今クールのテレビドラマが終盤に差し掛かり、歌番組のスペシャルも放送された。
街に出れば煌びやかなイルミネーション、仕事では「年末年始のお知らせ」メールが飛び交う。誰が考えたか「師走」という言葉は言い得て妙で、毎年この時期はバタバタしている。
それでも気楽でいられるのはクリスマスや年末年始が控えているからだろう。
なのでこの時期は嫌いではない。
しかし、思い返すと20代前半は充実した12月を送った経験は少なく、中でも25歳のクリスマスは厳しかった。
今回はそんな黒歴史を紹介することで、クリスマスを前に独りで寂しく過ごしている方に「こいつに比べれば俺はハッピー」とポジティブに捉えて貰えれば嬉しい。
それでは早速傷口に塩を塗ってみよう\(^o^)/
サンタになってみた
25歳の12月。
秋から始めた起業の準備で貯金が底をついた私は、当時付き合っていた彼女にクリスマスプレゼントを購入するため、副業を一時停止して即金性のある短期バイトをすることにした。
アルバイトは直ぐに見つかり、当時住んでいた場所から少し離れたスーパーでの仕事。
内容は、サンタの格好をして子供達に風船を渡したり記念撮影に応じたりするキャンペーンスタッフ。
1日5時間で日給6,000円の3日間。
コスプレで顔も見えないので、深く考えずに決めた。
・・・
アルバイト1日目
同時期に応募したという大学生の男の子がトナカイのコスプレ
私はサンタのコスプレ
準備が完了して指定されたスーパーの前に作られた安めのブースに入る。
チラシで事前告知した影響もあってか、予想以上に子供達が集まり、私と大学生はせっせと風船を渡す。希望があれば写真撮影に応じて無難に仕事をこなしていた。
1時間もする頃にはサンタ気分に拍車がかかり、少し低めの声で「いい子にしかサンタさんは見えないんだよ」なんてクソ寒なアドリブも飛び出すなど絶好調。
こうして無事に初日を終えた。
アルバイト2日目
トナカイ役の大学生が辞めた。
理由は分からないが「寒い」と言い続けていたので、風邪を引いたか寒さに嫌気が差したかだろう。空席となったトナカイ役には店長さんが名乗りを上げ、二日目も無事に終了。
前日に比べて盛り上がりが欠けてたのは気になる。
アルバイト3日目
店長が風邪で休んだ。
よく考えたらトナカイのコスプレは生地が薄く、そのままでは激寒のよう。
2日目に店長さんが「こりゃ風邪引くわ(-_-;)」と何度もボヤいてたので、相当な寒さだったのだろう。
※サンタのコスは裏地がしっかりしてたので全く寒くない。
初日の大学生、二日目の店長さんの流れを見ていたのか、三日目に担当になった社員の方が「俺寒がりだからサンタでいい?」と提案してきたので断ることができず、「大丈夫です」と返してしまう。
トナカイコスは不安だったが、『風邪引かれると困るから』ということで、社員さんはベンチコートを用意してくれた。
※全て閉じるとトナカイだと分からないので、寒くなったら羽織るという条件付き。
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しかし、寒さ以上に問題だったのがトナカイコスの素材。
モジモジ君のような素材で妙な身体にフィットしてしまうので、股間部分のジッパーとオキャンタマの擦れが気になって仕方がなかった。
↓これよりもう少しピチピチ
焼き芋屋・・・
3日目にもなるとお客さんも慣れたようでほぼスルー。
時折子供が「あっ!サンタさんだ!」と言ってきてくれるのは嬉しかったが、それもほんの少しだけ。
お客さんに手を振ったりするものの、寒さの影響でお客さん自体が少ない。
集まらない要因はもう一つあり、10m程離れた位置で出店していた焼き芋屋。
寒さも手伝い、僅かに存在したお客さんはほとんど焼き芋屋に行ってしまっていた。
・ ・ ・
夕方も過ぎると小さなお子さんの姿は完全になくなり、代わりに学生さんが目立つようになる。
『あそこにいるサンタとトナカイ超暇そう笑』
『風船いらねーし』
『トナカイピチピチ過ぎるんだけど爆』
などの聞きたくもないことが耳に入る。
『まあ仕方ないですよね』なんて社員さんと話してたら、焼き芋屋に並ぶ一人の女性が。
ピンクのマフラーに白いコート、コートからうっすらと見える黒いストッキング。。。
この後ろ姿どこかで、、、彼女か?
