・武漢艾可亜人材諮詢有限公司
                                                                                                                  1.中国が主導するアジアインフラ投資銀行について 2.米国出張報告
                                                                                                                  以下ヤフージャパンの記事もあります通り、アジアインフラ投資銀行の動きが注目されております。日本のテレビのニュースでも随分と注文されておりますね。

                                                                                                                    「中国は戦わず日米に勝つ AIIB」
                                                                                                                      http://news.yahoo.co.jp/pickup/6155010


                                                                                                                   最初は、冷ややかに見ていた日本も、最終的には、イギリス、フランス、ドイツ、イタリアを含めた48カ国が参加を表明するに至り危機感を募らせているということなのでしょうか。
                                                                                                                   軍事的には米国とは同盟関係にある英国が、米国の権益に反する動きをするという点については、どういう背景、駆け引きがあるのは私はよくわかりません。ただ、イギリス、フランス、ドイツ、イタリアとも、経済的には中国は大のお得意さんで、日本とは競合関係にあります。
                                                                                                                  そうした意味では、そうした国が経済的にも影響力を増し、特に今後アジアにおいては経済のみならず政治的にも影響力を増やしてゆくであろう中国にこの時点で一票を投じておく意味が理解できるような気がします。
                                                                                                                  そうした欧州の国々の政治の発言を見ていても、中国に媚を売っているのではないかと思えるものもあるくらいですから。今後、アジアにおけるインフラ投資の分野の情報は、参加国に優先的にもたらされるでしょうから、この分野では確実に日本企業は後手に回りますね。
                                                                                                                  ただ、ここで紹介されている産経新聞の記事にある「上海の大学教授は、「(日米に対抗する)21世紀の『孫子の兵法』だ」と評した。」というのは、やや悪ノリの感ありで大げさな話なのではないでしょうか。
                                                                                                                  もし、本当に「孫子の兵法」を運用するのであれば、これは孫子の兵法だなどとわざわざ言わないと思います。多分、中国政府としても迷惑な話だと思います。

                                                                                                                   日本のメディアで紹介される論調を見ていますと、アジアにおける主導権争いのなかで、米中主導で日本が表に出ているアジア開発銀行に対する中国の挑戦みたいな分析になっておりますね。
                                                                                                                  日本は又しても中国にやられているみたいな。確かにそのような見方もできるとは思いますが、最近のニューズウイークに面白い分析がありました。シャノン・ティエジーという方の署名入り記事です。

                                                                                                                  1.アメリカは、米主導の世界銀行やアジア開発銀行の存在意義を脅かす事態を恐れていた。
                                                                                                                  2.だが、アメリアが同盟国に不参加を呼びかけること、又、警戒心をあらわにしたせいで、AIIBは米中の対立を象徴する存在となってしまった。
                                                                                                                  3.又、参加を表明したイギリスをアメリカは強く非難したが、それは帰ってアメリカの無力さを際立たせる結果となった。
                                                                                                                  4.AIIBは、各国が国際的は影響力を競う場に格上げになったが、米国はその戦いにも敗れつつある。
                                                                                                                  5.AIIBの統治体制には多くの懸念があるが、完全に中国の支配下に置かれる事態を回避するには、むしろアメリカのは同盟国を参加させたほうが得策。
                                                                                                                  6.アメリカは、参加を見送る一方、同盟国に不参加の圧力をかけるのをやめることが最良の道かもしれない。「成功するにせよ失敗するにせよAIIBに任せておく」のがよい。
                                                                                                                  7.中国は現代版シルクロード経済圏を構築の構想を進めており、これからも影響力の拡大を図ってくるが、同盟国に圧力かけるよりももっとましな方法を模索すべきだ。
                                                                                                                  8.中国主導の構想に自らを加わることを本気で検討すべきである。


                                                                                                                   なるほど米国でもいろいろな見方があるようです。日本は、米国主導の金融体制のなかで、アジア開発銀行を通してアジアの代表としてメンツをたもさせてもらっていた部分もあるでしょうから、そう簡単に引けないというのは米国と同じかもしれませんね。
                                                                                                                  でも、米国以外の世界の有力国が中国になびいてゆく中で、日本も米国一辺倒ではなくうまく調整できる余地はないものでしょうか。

