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2015-12-08

日本政府の核軍縮決議案の賛同国推移

以下の記事に関連して。

核廃絶決議を国連採択 日本主導、米・英・仏などは棄権

朝日新聞デジタル 12月8日(火)13時9分配信

 国連総会(193カ国)は7日の本会議で、核兵器の使用がもたらす人道上の影響への意識を喚起するため、世界の指導者に被爆地訪問を促す内容を盛り込んだ核兵器廃絶決議案を166カ国の賛成で採択した。昨年は賛成した米国英国フランスを含む計16カ国が棄権に回り、中国ロシア北朝鮮の計3カ国は反対した。

 1994年以来続く日本主導の決議で、採択は22年連続。被爆70周年の今年は「hibakusha(被爆者)」という言葉を盛り込み、「核兵器使用の被害都市の訪問」や「被爆者の証言」を聴くよう指導者や若者らに呼びかけた。

 決議案が核の非人道性を強調したことで、米英仏の棄権につながったとみられるが、日本は核兵器の廃絶時期を示さない配慮もしていた。米英仏が今回から棄権に回り、「核保有国と非核保有国の橋渡し役」を自任してきた日本は戦略の見直しを迫られている。

 決議案は11月の総会第1委員会軍縮)の採択を経て本会議に送られ、今回正式に成立した。総会決議に拘束力はないが、国際社会の意思を示す効果がある。(ニューヨーク=金成隆一)

朝日新聞社

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20151208-00000028-asahi-int
年度 全数賛成国数棄権国数反対国数共同提案国数政権  反対国
2001年161 139   19     3     --     小泉政権米・印・ミクロネシア
2002年171 156   13     2     9     小泉政権米・印
2003年180 164   14     2     19     小泉政権米・印
2004年 --  --   --    --     31     小泉政権--  
2005年177 168    7     2     34     小泉政権米・印
2006年178 167    8     3     47     安倍政権米・印・朝
2007年182 170    9     3     49     福田政権米・印・朝
2008年183 173    6     4     58     麻生政権米・印・朝・イスラエル
2009年181 171    8     2     87     鳩山政権印・朝
2010年185 173   11     1     90     菅政権 
2011年181 169   11     1     99     野田政権
2012年188 174   13     1     99     野田政権
2013年184 169   14     1    102     安倍政権
2014年185 170   14     1    116     安倍政権
2015年185 166   16     3    107     安倍政権中・露・朝

採決参加国数が年度によって変わっていますので、賛成国数ではなく、棄権国や反対国、共同提案国を見るのが妥当でしょう。米国は一貫して反対してきましたが、オバマ政権になって賛成に転じています。インドも同様に反対を続けてきました。なお、インド米国の働きかけで米印原子力平和利用協力協定を2007年に締結し、2008年にはIAEAとの保障措置協定も結び(調印は2009年)、米国議会も米印原子力協力協定を承認しています*1。しかし、2009年も反対していることから、これらが直接的にインド投票行動に影響したかは不明です。

確認した上記範囲において、共同提案国は増え続けてきたわけですが、安倍政権下で始めて減少に転じています。

2014年からの変化

全体国数は185カ国で同じですが、賛成国が4カ国減り、共同提案国も9カ国減り、棄権は2カ国増え、反対も2カ国増えています。

    2015賛成2015棄権2015反対2015国数
2014賛成164カ国 米・英・仏・韓・南アエクアドル(無)  170カ国 
2014棄権ブラジルウガンダ10カ国  中・露  14カ国 
2014反対(無)  (無)  朝    1カ国  
2014国数166カ国 16カ国  3カ国  185カ国 

賛成→賛成(164)

賛成→棄権( 6):エクアドル,仏,韓国南ア英国米国

棄権→賛成( 2):ブラジルウガンダ

棄権→棄権( 10):キューバエジプトインドイランイスラエルモーリシャスミャンマーパキスタンシリアジンバブエ

棄権→反対( 2):中国ロシア

反対→反対( 1):北朝鮮

安倍政権による中国敵視政策が着々と進んでいる感じですね。しかしまあ、中国韓国に対しては、日本は敵視・侮蔑政策を採っていますから、中国韓国が反対・棄権に転ずるのは想定内でしょうし、ロシアも現状を考慮すれば日本提案の決議に反対を表明するのも理解できます。ですが、これまで賛成票を投じてきた米国英国、仏が棄権したというのは、ある程度の衝撃があると言えます。朝日新聞は、オバマ政権米国が棄権したことを非難していますが、2009年以来賛成してきたフランスが棄権したことや、上記範囲内で一貫して賛成してきた英国が棄権したことなどに個人的には注目したいところです。