いや、彼女が住んでいる場所ではなく、この辺りに友人がいるとも聞いてなかったので違うだろうな。
焼き芋を買い終えたその女性が振り返ると・・・やっぱり彼女だった。
そしてこちらのブース付近のベンチに向かうと、そこには見知らぬ男・・・!
「1個でいいよね?」
「そうだね分けよう」
おい、、、
冗談じゃないヨ!
傍から見ればどう考えても恋人同士。
男が焼き芋を割って二人分にする。
男は焼き芋の皮を剥くのが苦手なようで、彼女に剥いてもらって幸せそう。
「本当こういうの苦手だよねーお子ちゃまなんだから〜」
文句言いながらも彼女は満面の笑み。
「細かい仕草苦手なんだよね笑」
と、こっちもデレデレだ。
食べ終わると男がこちらに気づいて近づいてきた。
「おっ!サンタと記念撮影だって◯◯(彼女の名前)撮ってもらえば?」
「えー恥ずかしいよー」
社員さんが彼女へ風船を渡すと
「ありがとー!嬉しい〜」
「よかったじゃん」
彼女のあんな嬉しそうな顔見たことない。
そんな笑顔をトナカイコス越しに見るとは何とも・・・
ちょいちょいじゃれ合う二人。
去りゆく二人はガッツリと腕を組んでいた・・・あれはどう考えてもカップルだ。
_| ̄|○
いや、もしかしたら、こちらが“付き合っていた”と思っていただけなのか?
もしくは彼女がキープしていた中の一人?
答えは彼女に聞かなければなれないが、目の前の光景がショックで。。。
確実に分かったのは、彼女だと思っていた女性は、自分の女ではないということ。
ただし、私にも非はあった。
それまでに放置した期間の長さ、自分本位なプロレス技など。考えれば考える程に致し方なしともいえることが頭に浮かぶ。
いずれにしても終わった。
これが知り合い間で、今も笑いのネタになっている[ホールブラザー事件]の全容。
終止符
彼女とはその数日後に話し合いの機会を設け、別れることにした。
最後に私に対する不満をボロクソに言ってきた後に
「今気になる人(恐らく焼き芋ボーイ)も自分で会社起こしたけど◯◯君(私)より頑張って成果出してるよ!悔しくないの!?」
と説教されてしまったが、当時の貯金残高を考えると反論の余地はない。
焼き芋屋のことを話して反撃することもできたが、焼け石に水。
こうして失格の烙印を押された私は、独りで寂しいクリスマスを送ることにした。
ケンタッキーのチキンが失恋を後押しするようなしょっぱさで驚いたけど、それも良い思い出。
・ ・ ・
今考えると、別れの際に仕事のことでケツを引っ叩いてくれたことは感謝してる。
当時は「どうにかなんでしょ?」と思いながら進めてたことは否定できず、最後の叱咤激励は大きな転機となった。
彼女が今どこで何をしているのかさっぱり分からない。
それでも、この狭い世界の中で、焼き芋をあの日のように頬張っていることだろう。
フーフーって
ヒーヒーって
あっつ熱の焼き芋を頬張っていることだろう。
ホールブラザーはどうか?
顔も声もうろ覚えだが、どこかで会ったら聞いてみたい。
まだ焼き芋の皮剥くの下手くそなんですか?と。