                                                                                                                   この原稿を書いておりました出張の最終日にシカゴにおりますときに、香港のフェニックステレビのディレクターから連絡があり、AIIBについての番組を収録するので、意見を表明できる金融界の日本人を紹介してもらいたいとの連絡がありました。
                                                                                                                  あいにく私が知っているライトパーソンは都合が悪くて収録に参加できなかったのですが、若干意見交換をすることができました。
                                                                                                                  今回番組に出演する中国の専門家の意見を総合すると、本日、米国の財務省の高官が北京にはいり中国と意見交換をしているが、米国は議会が承認しないので、AIIBの参加はあり得ないと分析しているとのことでした。それに伴い、日本の参加のあり得ないと見ているようでした。 

                                                                                                                   この話を今回米国出張で一緒だった顧客企業の中国人幹部にしましたら、中国はもともと日本にも参加を呼びかけていたそうですね。それも、重要なパートナとしての位置付けで。私は勉強不足で知りませんでしたが、日本につきましたらその辺の経緯を確認してみようと思います。

                                                                                                                   日本の国としては微妙な立場にあると言えますが、私個人としては、このような国際的な金融機関を同じアジアの国である中国が設立したことに隣国の国民として評価し、お祝いの言葉を述べたいくらいです。
                                                                                                                  日本は戦前においては、国際的には、台湾、朝鮮を併合し、満州国を設立することで、列強と同じく植民地支配と軍事力でアジアにおける権益と発言力を確保しようとしました。
                                                                                                                  戦後は、米国の傘の下に入り、経済的に発展することによりアジアにおける一定の権益と発言力を確保しました。もちろん時代背景が違いますが、いずれの場合でも、国際力学の調整を意識しつつ、世界の有力各国の相乗りでアジアの発展に貢献し、発言力を確保することはできていなかっと思います。
                                                                                                                  アジア開銀は、歴代日本がトップを務めておりますが、あくまでも米国主導の金融秩序における日本の立場でしょうから、主導の度合いは中国の場合と随分と違うのではないでしょうか。
                                                                                                                  そういう意味で、アジアにそのような銀行がアジアの国により初めて設立されたということは、アジアの人々にとっては好ましいことであると前向きに捉えることはできないでしょうか。
                                                                                                                  もちろん、米国も懸念するように、中国が周辺国に恣意的に影響力を行使したり融資条件が環境や人権への配慮を欠くことがあってはありませんが。

                                                                                                                   又、アジアに対する影響力という意味では、これにより中国の影響力がより強まるということは間違いないと思いますが、日本は焦る必要は全くないのではないでしょうか。
                                                                                                                  国際的な影響力とは、より本質的な国力により長い時間をかけて自ずと滲み出てくるもので、それには、経済力のほか、文化、教育、芸術、モラル、国民の幸せ度、そして軍事力も含まれるのではないでしょうか。
                                                                                                                  ですから、隣国の成果にいちいち目くじらを立てずに、余裕を持って、安部首相もおめでとうの電報でも打ってあげるくらいの余裕を示してもらいたいと思います。
                                                                                                                  日本は中国と同じ土俵で競ってもしょうがないですし、日本が中国がまだまだ追いつけない優位性も色々とあると思いますので、余裕で我が道を行けばよろしいのではないでしょうか。

                                                                                                                   そんなことはまずあり得ないと思いますが、他国が参画するのを横目て見ながら、自ら焦って参画を申し出るのやめた方がいいと思います。
                                                                                                                  中国に足元を見られていいように利用されるだけです。ただ、上記のニューズウイークにあった記事にあったように、米国が同盟国に対する圧力を弱めるようなことがあれば、状況が変わったと言ってすました顔して参加したらいいのではないでしょうか。
                                                                                                                  米中は互いに牽制しあいながらも手をつないでいる部分もありますからね。今も、北京で財務省の高官と何を話しているかわからないですよ。
                                                                                                                  AIIBは米ドルを基軸にしているとのことですので、そういう意味では米国の覇権の枠組みに入っている部分もありますしね。


