ナイジェリア人1200万円詐取事件「責任は銀行7割・被害企業3割」

 2012年7月、ナイジェリア人の男がソウル市恩平区にあるウリィ銀行の支店を訪れ、貿易会社の社員だと告げて貿易用の口座を開いた。流ちょうな英語に加え韓国語も話せる男は、行員たちとすぐに親しくなった。

 ある日、男は行員に「米国の取引先が自社に輸出代金を送金してくる予定だ」と伝えた。それから1カ月後、男の言葉通り米国の会社から10万1000ドル(現在のレートで約1200万円)の送金があった。だが、おかしな点があった。米国の会社が送ってきた書類では、送金の受取人が男の勤めているという貿易会社とは別の韓国企業になっていた。

 行員がいぶかしむと、男は「何かミスがあったようだ。会社側に訂正を依頼するので、まずは送金を受け取りたい」と言った。行員は男の言葉を信じて支払いを行ったが、カネを手にした男は翌日に韓国を出国した。

 男が銀行に出入りしていたころ、ナイジェリアでは男の仲間たちが韓国の中小企業をターゲットにハッキングにいそしんでいた。ハッカーらは韓国のある貿易会社の電子メールアカウントを手に入れ、この会社と取引していた米国の会社に「口座番号が変わったので、新しい口座に送金してほしい」とメールを送った。「新しい口座」とはもちろん、男がウリィ銀行の支店で開設した口座だ。

 ナイジェリアの詐欺グループがカネを手にして出国した後、被害者である米国の会社とウリィ銀行、韓国貿易会社の三者が絡む訴訟が始まった。大法院(最高裁判所に相当)はこのほど、社名が違うにもかかわらず支払いを行ったウリィ銀行に対し、被害額10万1000ドルのうち7割を米国の会社に弁償するよう命じた。また、ハッキングに遭った貿易会社も3割の弁償責任を負うべきとの判断を示した。

パク・サンギ記者
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