北川慧一、疋田多揚
2015年12月9日08時26分
「24時間、死ぬまで働け」――。そう唱えてワタミグループを急成長させた創業者の渡辺美樹氏(自民党参院議員)が、一転して過労自殺の責任を認めた。社員だった森美菜さん(当時26)が亡くなって7年。若者を使いつぶす「ブラック企業」という批判を受け、認めざるをえなくなった。
「できるなら8年前に時計を戻したい。ワタミへの入社を許してしまったこと、そこから生きているうちに助け出すことができなかったことへの後悔は、この先も死ぬまで続きます」
居酒屋チェーン「和民」に勤めていた美菜さんを2008年6月に過労自殺で失った母祐子さん(61)は涙を浮かべながら語った。
父豪さん(67)は「(渡辺氏らが)本当に反省しているなら、和解条項を守っていい会社になってもらいたい。苦しんでいる人々にいい影響が出ることを望んでいる」と話した。
訴訟で遺族側を支援した全国一般東京東部労組の須田光照書記長は「従業員をひとりでも過労自殺に追い詰めると、会社の経営自体が成り立たないということが現実になった」と訴訟の意義を強調した。
渡辺氏はこの日、ワタミの清水邦晃社長らと遺族との和解協議に臨んだ。須田書記長によると、渡辺氏は協議で「心からおわびしたい。責任は私にある」と頭を下げ、謝罪。「理念がひとり歩きして森さんを追い詰めてしまい悔いている。一日も早くお墓参りをさせて欲しい」と語ったという。遺族側は取材に対し「(墓参りには)今は絶対に来て欲しくない」と話した。
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朝日新聞社会部
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