故中川イセさん 波乱の人生朗読劇に
天童市の俳優今田由美子さん(53)が、同市出身で北海道網走市議、名誉市民となった中川イセさん(1901〜2007年)の半生を描く朗読劇の準備を進めている。里子に出され、未婚の母となって単身北海道に渡った波乱の生涯の一端を伝えようと、今夏の初公演に向けて脚本家らと打ち合わせを重ねている。
中川さんは不遇な少女時代を過ごし長女を出産、養育費を稼ぐため18歳で網走の遊郭に入った。牧場経営者の息子と結婚後、47年に網走市初の女性市議となり7期28年間務め、上水道敷設などに尽力した。90歳で名誉市民に推され、105歳で生涯を閉じた。
市議引退後も網走監獄保存財団や社会福祉法人の理事長を歴任した。気さくで面倒見の良さから「中川のばっちゃん」と慕われたという。
今田さんは10年ほど前に中川さんの存在を知った。里子に出された山寺村荒谷(天童市荒谷)にある荒谷小の後輩に当たり、縁を感じながら構想を温めてきた。
取材のため、実家が網走にある脚本家の甕岡(かめおか)裕美子さん(56)と昨年12月に現地を訪問。親交のあった元市議らに人柄や思い出、逸話を聞いた。2月には山形市内でスタッフ会合を開くなど、網走市で予定する初上演に向け追い込みに入った。
「知れば知るほど、困難に立ち向かい自分で運命を切り開く姿に感激した」という今田さんは、「中川さんに力をもらい物事の考え方が変わった。生きる力になる作品にしたい」と思いを語る。
今田さんは、無医村だった大井沢村(現山形県西川町)で地域医療に生涯をささげた志田周子(1910〜62年)をモデルに、一人芝居を県内外で上演してきた。「山形の女を物語るシリーズ」の第2弾として中川さんを取り上げる。
中川さんが荒谷小などに図書を寄贈したことをきっかけに、天童市と網走市は観光物産交流都市協定を結んでいる。
2015年03月11日水曜日