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「ブタ1名確保」「お前は犯罪者」辺野古でエスカレートする機動隊らの言動〈AERA〉

dot. 12月8日(火)11時41分配信

 ついに争いの舞台が法廷に移った沖縄・辺野古への新基地建設問題。一方、現場に目を戻すと、民主国家とは思えない醜態が起きていた。

 この日も午前6時から、米軍新基地建設に抗議する座り込みが始まった。11月28日、沖縄県名護市辺野古。約60人が工事車両の出入り口で腕を組み、横たわった。

 いつもと同じように、機動隊員約100人がごぼう抜きにかかる。そのとき、男性(63)の左の肋骨(ろっこつ)に激痛が走った。隊員の手で押さえ付けられていた。

 ボキッ。そう、音が聞こえた気がした。

「やめて、と言ったけどやめない。息もできない痛さだった」

 男性は救急搬送され、骨折と診断された。

 昨年7月の座り込み開始から500日以上。連日のように機動隊による強制排除が続く。こんな場所が、日本のどこにあるだろうか。

 今年11月からは、沖縄県警だけでなく警視庁の応援部隊も投入されている。安倍政権が総がかりで沖縄の民意にのしかかり、男性の骨は「ボキッ」と鳴った。

 陸上だけではない。埋め立て工事の現場となる海では、全国から動員された海上保安官が待ち受ける。現場周辺は、あらかじめ罰則付きの立ち入り禁止海域に指定された。市民のカヌーや漁船がその海域に入った途端、高性能ゴムボートの海上保安官が襲いかかる。海は陸に比べて目が届きにくい。

 11月2日、カヌーを降り、海面に浮かんでいた女性(42)は突然、海上保安官に両肩をつかまれ、水中に3回沈められた。身に着けた小型ビデオカメラは、伸びてくる海上保安官の手を写し、その後、水没する。「やめて! 助けて!」。女性の叫び声に、海上保安官が耳を貸す様子はない。
 
 11月18日には、海上保安官4人がかりで押さえ込まれた船長の男性(62)が一時、意識不明になった。男性は「殺されるかと思った」と振り返った。

 記者に聞こえないところでは、暴言を吐く警官や海上保安官もいるという。

「お前は犯罪者だ」「それでも日本人か」

 拘束され、「ブタ1名確保」と言われたとの訴えさえあった。

 県警や海保は一貫して否定するが、言動はエスカレート傾向にある。「このままでは死者が出る」という市民側の懸念は、決して大げさではない。

 沖縄は考えられる全ての民主的な手続きを使って、普天間飛行場返還と引き換えの新基地を拒否してきた。古くは1997年、名護市民投票で。最近は昨年の知事選で、公約に反して新基地建設を認めた仲井真弘多(ひろかず)氏に代わり、反対を掲げる翁長雄志(おながたけし)氏を選び直した。

 翁長氏は、仲井真氏が国に与えた埋め立て承認を取り消した。安倍政権の答えは、取り消しの撤回を求めて県を訴えることだった。裁判が始まった12月2日、被告席から証言台に立った翁長氏は「日本には、本当に地方自治や民主主義は存在するのでしょうか」と訴えた。

※AERA 2015年12月14日号より抜粋

最終更新:12月9日(水)11時20分

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