                                                                                                                  2.米国出張報告
                                                                                                                    
                                                                                                                   先々週より2週間米国出張いたしましたので、米国で見聞した事、感じたことをご報告いたします。今、最終訪問地シカゴのホテルでこの原稿を書いています。外はマイナス3度です。本日は気温27度のオーランドから飛んで参りましたが意外と平気でした。

                                                                                                                  (1)UCSB中村修二教授との面談。
                                                                                                                   最初に、カルフォルニアのサンタバーバラに中村教授を訪ねました。前々から遊びに来るようにお誘いを受けていたのですが、なかなか機会がありませんでした。
                                                                                                                  今回、以前本コラムでも紹介いたしました中村教授と一緒に訪問したことのある日本のある中小企業のオーナーと別件でロスアンゼルスのUCLAを訪問することになりましたので、このオーナーと一緒にノーベル賞受賞のお祝いも兼ねて訪問させていただきました。

                                                                                                                   ロスアンゼルス空港からほぼ海岸線の沿って100マイルあまりの道のりを2時間半掛けて西に参りますとサンタバーバラの町につきます。大学はサンタバーバラのダウンタウンから更に西に10マイルほど行った岬の一体に広大な敷地を有しております。
                                                                                                                  中村教授の研究棟は、大学の工学部の一角にありますので、大学というよりもハイテク工場の一角という感じです。会議室に出てこられた中村教授は、ポロシェツ、チノパンツにスニーカーというとてもリラックした服装で、現れました。
                                                                                                                  会議室で少し話をしてから研究施設を案内いただきましたが、最先端の設備を備えたクリーンルームは100億円をかけた施設だそうで、全米でも屈指の施設とのことでした。

                                                                                                                   夜は先生にご手配いただいたダウンタウンのフレンチレストランでお祝いの会をいたしました。日本ではなかなか手に入らないカルフォルニアの最高級ワインが日本の価格の小売値の三分の一以下の価格でこのレストランで手に入り、中村先生にも大変気に入っていただけました。
                                                                                                                  ワインの勢いもあり、話も弾みましたが、ノーベル賞の受賞の時のテレビの映像を見ていました私の感想を「なにか居心地が悪そうで早く帰りたそうな顔をしてましたね」といいましたが、「よくわかったね」と感心していただけました。
                                                                                                                  先生としては、大げさに言えば受賞を辞退したほうがいいのではないかと感じることもあったそうですが、受賞をすると大学で授業をしなくてもいい権利を得るそうで、それを考えて必死に我慢して授賞式の日程をこなしたそうです。
                                                                                                                  さすが中村教授我々凡人が考えることとはレベルが違います。「受賞されてから発言が丸くなれれましたね」という問いかけに対しては、自分としては相変わらずのつもりと申されておりました。
                                                                                                                  受賞の裏話もいろいろ聞けましたが、ここでは言いにくいので、皆様にお会いしたときにでも。

                                                                                                                   米国における大学における教員のあり方についてもいろいろ貴重なお話をお伺いすることができました。教授の仕事の大事な部分は資金調達することだそうで、教授の実力はそこでも判断されるとのことでした。
                                                                                                                  特に理工系では、研究開発の提案を企業にし、企業に資金を提供させ、研究開発の成果は企業にも還元するわけです。逆にそれができない研究者は、教授にもなれず、何年かたつと肩たたきを受けるそうです。
                                                                                                                  総じて言えば、米国の大学では、教授も独立採算の個人事業主、自分の研究開発に対して、リスクを負い、そのリターンも享受する、そうした中でも世界で屈指の成果をだしている体制を維持している点は素晴らしいと思いました。

