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入った会社がクソだったらどうすれば良いかの脱出マニュアル

就職活動 雑記

僕は6年間務めた商社を退職して、一旦学生に戻るのだが、実は転職活動も合わせてやっていた。6年間、来る日も来る日も頭をチラつき続けた「転職」の二文字。ブラック企業の奴隷にとっては、それは救いと希望の言葉なのだ。そこで、僕の経験と見聞きした事を統合して、会社からの脱出法について今回は真剣に考察してみたい。(尚、一部非道徳的な考察があるが、あらゆる可能性を考察するという観点から、敢えて排除していない。)ちなみに、筆者は何だかんだで6年間会社に留まってしまった人であることに注意されたし。

其の一:3年そこで頑張る

石の上にも三年と言うように、どんなに辛くてもひとまず3年頑張ってほしい、という言葉が、キャリアに関する一つの金言になっている。

この言葉の根拠は、2つの基礎の上に立脚している。まず一つに、最低3年ぐらい同じ仕事に打ち込まないと、その仕事の本質や楽しさは理解出来ないという考えであり、もう一つに、3年勤めないとろくな会社に転職出来ないということである。そこで、それぞれのケースについて、ひとまず考察してみたい。

 

3年我慢 からの永住

人は言う。3年我慢すると仕事が分かり、分かるから楽しくなる、と。今辛いのは、君がまだ何も理解していないからだ、と。これを僕なりにオマージュすると、要するに「3年目までは奴隷だよ。楽しいわけなじゃん、ばーか」という事である。

詳しく説明するために、奴隷の3年間のワークフローを説明しよう。

1年目:任された奴隷仕事を必死でこなす。その範囲が分かるようになる。

2年目:1年目の仕事は自力で出来る様になる。新たな奴隷仕事を必死で覚える。

3年目:1年目・2年目の仕事は後輩にパスして、自分は新たな奴隷仕事を必死で覚える。

 

3年目、6年目というように、3年クールで会社の人材は次のステージへのジャンプアップを求められる事が多いので、確かに3年頑張れば、次のステージに進め、仕事が楽しくなる、というのは一理ある(すなわち、最下層の奴隷を卒業できるということ)。しかし、上のワークフローを見れば分かるように、3年目までに分かるのは、奴隷の仕事に過ぎない。つまり、仕事の本質は残念ながら3年程度では決して分かるようにはならない。むしろ次年度以降に分かるようになる、と言った方が適切だ。つまり、どうせ3年経っても、次のステージに上がった上でもう数年間はもがかないと見える景色はほぼ1年目と同じなのだから、成長や仕事の理解という観点からは、3年目で辞めるというのは、むしろ最悪のタイミングだと言えるだろう

 

(以下、補足。無視してもOK。)

3年後に分かる仕事

無論、会社の大きさや若手の裁量、上の人材の詰まり具合により、3年目終了時点での各人の裁量は変動するだろうが、いわゆる大企業で3年間一生懸命働いた場合、これは「むしろ分からないことが一年目より増える」ぐらいのレベルである。逆説的ではあるが、これは3年間必死で頑張った人により良く当てはまる。3年経って、仕事がわかるようになって楽になってきた、と言うような人材は、ただ余り成長しなかったから上が相応の仕事しか与えられていないか、或いは、新たなステージに足を踏み入れるのを恐れて、若手の仕事に安住しているだけの井の中の蛙である。従い、3年経って、仕事に慣れてきたという通り一遍の感想しか出てこなかったら、焦ったほうが良い。

3年後の楽しさ

さて、では、3年経った時点での楽しさはどうか。3年経つと、(自分で考える仕事が増えるので)仕事は楽しくはなるが、同時に辛くなる。次のステージに這い上がってこい、と上からは叱咤され、下からは優秀な若者の突き上げが待っている。極めて優秀な人材は、1年目終わりにして無能な3年目終わりを抜き去る(だって、同じ奴隷ステージにいて、やっている仕事の種類は同じだからね)。僕のような「出世なんていいや」という考えの人間ですら、下からの突き上げを日々受けながら同じステージに留まっているのは、やはり心穏やかではない。残された選択肢は2つ。敗北者・無能としての自分を受け入れて開き直るか、或いは、歯を食いしばって上のステージに登るか、である。これが会社に永住するという選択だ。

