【寄稿】「中進国のわな」に陥った韓国経済

【寄稿】「中進国のわな」に陥った韓国経済

 米次期大統領の有力候補、ヒラリー・クリントン前国務長官が5年前、米中経済戦略会議で引用したことで有名になった2000年前の中国の故事がある。「逢山開道、遇水架橋」(山にぶつかれば道を開き、水にぶつかれば橋を架ける」という故事成語で、「三国志」の中で赤壁の戦いに敗れた曹操が不屈の意志を吐露したものだ。

 先月会った世界最大のプライベートファンド、ブラックストーンのスティーブン・シュワルツマン会長からも似たような言葉を聞いた。中国の景気低迷の影響が深刻化しているが、中国経済の底力は新興起業家によるチャレンジ精神にあり、米国経済のリーダーシップはシリコンバレーのような強い創意性、ソフトパワーにあるとの指摘だ。

 金融市場の関心は16日に米連邦準備理事会(FRB)が利上げを決定するか否かに集まっている。2006年以来の利上げが確実視され、今後も追加利上げが予想される中、既に中国の景気低迷や原材料価格暴落で危機に直面している新興国は直撃を受け、世界経済の回復はさらに遅れる見通しだ。さらに人民元が国際通貨基金(IMF)の特別引出権(SDR)構成通貨となったことで、世界の通貨戦争が過熱し、国際金融秩序の再編も加速している。

 世界経済の荒波の中で「大韓民国号」は座礁している。成長をけん引してきた輸出が11カ月連続で減少し、企業の売上高は史上初めて前年比で減少した。日本と根源的技術の面で格差が広がり、中国には猛烈に追い上げられ、韓国の主力産業の国際競争力は崖っぷちに追い込まれた。来年をピークに生産年齢人口が減少し、経済は先進国入りを果たせないまま、人口構造だけが先進国型へと悪化し、韓国経済の活力はさらに低下することになる。

全光宇(チョン・グァンウ)延世大教授(元金融委員長)
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