ヤフー(ティッカーシンボル:YHOO)の取締役会が、ヤフーが所有するアリババ(ティッカーシンボル:BABA)株式を、別会社にしてスピンオフする計画(略してアバコ・スピンオフ)を、断念すると決定しました。

ヤフーはアリババの3.84億株を保有しています。

ヤフーは同社の含み資産の価値を顕在化させるべく、去年からその方策を練ってきました。そしてヤフーが所有しているアリババ株を、いわばETFのようなカタチで別会社に落とし込み、それを株式市場に上場することで、キャピタルゲイン税がかからないスピンオフを実現しようとしたわけです。

しかし米国の内国歳入庁から「それをやっても問題ない」というレターを受け取れませんでした。

このためスピンオフされたアバコは(いつ税金が課せられるか、わからない)という不確実性を抱えるわけです。

するとアバコは常にアリババ株よりディスカウントで取引されることになってしまうリスクが乗じます。

このようなディスカウントが生じ、すべての含み価値をきれいに顕在化させることが出来ないのなら、このスキームにこだわり続けること自体に意味が無くなってしまうわけです。

ヤフーの取締役会は次善の策として「逆にヤフー・ウェブサイトを分離してはどうだろうか?」ということを検討中です。

もしヤフー本体をスピンオフするというシナリオでは、またぞろ準備に1年ほどかかる可能性があります。

その間はヤフーの経営に不確実性が生じます。するとヤフーが今後、たとえば人材を採りたいと思っても、処遇がどうなるかわからない会社には行きたくないとして、良い人が来なくなるリスクがあるわけです。

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