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【衝撃事件の核心】
血ヘドはく「老老介護」破綻 鬼の形相で「殺せ!」と叫ぶ認知症母を殺害 長男は「ごめんな、ごめんな」と謝り続けた
見上げた母親は何も言わなかった。長男はそのまま心臓を狙って、小刀を突き刺した。母親は顔をしかめたが、ほどなくぐったりして、もう何もしゃべらなくなった。
静寂の中で、長男は母親の顔を見た。次の瞬間、はっとわれに返ったという。ほんの少し前までの鬼の姿はなく、昔見た優しい表情がそこにあった。母の遺体に「ごめんな」と、何度も何度も謝った。
自分の胸にも小刀を押し当てた。だが「勇気がなく、力が入らなかった」。一晩中、死のうともがいたが無理だった。
朝になればヘルパーも来る。大騒ぎになる。夜が明けてから、近くの交番に向かった。無人の卓上から内線電話をかけ、枚方署の担当者に告げた。「母を殺(あや)めました。死のうと思ったが、死にきれなかった」
逮捕翌日の7月9日、長男は留置場でごはんを一口食べると突然、血を吐いて倒れ、病院に運ばれた。医師の診断結果は出血性十二指腸潰瘍だった。
「殺意は強固」執行猶予認めず
家族に救いを求めることはできなかったのか。長男には、いずれも40代の娘と息子がいた。
だが、娘とは10年くらい前から音信不通になっていた。息子は同じ枚方市内に住んではいるが、お盆か正月にたまに顔を見せに来る程度。祖母とは折り合いも悪かった。
「一生懸命仕事しているのに、足を引っ張ったらあかん」と、母親の介護について息子に相談したことはなかった。息子は祖母が認知症だったことを事件が起きるまで知らなかった。
息子は公判で、事件の原因について「周りの家族が気付かなかったのが一番だと思う」と証言し、自分自身の至らなさを悔いた。「唯一の父なので、大切に生活していきたい」と社会復帰後は同居することも誓った。ただ、息子自身も現在は無職で、求職中の身だという。
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