2002年

 11月22日(日本時間23日)、日本が2002年の国連総会第一委員会に提出した核軍縮決議案「核兵器の全面的廃絶への道程」が、総会本会議で、賛成156、反対2、棄権13の圧倒的多数で採択された。

1.投票結果の詳細

○ 本決議案は、10月23日(現地時間)の第一委員会で、賛成136、反対2(米・印)、棄権13で採択されていたもの。

核兵器国は、英・仏・露が賛成、中が棄権、米が反対。

(2001年は、英・仏が賛成、中・露が棄権、米が反対。)

○ 反対国は、米・印の2ヶ国。

○ 棄権国は、中のほか、ブラジル南アスウェーデンアイルランドメキシコエジプトNZキューバイスラエルミャンマーパキスタン北朝鮮の13ヶ国。

○ 共同提案国は、日本、豪、伊、ウクライナバングラデシュホンジュラスコートジボワールニカラグア、パプア・ニュー・ギニアの9ヶ国。

○ 2001年の採択結果は以下のとおり。

'−第一委員会:賛成124、反対2(米、印)、棄権20

'−本会議:賛成139、反対3(米、印、ミクロネシア)、棄権19

http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/un_cd/gun_un/un_saitaku.html

2003年

12月8日(本邦時間9日)、我が国が本年の国連総会第一委員会に提出した核軍縮決議案「核兵器の全面的廃絶への道程」が、総会本会議で、賛成164、反対2、棄権14の圧倒的多数で採択された。

1.投票結果の詳細

核兵器国は、英・仏・露が賛成、中が棄権、米は反対。(昨年も同様)

○ 反対国は、米・印の2ヶ国。(昨年も同様)

○ 棄権国は、中のほか、ブラジル南アスウェーデンアイルランドメキシコエジプトNZ(注1)、イスラエル北朝鮮パキスタンブータンミャンマーキューバの14ヶ国。

○ 共同提案国は、我が国、豪、伊、ウクライナアフガニスタンエクアドルエルサルバドルガボングアテマラコートジボワールスイス、ツバル、ニカラグアネパールパプアニューギニアバングラデシュフィジー東ティモールホンジュラスの19ヶ国(昨年は9ヶ国)。

http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/un_cd/gun_un/un_saitaku03.html

2005年

ニューヨーク時間8日(本邦時間9日)、我が国が提出した核軍縮決議案「核兵器の全面的廃絶に向けた新たな決意」が、国連総会本会議において、賛成168、反対2(米国、印)、棄権7の圧倒的多数で採択された。本年の我が国核軍縮決議案は、1994年の提出以来最多の支持を集めたこととなる。

1.投票結果の詳細

核兵器国は、英、仏が賛成、中国が棄権、米国は反対、露が欠席。

(本年の第一委員会においては、英、仏、露が賛成、中国が棄権、米国は反対)

•反対国は、米国、印の2ヶ国。

•棄権国は、中国のほか、イスラエル北朝鮮パキスタンブータンミャンマーキューバの7ヶ国。

•共同提案国は、我が国、豪州バングラデシュ、チリ、イタリアネパールニカラグアスペインスイスウクライナ、独、アフガニスタンベルギーボスニア・ヘルツェゴビナコートジボワールグアテマライラクリトアニアルクセンブルクマーシャル諸島オランダノルウェー、パプア・ニューギニアパラオパラグアイサモアソロモン諸島、タイ、東チモールザンビアブルキナファソコスタリカニジェールウズベキスタンの34ヶ国(昨年は31ヶ国)。

http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/un_cd/gun_un/un_hon_saitaku05.html

2006年

ニューヨーク時間6日(本邦時間7日)、我が国が提出した核軍縮決議案「核兵器の全面的廃絶に向けた新たな決意」が、国連総会本会議において、賛成167、反対3(米国、印、北朝鮮)、棄権8の圧倒的多数で採択された。

