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「チャイナリスク」関連倒産調査(11月)

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公開日付:2015.12.08

 11月の「チャイナリスク」関連倒産は4件だった。2015年1-11月の累計件数は67件となり前年同期の45件から約5割(48.8%)増加した。累計の業種別では、「繊維・衣服等卸売業」が19件、「なめし革・同製品・毛皮製造業」が4件、「繊維工業」3件、「繊維・衣服・身の回り品小売業」が2件だった。これらアパレル関連業種は合計28件となり、全体の4割(41.7%)を超えている。チャイナリスクは、アパレル関連の業種を直撃している。
 11月の負債総額は13億4,300万円で、1-11月の累計は2,263億4,400万円となった。4月に江守グループホールディングス(株)(TSR企業コード:600000702、福井県、売掛金等回収難)が711億円、9月に第一中央汽船(株)(TSR企業コード:291084648、東京都、中国景気減速)が1,196億700万円の負債を抱えて、それぞれ民事再生法の適用を申請した影響により、前年同期(2014年1-11月)の199億2,200万円から負債総額は大幅に増加している。
 11月は倒産には集計されないが事業停止や破産準備中などの「実質破綻」が2件発生(前年同月ゼロ)。両者を合算したチャイナリスク関連破綻は6件だった。


  • 「チャイナリスク」関連の集計基準
    「チャイナリスク」関連の経営破綻は、破綻の原因が次の6項目のどれかに該当するものを集計している。
    1. コスト高(人件費、製造コストの上昇、為替変動など)
    2. 品質問題(不良品、歩留まりが悪い、模倣品、中国生産に対する不信など)
    3. 労使問題(ストライキ、工場閉鎖、設備毀損・破棄など)
    4. 売掛金等回収難(サイト延長含む)
    5. 中国景気減速(株価低迷、中国国内の消費鈍化、インバウンドの落ち込みなど)
    6. 反日問題(不買、取引の縮小、暴動など)
    ※ 「チャイナリスク]関連の経営破綻は、下記の「倒産の定義」のいずれかに該当するケースを「倒産」として集計。「事業停止」や「破産申請の準備中」などは、倒産とは区別し「実質破綻」としている。
  • 倒産の定義(対象:負債額1,000万円以上の法人および個人企業)
    A. 会社更生法、民事再生法、破産、特別清算を裁判所に申請した企業(法的倒産)
    B. 手形決済などで6カ月間に2回の不渡りを出し、銀行取引停止処分を受けた企業(私的倒産)
    C. 企業が経営破綻により事業継続を断念したが、法的手続きを採らず弁護士などに事後を一任して私的整理(内整理)を明らかにした企業(私的倒産)
    ※「チャイナリスク」関連倒産の調査開始は2014年1月。

チャイナリスク関連倒産月次推移

チャイナリスク関連倒産業種別状況

まとめ:2015年のチャイナリスク関連倒産は70件を突破する可能性

 11月のチャイナリスク関連倒産は4件だった。2014年1月の集計開始後、2カ月連続で10件を超えた9月と10月の11件からは落ち着いたものの、前年同月と比較すると横ばいであり沈静化はしていない。負債額別では、11月12日に破産開始決定を受けた(株)福知商会(TSR企業コード:750033401、山口県、コスト高)の11億円が最大。自社で設計した自転車を中国で組み立てた後、輸入販売するビジネスモデルであったが、輸入費用の高騰などで行き詰った。その他、3社の負債総額はそれぞれ1億円未満だった。
 1-11月の累計では67件と前年同期の45件を大幅に上回っている。2015年6月以降、単月で4件を下回った月はなく、このままのペースで推移すると年間では70件を突破する可能性がある。これまでは、中国製品を取り扱っていた卸売業者の人件費や輸入費用の増加に伴う「コスト高」を要因とした倒産が多かった。今後は、中国国内の設備投資や消費鈍化に伴い、対中輸出により業績を構築している製造業者が大きな影響を受ける可能性がある。以上より、チャイナリスクは幅広い業種に影響を及ぼすとみられ、関連倒産は当面、沈静化しそうにない。

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