12月08日 19時21分
戦時中、アメリカ軍の空襲で300人近い市民が亡くなった愛知県半田市で、空襲や学徒動員など、当時の証言を集めた本が新たに刊行されました。
昭和20年の7月、アメリカ軍の空襲で判明しているだけで272人の市民が犠牲になった半田市では戦争の記憶を後世に伝えるため、戦後50年の平成7年から10年ごとに証言集をまとめています。
証言は市の依頼を受けた市民グループ「半田空襲と戦争を記録する会」が中心となって集め刊行された今回の「半田の戦争記録第三集」では、新たに39人の手記や証言が掲載されています。
このうち、当時13歳と12歳だった姉妹の証言には、空襲の様子や爆弾の破片が兄と妹の胸を貫通し亡くなったことなどが書かれていて、文章の最後に「子どもたちのためにも戦争は二度としてはいけないと思います」と姉妹の強い願いが記されています。
また本にはアメリカの国立公文書館が所蔵する写真も掲載されていて、爆撃機から撮影された写真は真下の滑走路などに爆弾が投下された様子が生々しく写っています。
本を編纂した市民グループ代表の佐藤明夫さんは「戦争を防ぐためには、当時の市民がどれだけ苦しい思いをしたのか史実を披露して今の若者に伝えることが重要だと思っている。本を読んで戦争の追体験をして平和への力にしてもらいたい」と話していました。
半田市では、本を1000冊出版し、学校や図書館に寄贈するほか市役所などで販売するということです。
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