「円安」関連倒産（11月）

　11月のドル円相場は、トルコ軍によるロシア軍機撃墜の報道を受けたリスク回避の円買いなどもみられたが、概ね1ドル＝122円前後で推移した。11月の「円安」関連倒産は13件（前年同月21件）。8カ月連続で前年同月を下回ったが、2カ月連続の2桁台で推移した。中国経済の減速や過剰生産を背景に、鋼材関連を中心に資材価格の下げが目立ち、さらにガソリン価格も低下傾向を続けるなど、円安が必ずしもコスト高に直結しない面もみられ、経営環境は変動している。

　ハンドバッグ、雑貨品販売の（株）ボンドゥ（TSR企業コード:295657260、東京都）は、ヨーロッパからハンドバッグや雑貨品などを輸入し、店舗小売のほか、卸売も手掛けていた。しかし最近は売上が伸び悩み、年間売上高が約3億円にとどまっていたところに、円安の影響による仕入コスト上昇から資金繰りが悪化した。決済資金のメドが立たず破産を申請した。

　2015年1-11月の「円安」関連倒産は143件（前年同期比45.0％減、前年同期260件）にとどまっている。ただし産業別では、運輸業が前年同期比85.1％減（94→14件）と減少が目立った一方で、卸売業が同55.5％増（45→70件）と増加が際立つ。今後も輸入品や海外からの原材料などを扱う企業の動向が注目される。