 

3年我慢 からの転職

続いて、3年頑張れば、ある程度まともな転職活動が出来るようになる、という説について。

なぜ世間でのキャリアの一区切りが3年になっているかというと、やはり日本の大企業の多くは、3年刻みでキャリアを見ているからだろう。3年目を終えた時点でのあなたの評価は、「一通りのスキルを習得した奴隷」である。3年経つと、ビジネスマンとして1年目や2年目より格段に成長できるから市場価値が高くなるのではなく、ただ3年という数字に価値があると「されている」から評価される、ということに過ぎない。

残念なことに、個人営業スタイルの仕事ではなく、組織で動くような仕事の場合、3年程度で人事の評価に響くような実績が残せるはずがない。従い、人事が3年目のあなたを見る尺度は、①会社名、②面接でのコミュ力、のみである(というか、この点については、6年経とうが、10年経とうが、あまり変わらない気がする。転職とはその程度のもん。てきとうなのだ)。つまり、あなたが会社で驚くほど無能でも、1)会社名が優れて、2)現職とその企業の業界に何らかの共通点があって、3)面接だけ誤魔化せれば、取り敢えずジョブチェンジだけは出来る可能性はあるその為に、1年そこらで抜けるのと、3年我慢するのとでは、転職の成功可能性に差が出るので、転職を考えるのならば、3年耐え忍ぶことは理にかなっている

以上を要するに、あなたに凄まじいスタートダッシュ能力があれば、1年で3年間の奴隷スキルをほぼマスターし、そのステージでの成長は頭打ちになってしまうだろうが、転職という観点においては、そこでの成長ではなく、3年間務めたという事実がより重要なので、3年間務めると得する、ということである。

 

「奴隷仕事はどんな企業でもそれなりに応用性がある、ある意味最強の資格だよ。だから、3年ある会社でそれをマスターすれば、その会社で次のステージに上がるか、それとも他の会社に移って上のステージに上がるか、は余り大きな違いじゃないんだよ」(某企業の中途採用担当者がそんなことを言っていたような気がする)

 

其の二:第二新卒制度を使って就活する

そうは言っても、こんな会社で3年も我慢できるか、と言うまだ一年目のあなた。第二新卒制度を使うことを考えても良い。第二新卒は、主に入社1年目〜2年目を対象とした採用だが、要するに期待されるのは、何も身に着けていない真っ白なあなた、でもやる気はあるあなた、である。第二新卒の良い所は、その人が最初の職場が合わなかった事が雇用者・非雇用者の両者にとって暗黙の了解となっている所だろう。「ただ合わなかっただけ。環境が変わればやる気も出るし、ポテンシャルもある」と企業は見てくれるので、「一年で辞めてしまって、逃げぐせがあるとか思われないだろうか」のような事は心配する必要はない。

第二新卒の求人を紹介するようなサイトは他に幾らでもあるので、ここでは省く。言うまでもないことだが、残念ながら、最初の職場と同等か或いはそれ以上の待遇を得る期待値は、高くない。しかし、実際に僕の知り合いでも、一年目のうちに某メーカーやメガバンを辞め、第二新卒枠であっと驚くような優良企業(と言われている会社)に栄転した知り合いが数人いる。そのような可能性もあるのだということは、知っておいてほしい。

 

第二新卒ではなく新卒採用を繰り返す事も実は出来る

また、第二新卒という制度に則っているわけではないが、実は少なくない企業の新卒採用の募集要項は、「(*)1年未満の勤務は勤務経験に含めません。」という但し書きを付している。従い、あなたがまだピカピカの一年生である場合、そのような会社には、新卒採用枠で応募できるということだ。新卒採用サイトをまた登録してみて、確認してみよう。

 

