新着順:2/465 記事一覧表示 | 《前のページ | 次のページ》

靖国神社「爆弾男」を韓国まで追いかけた!

 投稿者:東京新報  投稿日:2015年12月10日(木)07時31分16秒
  通報 編集済
  靖国神社「爆弾男」を韓国まで追いかけた!

十一月二十三日午前十時ごろ、東京・靖国神社。時あたかもその年の新穀を得たことを神に感謝し、翌年の五穀豊穣を祈願する祭祀「新嘗祭」の最中だった。
「パン」
 突如、南門そばのトイレで、爆発音が起こった。
「警察官が臨場すると、トイレの天井裏には束ねられた四本の金属製パイプが置かれ、床にはリード線が接続されたデジタル式タイマーや基板、乾電池が落ちていた。何者かが時限式発火装置を使った爆発物を仕掛けたことは明らかでした」(警視庁担当記者)

 国内の過激派によるこれまでの爆発事件に比べ、爆発物のつくりは単純で、威力も弱かった。警視庁公安部は過激派ではなく、一匹狼型(ローンウルフ)の犯人がインターネットで爆弾の製造方法などの情報を集めて犯行に及んだもの、と判断した。
「公安部が着目したのは、現場に落ちていた乾電池が韓国製だったことです。さらに、防犯カメラに、爆発音がする三十分前に現場周辺を行き来する不審な男が映っているのを確認。その男は、靖国神社から九段の坂を下りて神保町近くのホテルに向かったことがわかり、三十日にホテルを家宅捜索しました」(同前)
 やがて捜査線上に浮かびあがったのは、二十七歳の韓国人の男「Z」だった。
「出入国記録から、この男が事件二日前の二十一日に羽田空港から入国、事件当日の二十三日午後に同じく羽田空港から韓国に出国していたことが判明したのです。公安部はこの韓国人が事件に関与したとみて捜査を進めています」(同前)
 インターネットで情報を集めたとしても、航空機に持ち込めるような材料で、日本入国後わずか二日でそれを組み立て、犯行に及んだことになる。Zの周到な計画性もうかがえる。Zとは、いかなる人物なのか。
「一時、挺対協の関係者ではないかとの情報も流れましたが、ガセだったようです。日本のゲームメーカーの韓国法人に勤務しているとの情報もありますが、これも定かでありません。通常、思想的な背景を持っている人物がこうした事件を起こす場合は、何らかの犯行声明を出す。日本以上のインターネット社会である韓国なら、ネット上にZが痕跡を残している可能性も高いのですが、今のところ全く見当たらないのです」(ソウル特派員)
 そうしたなか、小誌はZの住所についての情報を入手。韓国へと飛んだ。
 全羅北道の群山市は、黄海に臨む人口約二十八万人の工業都市。ソウルから高速鉄道のKTXとローカル線を乗り継いで二時間ほどかかる。海から吹く風が冷たく気温は五度を下回る。
 目指すアパートは工場労働者らが多く住む住宅街の中にあった。ここの二階にZが住むという。部屋を訪ねると、表札はかかっておらず、ドアを開けた男性は小誌記者にこう語った。
「その人はもうここには住んでいません。二カ月前から私が住んでいます」
 この男性の言葉を信じるなら、Zは少なくとも二カ月前にはこのアパートを転居したことになる。郵便受けには公的機関からZ宛の郵便物が届いているというから、転出先を届け出ていないようだ。あえて届け出なかったとすれば、計画性の高さを物語る。
 若者向けワンルームの多いアパートは入れ替わりが激しく、入居者同士のつきあいはほとんどない。隣人でさえZのことを憶えておらず、いつ転居したかも知らないという。近所のコンビニや食堂でも、Zのことを知っている人はいない。
「Zの行方はよくわかっていません。日本から帰国後どこかに潜伏しているのではないでしょうか」(前出・ソウル特派員)
 朝鮮日報によると、Zは〇九年から今年三月まで空軍に勤務。施設課に在籍していたというから、この間、爆発物の扱いを習得したのかもしれない。
 Zの行方は杳として知れないが、韓国警察庁は地元メディアの取材に対し、まだ日本側から捜査共助の正式な要請がなく、Zについて情報を持ち合わせていないとしている。

韓国は引き渡しに応じるか

「韓国側は日本からの正式な要請があるまで、Zの活動家歴や身元確認などを行わないとしています。もっともこれは建前で、実際には潜伏先の割り出しなどを進めているようです。靖国神社が関係するだけに日韓の間で政治問題化するのは必至な事件で、日本の捜査に自発的に協力したとの印象を持たれたくないとの思惑があるのでしょう」(日本の公安関係者)
 さらに問題となりそうなのは、容疑者の引き渡しが必要となった場合だ。日韓には二〇〇二年に締結された犯罪人引き渡し条約がある。警視庁は容疑が固まれば、Zの引き渡しを求めることも視野に入れている。
 果たして、韓国側は引き渡しに応じるのだろうか。
 似たケースとして、一一年に中国人が靖国神社に放火した後、韓国に入国して日本大使館にも火炎瓶を投げつけた事件がある。
「この時、韓国の裁判所は、日本からの引き渡し要求を拒否した上で、この中国人を政治犯と見なして中国に送還した経緯があります。仮にZが政治的な目的から爆発物を設置したと供述した場合、この中国人のケースとどう整合性をつけるのか。韓国の司法当局は世論に流される傾向が強く、引き渡しに応じないことも十分に考えられます」(前出・ソウル特派員)
 日韓の新たな火ダネとなるのは避けられそうにない。

「週刊文春」2015年12月17日号
 
》記事一覧表示

新着順:2/465 《前のページ | 次のページ》
/465