こんにちは。
いつもこのブログやパソコンで書き物をしている時は
なんらかの音楽を聴いている事が多いんだけど、
先日はアニメ映画の「千年女優」で有名な
平沢進さんの「ロタティオン」をBGMにしていました。
んでもって、その次の日に
昭和の大女優「原節子」さんの報道を知り
そのタイミングにめっさ驚き。いつかこの千年女優を
ブログで紹介したいと思っていたので
本日は、この映画について。
この映画の主人公は昭和(たぶん)の大女優、千代子。
千代子のモデルはもちろん原節子さんです。
彼女はあるきっかけから、太平洋戦争へ向けて
動いていこうとする日本の誤りを正すための活動を続け、
特高警察に追われている青年を匿った事で、
彼に一目惚れします。 男はその後に行方不明となり
千代子も彼の安否を気遣うものの連絡の手段もない。
男性の事で悩み続けていたそんなある日。
千代子は女優にならないかと?スカウトを受ける事になります。
行方不明の男に自分がどこにいるか伝えるためだけに、
千代子は女優になる事を決意。以来、大スターとして
多くの映画に出演する大女優となりました。
そして、時代は移り変わって現在。千代子は
30年前に、いきなり芸能界を引退。
以後、たったひとりで隠遁生活を送り続けてきました。
この物語はその年老いた彼女の生涯をドキュメント風につづる形で始まります。
インタビュアーは老婆となった千代子に彼女の人生を問い、
彼女もまた、それを語りはじめます。千代子はそれを語る時に若返り
その時代毎に出演した作品の登場人物となって自らの人生を振り返っていきます。
時には戦国の時代を生き抜いた姫、時には近未来SFの宇宙飛行士などなど。
現実の時間の合間に割って入る出演作の物語や彼女の演じた
配役のエピソード、その撮影時期の千代子自身の記憶を通じて
インタビュアーは千代子の人生に触れます。
たくさんの映画でヒロインを演じていた千代子ですが、
実は、どの作品にもある共通点がありました。
ヒロインは恋人と生き別れになり、エピローグでも恋人に会えない。
平安時代でも、戦国時代でも、近未来でも千代子の演じるヒロインは
実際の千代子が恋した青年にそっくりな男性に出会うけど、
どの作品でも生き別れになり、離れ離れになってしまう。
それは映画という箱庭を通じて、千代子として産まれる前に
生きた前世から、今後待ち受ける生まれ変わった先の未来を
写すようでもあります。 おそらくこの二人は実際に前世で
出会っており、来世でも巡り会う運命。それを暗示しているのでしょう。
千代子はどの時代に生まれ変わっても必ず彼と出会う宿命にあるものの、
いつになっても2人が結ばれるという結果にたどり着けないのです。
そしてこの作品の最後。
インタビュアーは「いつかその男性と逢えますよ」と千代子に語りかけます。
ところが静かな口調で千代子はこう呟くのです
「(会えても会えなくても)どっちでもいいのかも知れない・・・」
この発言の真意はどこにあるのか。人によって物語の解釈は異なるでしょうけど
僕がこの作品から感じられたのは
「恋愛」はどこまでいっても幻想であり、その幻想を追いかける人生は幸せだ。
そして人間はどこまでいっても、自分のエゴのためにしか生きられない。
っていうところでしょうかね。
ちなみ僕は、映画のラストシーンで泣く手前でした。
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