政権批判の「アベ政治を許さない」との文言が入ったクリアファイルが高校の職員室で目撃されたのは、公務員の政治的行為を禁じた人事院規則違反の恐れがあるなどとして、ファイルの配布・使用の実態を調べていた北海道教育委員会は9日、道内15校でファイルが机上に置かれていたとの調査結果を発表した。
道教委は札幌市を除く道内の公立小中高、特別支援学校約1700校の教職員約3万9千人を対象にアンケートを実施。
配布の目撃情報はなかったが、15校で「ファイルが職員室の職員の机上に置かれていたのを見た」「ファイルが机の上の本立てに立ててあったので持ち帰らせた」などの回答があった。道教委は「法令違反はなかった」と説明している。
道教委は、ファイル配布は人事院規則違反に該当する恐れがあり、ファイルが児童・生徒や保護者の目に触れれば政治的中立性が確保されていないとの誤解を招く恐れもあるとして、配布や使用の状況を10~11月に調査。調査のきっかけは道議会委員会での自民党会派議員の質問だった。
道教委は今後、各学校に政治的中立性を保つよう指導通知を出し、組合員約1500人にファイルを配布した北海道高等学校教職員組合連合会(北海道高教組)に口頭で申し入れるという。
北海道高教組は「道教委は政治的圧力に屈し、人事院規則に違反する恐れがあるとするだけで調査を強行し、教職員の萎縮を招いた」と反発している。(共同)