1.投票結果の詳細

核兵器国は、英、仏、露が賛成、中国が棄権、米国は反対(昨年欠席した露が本年は賛成したことを除き、昨年も同様)。

•反対国は、米国、印、北朝鮮の3ヶ国(昨年は米国、印)。

•棄権国は、中国のほか、イスラエルイランエジプトキューバパキスタンブータンミャンマーの8ヶ国。

•共同提案国は、我が国、アフガニスタンアンドライタリアイラクウクライナエルサルバドルオーストラリアオーストリアオランダカナダキプロスギニアクロアチアグアテマラコートジボワールコスタリカスイススペインスロベニアセネガルセルビアソロモン諸島、タイ、タンザニアチェコ、チリ、独、ドミニカ共和国ニカラグアネパールノルウェーパラオパラグアイ東ティモールフィリピンフィンランドブルガリアペルーベルギーボスニア・ヘルツェゴビナマケドニアマダガスカルモンテネグロリトアニアリヒテンシュタインルクセンブルクの47ヶ国。(昨年は34ヶ国)。

http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/un_cd/gun_un/un_saitaku07.html

2007年

平成19年12月6日

 日本時間6日(米国時間5日)、第62回国連総会第一委員会において、我が国が提出した核軍縮決議案「核兵器の全面的廃絶に向けた新たな決意」(骨子・仮訳・英文(PDF))が、賛成170、反対3(米国、印、北朝鮮)、棄権9の圧倒的賛成多数で採択された。(1994年の初提出以来、最多数の賛成)

1.投票結果の詳細

核兵器国は、英国ロシアが賛成、中国、仏が棄権、米国が反対。

•反対国は、米国、印、北朝鮮の3か国(昨年も同様)。

•棄権国は、中国、仏、イランイスラエルミャンマーパキスタンキューバブータンニカラグアの9か国。

•共同提案国は、我が国、アフガニスタン、豪、オーストリアベルギーボスニア・ヘルツェゴビナブルガリアカメルーンカナダ、チリ、コスタリカキプロスチェコドミニカ共和国エルサルバドル赤道ギニアエリトリアフィンランドガボン、独、グアテマラギニアハイチアイスランドイラクイタリアレバノンリヒテンシュタインリトアニアルクセンブルクマダガスカルモンテネグロネパール、蘭、ノルウェーパラグアイペルーサモアセルビアスロベニアスペインスイス、タイ、マケドニア旧ユーゴスラビア、トーゴトリニダードトバゴウクライナタンザニアウルグアイの49か国(昨年は47か国)。

http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/un_cd/gun_un/un_saitaku0712.html

2008年

 日本時間3日未明(米国時間2日午前)、第63回国連総会本会議において、我が国が提出した核軍縮決議「核兵器の全面的廃絶に向けた新たな決意」(骨子・仮訳・英文(PDF))が、賛成173、反対4(米国、印、北朝鮮イスラエル)、棄権6の圧倒的賛成多数で採択された(1994年の初提出以来、最多の賛成票数を更新)。

1.投票結果の詳細

核兵器国は、英国ロシア、仏が賛成、中国が棄権、米国が反対。

•反対国は、米国、印、北朝鮮イスラエルの4か国。

•棄権国は、中国イランミャンマーパキスタンキューバブータンの6か国。

•共同提案国は、我が国、アフガニスタンアルバニアアンドラ、豪、オーストリアバングラデシュベルギー、ベニン、ボスニア・ヘルツェゴビナブルガリアブルキナファソカナダ、チリ、コスタリカクロアチアキプロスチェコデンマークドミニカ共和国エルサルバドルエリトリアフィンランドガボン、独、ハイチアイスランドイタリアキルギスタンリヒテンシュタインリトアニアルクセンブルクマダガスカルモンテネグロネパールオランダノルウェーパラオパプアニューギニアパラグアイペルーフィリピンサンマリノセネガルセルビアセーシェルスロバキアスロベニアスペインスワジランドスイス、タイ、マケドニア旧ユーゴスラビア、東ティモールトーゴウガンダウクライナタンザニアの58か国(昨年は49か国)

http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/un_cd/gun_un/un_saitaku0812.html

