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原油生産量の目標は OPEC総会始まる
12月4日 18時46分

OPEC=石油輸出国機構の総会が4日、オーストリアのウィーンで始まり、原油価格の下落が続き加盟国の財政を圧迫するなか、生産量の目標についてOPECがどのような判断を示すのか注目されます。
OPECの総会は本部のあるオーストリアのウィーンで、日本時間の4日午後6時すぎに始まりました。原油価格は、中国経済の減速による需要の伸び悩みや供給過剰を背景に、値下がり傾向が続いていて、国際指標の一つ、北海産の原油の先物価格は1バレル=40ドル台と、前回の総会が開かれたことし6月からおよそ30%下落しています。
このため総会では、原油安によって財政が急速に悪化している南米のベネズエラや北アフリカのアルジェリアなど複数の加盟国から、原油価格の一段の下落を防ぐには減産が必要だという意見が出されるものとみられます。
これに対し、去年11月と前回のことし6月の総会で減産は必要ないと主張してきた、OPEC最大の産油国、中東のサウジアラビアがどう対応するのかが大きな焦点となります。
市場では、サウジアラビアが方針を転換する可能性は低いとみられていますが、今回OPECが減産に踏み切れば、世界的な金融危機で景気が悪化し、需要が減少した2008年12月以来7年ぶりとなり、OPECの判断が注目されます。

最近の原油価格の動きは

去年秋以降値下がりが続いていた原油価格は、去年11月にOPEC=石油輸出国機構が減産を見送ったことで下落に拍車がかかり、ことし1月には、国際指標の一つ、北海産の原油の先物価格が、一時、1バレル=45ドル台前半をつけました。
その後、アメリカでのシェールオイル開発が減速したことや、大手エネルギー会社が原油の開発投資計画を縮小させたことなどから、5月上旬にはことしの最高値となる1バレル=69ドル台まで上昇。こうしたことから、OPECは6月の総会でも生産目標を据え置きました。
しかし7月に、イランと欧米などとの間で核開発問題を巡る協議が最終合意に達し、イランからの原油の輸出が増えるのではないかという観測が出たことなどから、再び下落に転じます。
さらに、中国の景気減速で原油の需要が低迷するのではないかという見方も加わって、原油価格は1バレル=40ドル台での取り引きが続いています。
一方、ニューヨーク原油市場では、供給過剰な状態が長引くという見方などから、国際的な原油取引の指標となるWTIの先物価格が、一時1バレル=40ドル台を割り込むなど、原油価格は低迷が続いています。

産油国サウジ 原油安の影響は

OPEC最大の産油国サウジアラビアは国家収入の8割を原油の輸出に依存しており、IMF=国際通貨基金によりますと、長引く原油安の影響でことしの財政赤字はGDP=国民総生産の20%になる見込みです。
去年8月に7300億ドルを超えていた対外資産も6500億ドルを切り、IMFはこのまま取り崩しを続けると5年で枯渇すると警告しています。
財政状況が厳しくなるなか、サウジアラビア政府はことし、8年ぶりに国債を発行しました。また政府などからは、光熱費や水道料金などを抑えるために毎年1000億ドル以上が投入されている補助金について見直しを検討するべきだという発言も聞かれるようになり、このうち水道料金については、今月から大口契約者に対して、5割の値上げが行われます。
補助金削減の動きに対しては、市民から不安の声も聞かれますが、JETRO=日本貿易振興機構リヤド事務所の三束尚志所長は、「これまでにいわゆるアラブの春とよばれる民主化運動で、チュニジアやエジプトが転覆したのを目の当たりにしてきたので、政府は、市民を対象にする補助金削減は最後の手段として取っておきたいと考えている」と話し、今のところ、補助金の削減対象を一部にとどめると分析しています。
財政の圧迫を続ける補助金の削減などをさらに拡大する必要があるのかどうか、サウジアラビア政府は慎重に見極めるものとみられます。

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