■エピローグ〈4〉対話

 韓国で人気の男性音楽グループ「EXO(エクソ)」。先月14日にライブがあった京セラドーム大阪の周辺は、開演3時間前から若い女性たちで埋め尽くされた。

 チェック地のシャツを着た2人組は、3日間のライブすべてに行くという。「魅力? あのダンスを一度見たらやばい。誰でも好きになるでしょ」「すぐに泣くのがかわいい」

 3年前に韓国と中国でデビュー。日本ではこのライブの10日前にCDデビューしたばかりだが、若者たちはすでにネットで韓国のテレビ映像を楽しみ、ツイッターで最新情報を得ていた。

 EXOのライブと同じ日、東京ドームを沸かせたのも韓国の音楽グループ「BIGBANG(ビッグバン)」だった。昨年の日本でのコンサート動員数は、1位の「EXILE TRIBE」と3位の「嵐」の間に割り込み2位(「日経エンタテインメント!」調べ)。この日もチケットは完売した。

 2004年にNHK総合が放送した「冬のソナタ」以降、押し寄せる文化の流れはとどめようがない。韓流ブームは中高年の女性が支えたが、いまファン層は若い女性にも広がる。

 K―POPファンを公言する日本の芸能人も少なくない。元AKB48でタレントの大島麻衣(28)は母親の影響を受けたという。「韓流はマダムのたしなみと思ってたけど、私もハマってしまった。魅力は男の子たちの透明感が強いところ」。韓国語を学び、ツイッターにはハングルも書き込む。

 「30年前、韓国に関心を持つ日本人は少なかった」。長く日韓を見つめてきた京大教授の小倉紀蔵(きぞう、56)は26歳のときに韓国を旅し、軍事政権をひっくり返そうとする民衆のエネルギーに魅了された。