しこたま貯金したいなら、「トヨタ式」に習え

下請けで学んだ男が説く人生のカイゼン術

Step4 問題を明確にする

そして、逆算すると「明確な理想」である10年後の貯金1000万円に対し、「現状を正確に把握する」と約100万円であることがわかりました。この差である900万円、つまり10年で900万円を貯めていくことが現状の問題です。ここを明確に認識すると、ギャップを埋めるための具体的な思考や行動が始められます。

これに際しては、トヨタの下請けとして学んだ3つのキーワードが思い浮かびました。それは目標達成のためには、みずからの「能力、行動、環境」のいずれかを高めたり、変えたりすることです。

このうち、私の事例でいけば能力を高めたり、変えたりするのは難しい。たとえば給料の手取り額を年間90万円増やすのは、今の会社に勤めていてすぐにできる話ではありません。

そして行動を変えるという観点ではたとえば、休日にアルバイトをする方法があるかもしれません。ただし、年90万円を稼ぐためには1カ月に7万5000円を稼がなければならず、土日に8時間ずつ時給1000円で働いたとしても追いつきません。そもそも平日の仕事で疲れが溜まっているのに、そんなことは現実的に無理です。

私は自分にできることとして、環境を変えました。マイホームを売却したときに、賃貸マンションに住み替えました。その際に重視したのは少し不便でも書斎を確保しつつ、家賃が安いこと。それを考慮に入れると、最初に目星をつけたよりも月額4万円安い部屋を借りられました。これだけでも4万円×12カ月=48万円の節約。目標である90万円の半分は環境を変えるだけで捻出できたことになります。

これを軸にして、10年後に1000万円が貯まっている理想の状態になる具体的なプランを逆算してつくりました。これ自体とてもワクワクする作業です。そして普段の行動においてムダが極力なくなっていきました。今月はいくらまで使えるのか、いくら残せるのか、残していくのかというふうに考えていって、貯金の積み上げが始まったのです。問題を明確にできないと、打つ手が見つけられません。

プランを継続させるために

Step5 定期的に振り返ってカイゼンする

ただし、理想に近づくための具体的なプランを練ったとしても、継続して実行していかないと意味がありません。「継続は力なり」といいますが本当にそうです。その継続には何が必要なのでしょうか。

私は毎月1回の振り返りを実行しました。毎月の支出を正確に試算し、貯金に回せる金額を弾き出して、確実に実行する計画がどのくらいの効果を挙げているかを、定点観測していくことで過去の状況が把握でき、将来的な見通しが立っていったのです。

すると不思議なもので、自分が立てた目標や計画をどんどんカイゼンしていこうと考えるようになりました。結果的には、「10年後に貯金1000万円」という目標が、9年後に貯金1600万円と当初の理想を大きく超える成果を達成したのです。

お金が貯まらないと思っている人は、実はおカネが貯まらない習慣が自分にあるという現実を知りません。明確な理想を掲げる代わりに、漠然と「おカネが貯まればいいな」という空想を描いているだけで、状況を放置する。すると具体的におカネが貯まっていく手が打てず、自分の目標や計画にはいつまでも近づけない。トヨタ式の考え方とは、実は意外にもシンプルな思考と実行の積み上げだということがわかれば、貯金をはじめ、人生のカイゼンは誰にでもその一歩を踏み出せるのです。

関連記事
Topic Board トピックボード
人気連載
Trend Library トレンドライブラリー
  • Quelon-
  • Facebook-
Access Ranking
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • いいね!

※週間いいね数のランキングです。

トレンドウォッチ
「橋下政治」が大阪にもたらしたもの

橋下政治8年の功罪を検証。外国人観光客数は大きく伸びたが、経済的な地盤沈下は止まらず。ダブル選挙では大阪維新の会が勝利し、都構想が再浮上。大阪の行く末を占う。

ページトップへ