあります。しかし、韓国の裁判所はおととし、男を「政治犯」と認定して日本への引き渡しを拒否し、男は中国に帰国したため日韓関係に悪影響を与える結果となりました。
それだけに韓国政府内では、今回は容疑者が再び日本に行き逮捕されたため、両国の外交問題に発展する可能性は低いと判断しているとみられます。

韓国メディアの伝え方は

韓国の各メディアは、逮捕について速報などで大きく伝え、このうち公共放送のKBSテレビは、午後5時のニュースで「容疑者が日本に再び入国した理由は分かっていないが、日本の警察が主張する容疑は否認している」と伝えました。
一方、日韓関係に及ぼす影響について、韓国の通信社、連合ニュースは、かつて靖国神社に放火した疑いのある中国人の男を日本に引き渡さず、両国の外交問題になったことに触れ、「今回は身柄の引き渡しを巡る両国間の外交摩擦はいったん避けられた」と伝えました。
また、今後の見通しについて「両国政府は今回の事件が両国の外交問題に飛び火しないようにするだろう」という見方を示しています。
その一方で連合ニュースは「今後の捜査や裁判の過程で、容疑者の主張や容疑者に対する処分が、両国の世論に影響を及ぼす可能性は排除できない」とも伝えています。

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