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せまひろかん

映画のこと、アニメや漫画のこと、個人的な考えをのっけてます。

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なぜ「記事のタイトル」を見ただけで本分を読んだ気分に陥るのだろう

コラム

124/365 Mini liest eine Zeitung / Mini reads a newspaper

@Sanyontamaです。

ブログをやっていると記事のタイトルに悩むことが多い。記事本文は完成したのに、延々とタイトルだけが完成せずに下書きに保存されたままの記事も存在している。タイトルと言うのは記事の顔であり、つまり記事のアクセス数を決定する神のような存在なわけだ。

こんなニュースが話題になった。

フィンランド、国民全員に800ユーロ(約11万円)のベーシックインカムを支給へ

http://www.businessnewsline.com/news/201512071631370000.html

 遂にベーシックインカムを導入する国が現れたのか、と日本中が大注目した。
だけどこれは誤報だった。フィンランド大使館公式ツイッターが「導入を検討」と訂正報道するありさまだった。

ベーシックインカム決定というインパクトもあり、タイトルだけで飛びついた人も多いだろう。
記事を読むと16年11月までに導入の最終決定を行うと記されている。ただし、この16年11月と言う表記も誤りのようだ。そのあたりをまとめた記事があったので紹介しておく。

フィンランドがベーシックインカムをはじめるのは誤報である、実はみんな一次ソースに興味ない - ネットロアをめぐる冒険


このベーシックインカム誤報が、あたかも正式決定かのように世間で扱われてしまった理由は「大多数の人はタイトルしか読まない」せいだろう。
ブログを執筆していると分かるがタイトルという物は非常に大事だ。タイトルだけで記事への印象がガラリと変わるし、アクセス数も変化する。

タイトルだけで満足してしまう。そんな人は増えている気がする。これは昔から言えることかもしれない。新聞の一面記事なんかも同じだろう。
「○○が閣議決定」という大きな文字が記されていると「あ、決まったのか」と瞬時に理解できる。それを見ただけで満足してしまい、記事本文を読まない人もいるはずだ。
新聞をペラペラと捲り大きな文字、つまり見出しだけを読んで満足してしまう人は昔から存在しただろう。

ネットニュースも同じだ。
「○○と××が熱愛」との見出しがあれば「えー、付き合ってんのか」と本分を読むまでもなく理解できてしまう。
「○○が国際大会優勝」とあれば「ああ、優勝したのか」と満足する。

ネットニュースは新聞と違い、記事タイトルだけがずらりと並んでいる事が多い。色々なニュースが手に入るが、わざわざ本分まで目を通す人は少ない様に思える。
なぜそんなことになっているのか。それは「記事がタイトルで完結」してしまっているからだろう。

ベーシックインカム騒動も記事がタイトルで完結しているから発生してしまった。

フィンランド、国民全員に800ユーロ(約11万円)のベーシックインカムを支給へ

このタイトルは隙のない完結っぷりだ。決定したと思い込んでしまうのも無理はない。本文を読む必要性を失わさせるほどに完結してしまっている。
支給対象、支給額。必要な情報ほぼ全てがタイトルに登場してしまっているから、ますます本文を読む必要性を感じさせなくしている。必要な情報が出揃っていて、タイトルが本文の総まとめになってしまっている。だから、あたかも本文を読んだ気分にすら陥ってしまうのだ。

仮に「フィンランド、国民全員に800ユーロ(約11万円)のベーシックインカムを支給へ?」と疑問符の一つでもつけられていたら、詳細を読みたいとの気持ちが湧いてくるはずだ。

タイトルで全ての意思決定が行われてしまう。
疑問符のあるなしで、詳細読破への意欲が大きく変化してしまうわけだ。
基本的にネットニュースはタイトルだけで完結していることが多い。詳細なんて読む必要もない記事ばかりが量産されている。

「あかつき」金星軌道投入に成功 NHKニュース

このニュースだってタイトルで完結してしまっている。伝えたい事柄がタイトルに登場しているから、本文まで読む必要性を感じさせなくしてしまっている。宇宙に興味のない人からしてみると「ああ、成功したのか。おめでとう」とタイトルを見ただけで満足してしまうだろう。

タイトルを見ただけで本分を読んだ気分に陥る問題。詳細を目にしない読み手の姿勢も悪いのだが、タイトルの付け方がよろしくない書き手側が最も悪い。
タイトルで印象が180度変化してしまう。情報操作の意図のあるなしに関わらず、自然と完結したタイトルを採用してしまう人も多いはずだ。

個人ブログではないのだ。ニュースサイトなんだから本分までしっかりと目を通したくなるタイトルをつけてもらいたい。
そして、読み手も本文に目を通すことを心がける。相互の意識を改革する必要があるのかもしれない。