特別編 ~熱い!楽しい!立教女学院の中高合同体育祭~
ピカチューが跳ねる。
チアリーダーが踊る。
学ランが弾ける。
セーラー服が舞う。
午後一番のプログラムは応援合戦です。全校が5色のチームに分かれて、それぞれのチームごとに音楽に合わせた創作ダンスが繰り広げられます。ただ見ているだけなのに、何だか気持ちが高揚し、わくわくさせられてしまいます。さすがに全国にその名を馳せるダンス部を擁する立教女学院と思いきや然に非ず、ほとんどが有志だということです。中でも受験生を含めた高校3年生がその半数以上を占めるというから驚きです。昼休みなどに練習を重ねてきたそうですが、完成度の高さには目を見張るものがあります。
「高校3年生にとっては情熱を傾けられる最後の全体行事なので、みんな張り切っています。立大の推薦を希望しないで他大学へ向かう生徒も、よりエネルギッシュに参加しています。」と山岸教頭。これが終わると受験へまっしぐらということからでしょうか、彼女たちの活き活きと躍動する姿は「後悔」という言葉を寄せ付けない、凛とした清々しさに満ち溢れています。飛び散る汗の滴が美しく光輝きます。応援団に向かって下級生から大きな歓声があがります。演じる側も見る側も一切の手抜きがありません。全校が一丸となって創り上げている熱い空間にぐんぐんと引き込まれていきます。
生徒の自主運営による完成されたプログラム
プログラムは流れるように進みます。すべての段取りが良く、見るものを飽きさせません。これは競技ごとに配置や進行に関しての決め事が詳細に記された『体育祭ルールブック』に従って運営されているからですが、このルールブックもすべて生徒の手作りです。先生はアドバイスをする程度で、基本的にはすべて生徒に任せられています。『自主・自立』を標榜する立教女学院の教育姿勢に生徒がしっかりと応えていることが、現実のものとして目の前に繰り広げられているのです。
みんな本当に一生懸命、それが実に格好良い!
中高部活リレーでは東京一俊足の生徒も走ります。中3の40人41脚では勢いあまって繋がったまま転んでしまう生徒たち。多少の怪我をものともせずに決勝へ進んだチームの掛け声はさらに大きく力強くなっています。
高3生全員による創作ダンス―竜に翼を得たる如し―では一転して水を打ったように場内が静まり返ります。音楽のほかに聞こえるのは踊る生徒のステップの音と衣擦れの音だけです。静かで熱い幾多の視線が注がれる中、まさに竜が翼を得たかの如く力強く、しなやかに舞う生徒たち。高2から1年間かけて作ってきた学校生活の集大成です。彼女たちはその強く、澄んだ視線の先に何を見ているのでしょうか。
最後は中高の各学年から選抜された生徒による2400mリレーです。みんな一生懸命走り、必死にバトンを繋ぎます。応援席では勝ち負けに関係なく一人ひとりの走者に精一杯の声援を送り続けます。こうして全校が一生懸命、熱く燃えた体育祭の幕は下りていきました。
一人ひとりはとても良い子であるのに、集団活動はうまくできない、あるいは敢えて斜に構えて格好つけてみるといった生徒が増えている現代において、一生懸命に前向きに取り組む姿がこんなにも感動をよぶほどに格好良いものなのだということをあらためて教えられた一日でした。
【初出:NettyLandかわら版2008年12月号】
(藤崎 正彦)