米金融当局は来週利上げすべきでない-ノーベル経済学賞のマスキン氏
2015/12/10 05:06 JST
(ブルームバーグ):米連邦公開市場委員会(FOMC)は来週の定例会合で政策金利の引き上げを決定すべきでないと、ノーベル経済学賞受賞者のエリック・マスキン氏が指摘した。利上げすれば経済成長を危うくし、不均衡を拡大させる恐れがあるとしている。
マスキン氏は8日、モスクワでのインタビューで「残念なことは、利上げにより景気回復ペースを遅らせるリスクが生じることだ。小さいかもしれないが、重大なリスクだ」と指摘。その上で、米連邦準備制度理事会(FRB)のイエレン議長は「私の知らないことを知っていて、私には見えないインフレの兆候が見えるのかもしれない。だが懸念すべき要素がほとんどない状況で、なぜそれほど利上げが重要なのか私には理解できない」と続けた。
同氏はまた、利上げすれば貯蓄のある人とない人との格差を広げることになるとも指摘した。これはイエレン議長にとって単なる学問上の問題ではない。議長は3日の議会公聴会で所得の不均衡についての質問に対し、拡大に向かう「極めて憂慮すべき傾向」が示されていると答えた。ただ、そうした拡大の背景にある、鍵となる要因に金融当局が対処することはできないと説明した。
マスキン氏は「利上げが不均衡の縮小ではなく拡大に向けた動きになることを懸念している」とし、「ほとんどの人はあまり貯蓄がなく、賃金所得を当てにしている。利上げに伴う問題は、事業投資での利益性を低下させ、よって賃金生活者の状況を一層困難にさせることだ。貯蓄する人や投資家には助けとなるが、賃金所得に依存している人を苦しませる」と続けた。
原題:Nobel Laureate Says Fed Shouldn’t Raise Interest Rates Next Week(抜粋)
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更新日時: 2015/12/10 05:06 JST