ども。ナカムラです。
今回は、最近もちょいちょい触れている『プロジェクトにおけるコミュニケーションの在り方』的な話をしてみようかな?と。
しばらくディレやってる人なら痛いほど分かってる部分ですし、経験浅めな方にとって一番「どーしたらいーのよ?」て領域だと思うので。
大抵の炎上プロジェクトは、コミュニケーションのエラーで起こる
はい。あっちゃこっちゃから怒られそうな章題ですが、僕はこれがあらゆるプロジェクトに共通する炎上の主要因だと思っています。
- こんな100徳ナイフみたいな仕様...終わるわけないじゃん...
- 納期ギリッギリで追加仕様?!なにこれどーすんの!
- 何回差し戻してんだよ...やってらんねぇよ...
- 制作のクオリティ酷い!プロだろしっかりしろよ!
とか...ね。見たことあるーって人、いっぱいいるはずです。
突発的なバグとか、コミュニケーションオンリーじゃどーしようも無いものは置いとくとして、炎上案件のほとんどは上記のようなコミュニケーションのエラーから生まれてると思うんですよ。
100徳ナイフになっちゃう前に、あるいはなった後でも「いやこんなんいらないっしょ」と提唱すれば言いハズだし。
ギリッギリになる前に聞き出す or 来ちゃったら来ちゃったで「リリース計画練り直そう」ってな会話ができればいいんだし。
差し戻しをポコポコ出さないでまとめて欲しいなら「まとめられるだけの知識提供とサポート」をすればいい話。
制作に文句言う前に『そのレベルでできること』にプロジェクト自体を落としこんで納得してもらったり、もしくは制作側のレベルを正確に把握しておいてアサインを調整すればどーとでもなるはず。
いや、うん。分かってます。
そんなん全部できるディレクターなんて(いるかも知れないけど)ほぼいないですし、いたとして四六時中そんなんやってられっか!てなっちゃうと思います。
僕だって、コレ全部全部やれてるとはもちろん言い切れません。
でも、つまるところ「コミュニケーションの設計でなんとかなるもん」と、ひとまず認識すること。
そうすれば後は『どんなコミュニケーションの形が一番スムーズでスマートなんだろう?』を考えて突き詰めれば良いんじゃないかな?と。
そういうことを言いずらい関係性が目の前にあるって場合も「その相手が嫌な人」なのではなく「コミュニケーションの設計エラー」として認識しないと、なんともなんないんですよね。いやマジで。
上下のコミュニケーションって実はそんなに必要ない?
で、僕が上記のような事を考えた先に(今のところ)辿り着いたのが「上下の隔壁って心理的にすごい邪魔だよね」ってとこだったりします。
まず前提として、あらゆるプロジェクトにおける立ち位置って以下のような感じであるべきだ。と思うんですね。
お金を払ってるから、マネージャーって名前がついているから。「だから偉い」ってのはなんか奇妙な感じがするんです。
『ユーザーに何かを届けて何かをしてもらう効率を上げる』ためにプロジェクトが存在していて・・・
そこに「資金という資産を投下するクライアント(依頼者)」と、「マネジメントやクリエイティブという資産を投下するディレ&制作スタッフ」という形が本来あるべき形なんじゃないかなーと。
多くの現場に「こうなってない現状」があるのって、コミュニケーション上の無意味な上下関係の演出...に原因の一端があるような気がしてるんです。
敢えて2者間に上下の距離を感じさせる「間違いじゃない」言葉たち
- 『○○様』
- 『○○の件に関しまして申し上げたいことが...』
- 『弊社、御社』
- 『私共といたしましては...』
うん。丁寧です。特に(社会人としては)問題無いような気がします。
でも、これらの言葉が重なって重なって、いつの間にか「金払ってるほうが偉い」という空気感の演出にもなってるんじゃないかな?と、思うんですね。
いやタメ語や暴言は当たり前にNGですし、礼儀礼節を捨てろ。という話では無いんですが、もっと普段使いに近い言葉を使えば『一緒にプロジェクトの先のユーザーを見ている仲間』としてコミュニケーションを設計できるんじゃ?
そんなふうに考えた結果、僕がやるようになったのが以下のような方法でした。
上下関係を感じさせないコミュニケーション設計のために ナカムラが実際やっていること
実際、僕が現場でやってるの(の一部ですが)ちょっと書き出してみますね。
- メールよりチャットワーク。クライアントも制作スタッフもまとめて1つのグループに入れちゃう
- Backlogとかのツールも同様。制作用とかクライアント連絡用とか使い分けないで1個に
- 表示名を「中村健太/けんちゃん」とかにしといてライト感演出
- メールはメールで大人な会話(お金とか)するようの専用ツールとして利用
- 逆にチャットツール系は可能な限り『セミオフィシャルな空気』にするよう口調を調整
- 過度な敬語は使わず丁寧語どまりに。絵文字やAA、記号も使うようにする
もちろん企業側のコンプラなどクリアしないといけない課題も多いので、全てのクライアント相手に上記を適用するのは難しかったりもしますが、これが結構捗ったりするんですよね。
上下関係は無駄!とまではさすがに言い切れないですが、「あんまり過度にするとコミュニケーションの設計ミスりやすくなるよ」というのが伝わってくれればなーと思っています。(※もちろん問題が全部解決するわけじゃないですが)
タスクもチケットも一緒に見ればいいじゃないですか
作業上都合がいいなら依頼主にタスク投げたっていいと思うんですよ
それがプロジェクトの成功に向かっているなら誰も文句なんて言わないはず
「制作のフローをクライアントに見せるべきじゃない」なんて別にどこにも載って無いですし、「作り手のフローなんて知りたくも無い!」なんて依頼主もいないはずなんです(むしろ知りたいのが普通)。
最初のウチはどーしても刷り込まれた「お客様は神様です!」根性が邪魔して、すぐに導入!とはいかないかもですが、まずは仲の良い運用案件でお世話になっているWeb担の方とかに招待状送ってやってみてくださいな。
これまで当たり前だと思っていた「メールのお作法」と「敬語のお作法」を敢えて(ちょっとだけ)忘れてみるだけで、コミュニケーションがものすごく設計しやすくなるのを感じられるハズですよ。
そういえばご報告
はい。そして取ってつけたかのようなご報告ですが、ナカムラが偉そうにも会長を名乗っているディレクターズコミュニティ「日本ディレクション協会」でも、以下のような感じで、ChatWork株式会社の推進する『ビジネス上の無駄なコミュケーション隔壁の排除』というビジョンに共感。チャットワークを公式ツールとして採用していたりします。
気楽で、ややセミオフィシャルな雰囲気で、何より「タスク」とか「メモ」の機能が便利すぎて僕自身どハマりしているツールなので、これはこれでワクワクが止まらない感じです。
全ディレクター...に限らず、方々から吹っ飛んでくる依頼やら相談やら大量のメールやらに参ってしまっているプロジェクト推進タスクを持った全ての人に。
ぜひぜひ使って欲しいツールだなーと本気で思っているので、機会見つけて使ってみてくださいな。