其の三:人脈による転職に希望を託す

仕事で人脈を築き、「うちに来ないか?」と言われるようなケースというのは、実は案外ある。僕の友人たちでも、2年目や3年目の段階で、仕事で付き合っていた人とのコネにより、その会社への転職を果たした人たちがいる。また、僕の上司は、少し前は同じ案件をともに進めていたメーカーの人であり、また別の上司は、ある案件にファイナンスを付けてもらった銀行のその案件の担当者である。どちらもいつの間にか商社の人間になっていて、どちらもその時の案件での人脈による入社である。

かく言う僕自身、ともに案件に参画して日頃から一緒に仕事をしていた同業他社(とはいっても商社ではない)に声をかけられた事がある。諸事情により丁重にお断りしたが、対社外で真面目にやっていると、思わぬ所から転職の可能性は転がってくるものである。そのような可能性があることは、知っておこう。

 

其の四:MBA留学からの転職

キャリアを大きく転換させたいのならば、MBAも考えられる一つの選択肢である。例えば、投資銀行のIBなどは、普通は金融機関出身者でないと門戸を開かないが、アメリカの一流MBA卒業生には、元居た業界に関わらず門戸を開いている。

MBAの年齢であるが、これは早いほうが良い。近年は、アメリカのMBAスクールは学生の年齢を下げる傾向にあり(特にハーバードなどのトップ校)、30になるともう手遅れ、という学校もある。

また、MBAというと金銭面が懸念材料に上がるだろう。アメリカの2年制のMBAであれば、生活費も込で2年間で1千万は少なくとも見ておかないと話にならない。従い、4,5年目で入学することを考えるのならば、かなりリッチな給料をくれる会社にはいらないと、そもそもムリ、と言う話になる。そこで、浮上するのが企業派遣だが、企業派遣はそもそも社内選考が極めて厳しい場合が多く、転職のためのMBAのはずなのに、卒業後1年以内に会社を辞めると違約金を取るぞ、というような契約を結ばされる事がある。従い、行くならば、やはり会社を辞めて自費で行くしか無い。

もし、入社段階でMBAが少しでも頭をかすめるのならば、まず第一に節約に努めることである。また、第二に、英語を鍛えること、第三に、推薦状(これはどこの学校でも必須)を書いてもらう為の上司(2〜3人)を予めキープし、取り入る事である。尚、投資銀行やコンサルの場合、トップ校のMBA卒業生には、通常の給料に加え、MBA2年間の学費を全て支払ってくれるような雇用契約を結んでくれる事があるので、仮にあなたが自費でMBAに行き、後にそのような業界に受かれば、結果としてはただでMBA取得・転職成功という無敵状態を経験することになる。

また、MBA受験においても、企業名がモノを言うのは、言うまでもないことだろう。

 

働きながら転職活動は可能か

転職活動は、まず転職エージェントに登録する所から始まるが、実際に紹介を受けた求人の面接は、やはり基本的に平日に行われる。従い、あなたが外回りの営業で、一時間程度サボってもばれない、というような環境にない限り、わりと厳しい。しかし、そこは良い企業であれば、もちろん事情は察してくれて、例えば昼の時間を削って面接を開いてくれるような事もままある。但し、基本はやはり、平日にちょこまかと時間を削って面接に足を運ぶしか無い。仕事が激務という人にとっては、転職活動は実はかなりハードルが高いのである

 

裏ワザ:仮病で休職からの転職活動

ブラック過ぎて転職活動の暇など全く無いという人は、辞めてから転職という最後の手に頼りがちだが、それをやると最悪ニートになりかねない。それだったら、その激務さを利用して体調不良を訴え、心療内科に駆け込むと良い。1ヶ月ぐらいであれば、簡単に自立神経失調症や軽度のうつ病という診断で休職できるだろう。医者の診断書の効果は無敵であり、法により会社はそれを無視できないので、休職させるしか無い。そして、診断書というのは案外簡単に書いてもらえる*1。そうやって、休職中に転職活動に専念すればいいだろう。

*1:僕は一度過労によりリアルで体調を崩し、心療内科を受診した。そこで、毎朝動悸で目が覚める、メールを見るとパニック状態に陥いる、睡眠不足なのに寝付きが異常に悪い、などと訴えたら(これらは全部本当)、1ヶ月の休職を要求する診断書を書いてもらえた。