2009年

1.本3日(木曜日)(米国時間2日)、第64回国連総会において、過去最高の87か国の共同提案国とともに我が国政府が提出した核軍縮決議案(「核兵器の全面的廃絶に向けた新たな決意」)は、賛成171、反対2(北朝鮮、印)、棄権8(中国、仏、イランイスラエルミャンマーパキスタンキューバブータン)の圧倒的賛成多数で採択されました。

http://www.mofa.go.jp/mofaj/press/release/21/12/1197716_1112.html

2010年

1.本9日(木曜日)早朝(米国時間8日夕刻),第65回国連総会において,過去最多の90か国の共同提案国をもって我が国政府が提出した核軍縮決議案(「核兵器の全面的廃絶に向けた共同行動」)は,賛成173,反対1(北朝鮮),棄権11(ブラジル中国キューバインドイランイスラエルモーリシャスミャンマーパキスタン南アシリア)の圧倒的賛成多数(過去最多)で採択されました。

http://www.mofa.go.jp/mofaj/press/release/22/12/1209_02.html

2011年

1.本3日(土曜日)(米国時間2日(金曜日)),第66回国連総会において,過去最多の99か国の共同提案国を代表して我が国政府が提出した核軍縮決議案(「核兵器の全面的廃絶に向けた共同行動」)が,賛成169,反対1(北朝鮮),棄権11(ブラジル中国キューバエクアドルインドイランイスラエルモーリシャスミャンマーパキスタンシリア)の圧倒的賛成多数で採択されました。

http://www.mofa.go.jp/mofaj/press/release/23/12/1203_01.html

2012年

1. 本4日未明(米国時間3日午前),第67回国連総会本会議において,2011年同様過去最多の99か国の共同提案国を代表して我が国政府が提出した核軍縮決議案(「核兵器の全面的廃絶に向けた共同行動」)が,賛成174,反対1(北朝鮮),棄権13(ボリビアブラジル中国キューバエクアドル,印,イランイスラエルモーリシャスミャンマーニカラグアパキスタンシリア)の圧倒的賛成多数で採択されました。今年は,賛成国数が過去最多となったほか,核兵器国のうち,米国に加え英国が16年ぶりに共同提案国となりました。

http://www.mofa.go.jp/mofaj/press/release/24/12/1204_02.html

2013年

1 12月6日未明(ニューヨーク時間5日),国連総会本会議において,我が国が過去最多の102か国の共同提案国を代表して提出した核軍縮決議案(「核兵器の全面的廃絶に向けた共同行動」)が,賛成169,反対1(北朝鮮),棄権14(ブラジル中国エクアドルエジプト,印,イランイスラエルモーリシャスミャンマーパキスタン,露,シリアウガンダジンバブエ)の圧倒的賛成多数で採択されました。共同提案国数が100か国を超えたのは今回が初めてです。

http://www.mofa.go.jp/mofaj/press/release/press4_000380.html

2014年

1 本3日(現地時間2日),ニューヨーク国連本部において開催された国連総会本会議において,我が国が過去最多の116か国の共同提案国を代表して提出した核軍縮決議案(「核兵器の全面的廃絶に向けた共同行動」)が,賛成170,反対1(北朝鮮),棄権14(ブラジル中国キューバエジプト,印,イランイスラエルモーリシャスミャンマーパキスタン,露,シリアウガンダジンバブエ)の圧倒的賛成多数で採択されました。

http://www.mofa.go.jp/mofaj/press/release/press4_001535.html

2015年

1 本8日(現地時間7日),ニューヨーク国連本部において開催された国連総会本会議において,我が国が107か国の共同提案国を代表して提出した核兵器廃絶決議案(「核兵器の全面的廃絶に向けた新たな決意の下での共同行動」)が,賛成166,反対3,棄権16で採択されました。

【参考】今回の決議案に対する採択結果

賛成 : 166

反対 : 3(中国北朝鮮ロシア

棄権 : 16(キューバエクアドルエジプト,仏,インドイランイスラエルモーリシャスミャンマーパキスタン韓国南アシリア英国米国ジンバブエ

http://www.mofa.go.jp/mofaj/press/release/press4_002751.html

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