【ストックホルム=西山彰彦】ノーベル賞を受賞する大村智・北里大学特別栄誉教授(80)と梶田隆章・東京大学宇宙線研究所長(56)は8日、ストックホルム市内のホテルで日本大使館主催の共同記者会見に臨んだ。「荘厳な雰囲気を味わいたい」「恩師への思いを胸に」。2人は改めて家族らへの感謝を述べながら、目前に迫った授賞式に向け気持ちを新たにした。
生理学・医学賞を受賞する大村さんは授賞式を10日に控え「テレビや写真で見ていた授賞式と晩さん会の荘厳な雰囲気を味わいたい。いよいよ自分も参加できる」と意気込んだ。
7日に終えた記念講演を振り返り、「30分という限られた時間の中でいかに知ってもらうか何回もスライドを変えながらやった。日本の文化である茶の湯についても紹介できた」。弟からは「120点」と言われたという。
物理学賞を受賞する梶田さんは「今日からが本番。(同賞をとった小柴昌俊・東京大特別栄誉教授ら)恩師のことを胸に授賞式に臨みたい」と話した。妻からは「今までこんなことやっていたのね」と言われたという。梶田さんは「家族に初めて自分が何をやっていたのかを分かってもらえてよかった」と満足げだった。
会見の席上、大村さんが「梶田先生は想像もできないようなことを研究しているが、わかりやすく説明してもらった」と語ると、梶田さんが「大村先生は美術から音楽までものすごく(興味が)幅広い」とたたえる場面もあった。
梶田さんは4日、大村さんは5日、ストックホルム市内の高級ホテル「グランドホテル」に到着し、様々な祝賀行事に参加している。ノーベル博物館では、研究にまつわる記念品を寄贈。記者会見や記念講演を終え、いよいよ授賞式を迎える。
梶田隆章、大村智、ストックホルム