【2012年8月23日】7月にワシントンD.C.で行われた国際エイズ会議2012の開会式で、UNAIDS国連合同エイズ計画UNAIDSのミシェル・シディベ事務局長Michel Sidibeは、韓国がHIV感染者に対する渡航規制を撤廃したことに言及し、会場から喝采を得た。スピーチの数時間前、韓国国際外交省副大臣のキム・ボンヒュン氏 Kim Bong-hyun が同じ内容のスピーチを行っていた。韓国は同様の宣言を2010年にもしているが、実は、これに伴う法改定をしているのかは定かではない。
2010年当時、慶熙大学法学研究科のベンジャミン・ワグナー教授 Benjamin Wagner は、実は韓国は法律や規定を改定していないと指摘していた。入国管理法では疫病を持っている者の入国を禁止しているが、その一方で、韓国は、旅行者に対しては、HIV検査を実施したりHIV検査結果の提示を求めたことはない。入国管理法でHIVを特記していないため、韓国政府は現状でもHIVを「疫病」として指定すれば、今後もHIVに感染している旅行者の入国を拒否することができる。
実質的な進歩をする為には韓国政府は差別的なエイズ予防法を改正する必要がある。入国管理法8(3)条では、長期滞在者、特にE-6就労ビザ保有の滞在者(芸能関係者、プロ競技選手)はビザの申請書と共にHIV陰性証明書を提出しなければならないとしている。もしもこの滞在者がHIV陽性と判明したり、HIV陽性者が韓国人と性的関係を持つことが判明した場合、政府は入国管理法46(1)条を行使し滞在者を国外退去させることができる。
加えて、E-2ビザで入国する外国語講師とその他旅行者も入国から90日以内にHIV検査を受けることが義務付けられていたが、人種差別撤廃の為の国連国際委員会の前に、この規則は変更された。この変更に尽力した韓国在住の英語講師でニュージーランド出身のリサ・グリフィン氏 Lisa Griffin は「HIV検査の義務化の実施は、外国人をHIV感染の危険性の高い人物と特定することであり、外国人に対する迫害につながる」と主張する。
2011年アジア太平洋地域のエイズ国際会議を韓国・釜山にて開催するにあたって多くの支援を行った著名な活動家、ヴィンス・クリソストモ氏Vince Crisostomoは、韓国社会の外国人に対する態度は大変差別的だと語る。HIV/エイズ の議論は韓国ではタブーとされており、多くの韓国人はHIV/エイズは外国人の病気だと考えている。韓国が初めてHIVを報告した1985年より、この概念は韓国内にいまだ残っており、法的・政治的に、エイズ対策に大きく影響している。
2007年ソウル高等裁判所が、HIV陽性者である韓国系の中国人在住者が国外退去となった事例に関し、これを人権侵害だと認定したことは大きな進歩であった。しかし、判決の6カ月後、政府は英語を母国語とする英語教師に対しHIV検査を義務化した。
国連合同エイズ計画 UNIAIDSとアジア太平洋地域HIV陽性者ネットワーク(APN+)は、キム副大臣による宣言は、韓国のエイズに対する法的対応の改善とみなすべきだとしている。最近創刊された韓国ヘラルド紙で、ダニエル・フィエルダー教授Daniel Fiedler(法学)は、韓国はオーストラリアや太平洋地域で導入されているような国際的な人権基準を満たす査証制度を導入するべきだと提案している。
このようなプログラム下で、HIV検査の義務は、就労又は、体液への接触や感染への高いリスクが予想される医療分野への従事もしくは留学を目的としている査証申請者のみに課せられる。法改正への具体的な段階なしでは、韓国政府の2年連続での宣言はうつろに響くだけだ。
原題:Republic of Korea Gets Unearned Praise, Again, for Lifting HIV Travel Ban
出典:Asia Catalyst
日付:2012/08/23
URL:
http://asiacatalyst.org/blog/2012/08/commentary-republic-of-korea-gets-unearned-praise-again-for-lifting-hiv-travel-ban.html
実質的な進歩をする為には韓国政府は差別的なエイズ予防法を改正する必要がある。入国管理法8(3)条では、長期滞在者、特にE-6就労ビザ保有の滞在者(芸能関係者、プロ競技選手)はビザの申請書と共にHIV陰性証明書を提出しなければならないとしている。もしもこの滞在者がHIV陽性と判明したり、HIV陽性者が韓国人と性的関係を持つことが判明した場合、政府は入国管理法46(1)条を行使し滞在者を国外退去させることができる。
加えて、E-2ビザで入国する外国語講師とその他旅行者も入国から90日以内にHIV検査を受けることが義務付けられていたが、人種差別撤廃の為の国連国際委員会の前に、この規則は変更された。この変更に尽力した韓国在住の英語講師でニュージーランド出身のリサ・グリフィン氏 Lisa Griffin は「HIV検査の義務化の実施は、外国人をHIV感染の危険性の高い人物と特定することであり、外国人に対する迫害につながる」と主張する。
2011年アジア太平洋地域のエイズ国際会議を韓国・釜山にて開催するにあたって多くの支援を行った著名な活動家、ヴィンス・クリソストモ氏Vince Crisostomoは、韓国社会の外国人に対する態度は大変差別的だと語る。HIV/エイズ の議論は韓国ではタブーとされており、多くの韓国人はHIV/エイズは外国人の病気だと考えている。韓国が初めてHIVを報告した1985年より、この概念は韓国内にいまだ残っており、法的・政治的に、エイズ対策に大きく影響している。
2007年ソウル高等裁判所が、HIV陽性者である韓国系の中国人在住者が国外退去となった事例に関し、これを人権侵害だと認定したことは大きな進歩であった。しかし、判決の6カ月後、政府は英語を母国語とする英語教師に対しHIV検査を義務化した。
国連合同エイズ計画 UNIAIDSとアジア太平洋地域HIV陽性者ネットワーク(APN+)は、キム副大臣による宣言は、韓国のエイズに対する法的対応の改善とみなすべきだとしている。最近創刊された韓国ヘラルド紙で、ダニエル・フィエルダー教授Daniel Fiedler(法学)は、韓国はオーストラリアや太平洋地域で導入されているような国際的な人権基準を満たす査証制度を導入するべきだと提案している。
このようなプログラム下で、HIV検査の義務は、就労又は、体液への接触や感染への高いリスクが予想される医療分野への従事もしくは留学を目的としている査証申請者のみに課せられる。法改正への具体的な段階なしでは、韓国政府の2年連続での宣言はうつろに響くだけだ。
原題:Republic of Korea Gets Unearned Praise, Again, for Lifting HIV Travel Ban
出典:Asia Catalyst
日付:2012/08/23
URL:
http://asiacatalyst.org/blog/2012/08/commentary-republic-of-korea-gets-unearned-praise-again-for-lifting-hiv-travel-ban.html