                                                                                                                   また、どのような脈絡でそのような話に至ったのは忘れましたが、日米中韓の現在のポジションと文化習慣の違いに及び、中村教授より、韓国の日本に対する態度に関し高田はどう思うのかと聞かれましたので、以下の通り回答しました。
                                                                                                                  「韓国は中国と米国という大国の間に挟まれて、常に大国の顔色を見ながらしぶとく生きてきた国ですよね。日本の弱みもよくわかっていて、そこはしっかり突いてくるけど、日本が下手に反論してもエスカレートするばかりで何にもならないのではないでしょうか。
                                                                                                                  まずは、日本が米国とそして次に中国と大人の付き合いをできるようになれば、韓国も自ずと日本に対する態度を変えてくるのではないでしょうか。」ということで、皆様から特に反論もなく、デザートとコーヒーが出てきましたので、熱い議論もこの辺で打ち止めとなりました。

                                                                                                                   ホテルはそこから更に車で30分くらいのソルバンクという町にとりました。中村教授からなんでそんな遠くにとったのかと言われましが、実はソルバンクには多くのワイナリーがあり、時間があったら回ってみたかったのです。米国映画Side Waysの舞台にもなった町です。
                                                                                                                  海岸線から5キロか10キロくらい入って丘陵地帯にあり、オランダ風のまちづくりをした静かでのんびりした町でした。翌日は、朝8時からホテルから車で2〜3分のところにあるゴルフ場でゴルフをしたので、ワイナリーは巡ることができませんでしたので、また次回の機会にと思います。
                                                                                                                  ゴルフ場は自然の環境を存分に生かした素晴らしいゴルフ場で、地元のお年を召したご婦人方が優雅にゴルフをされておりました。プレー代は貸しクラブも含めて60ドルでこの辺では安いところのようです。

                                                                                                                   
                                                                                                                  (2)オーランドに展示会に参加して思うこと
                                                                                                                    
                                                                                                                   その後、ロスアンゼルス、ダラスを経て、フロリダのオーランドに参りました。NPE2015という世界で最大級のプラスチック関連の展示会に上海のお客様が初めて出店するので支援するためです。今回改めて思いましたのは、中国市場が如何に国際市場であるかということです。
                                                                                                                   
                                                                                                                   ブースに立っていますと北米ばかりでなく、中南米と欧州のお客様も参りますが、その他中国、台湾の顧客様で米国に進出している企業も多く来られました。いずれもお客様も中国にも工場を持っていて、私のお客様の製品を使っているまたは知っている外国企業ばかりでした。
                                                                                                                  ある台湾企業は、米国でも対応してくれるのなら米国工場にすぐにいれたいので展示品を売ってくれないかとか、又、ある欧州企業は、メキシコと欧州に工場をもっているので対応できないかとか、そういう話が多かったと思います。
                                                                                                                  中国は世界のプレーヤー競い合う場所であるので、中国で一定の市場を持つことは同時に世界に市場を持つことにもなる訳ですね。
                                                                                                                  また、話を聞いていると、中国で標準化したラインを中国以外にも持って行きたいという発想がベースにあると思いました。こう見ていますと、日本、中国、アジアで伸び悩んでいる日本企業も、中国を足掛かりに世界に目を向ければまだまだ成長余力はあるともいました。

                                                                                                                   今回の展示会のために上海から来たのは、私を含めて14人ですが、そのうち日本人は私を含めて2人だけ、それらメンバーが3戸のコンドミミアムに分かれて合宿生生活。
                                                                                                                  3台のレンタカーを借りて、町の中国食材店に食材の買い出て、宿舎では手ずくりの中華料理を食べ、ある時は私が日本食材店で食材をそろえ日本料理を作り、ほとんど外食はしませんでした。
                                                                                                                  展示会場では、嬉々として働く、逞しい中国人スタッフを見ておりまして、日本の技術を使って中国で製造した製品を日本人と中国人がともに手を組んで世界で販売する、というのはこれからの一つのあり方であるなと、ふと思いました。 

                                                                                                                   その後、シカゴでの商談を経て昨日桜満開の日本に戻って参りました。本日かはこれから企業訪問で、茨城県の水戸に行って参ります。

                                                                                                                   
                                                                                                                  CMSならドリーマASP