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退職するなら社内の残業の隠蔽方法を告発してくれないかと言われた。

商社での仕事

現在、僕は勤めている会社の退職手続きを進めているのだが、過労による休職を経験したり、従業員組合にクレームを入れたりしていた関係なのか、「よければこの機会に貴部の労働実態を全て告発してほしい」と従業員組合から接触があった。

 

もう会社を辞めるので、これから会社の労働環境がどうなろうが知った事ではないのだが、善意で一応Yesと回答した。近く、従業員組合と人事部と面談を行って、所属部署の労働環境について話をする事になった。

 

従業員組合が特に興味を持っているのは、部署でどのように残業時間の粉飾が行われていたのか、についてのようだ。知っての通り、僕の部署は社内でも曰くつきの超ブラック部署だ。以前から、社内的にもキチガイじみた部署だという悪評は立っていたようだが、労働組合や人事としては、悪事のしっぽを実際に掴めずに困っていたらしい。

 

そこで、これまでに実際に残業時間を粉飾した(させられた)方法を振り返ってみたい。

 

1. 超長期の海外出張に出る

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これが最も大胆な手段だろう。海外では国内の労務管理が及ばないため、定時という概念が消失する。それに伴い残業という概念も無くなるので、幾ら働こうが残業時間も残業代もゼロになるという裏ワザだ。

例えば、一年目の僕は、4月から9月までの6ヶ月間の残業時間が600時間に達しそうな勢いだったので、当時、人事部から警告を受けた(600時間は以下2〜4の工作後の数字。実際には900時間ほど残業していた)。「警告も来ちゃったし、海外に避難しろ」そんな上司の命令が発出されたのは、警告の翌日である。一路中東へ飛んだ僕は、6ヶ月間海外で昼夜問わず働く事になった。

このような顛末であるが、上司の「避難しろ」メールは今も保存してあるので、粉飾の動かぬ証拠となるだろう。

2. 業務中に私用で「離席」した事にする

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基本的に、残業時間の管理は、オフィスの出入り口に設けられたセキュリティーゲートを通る際、セキュリティーカードをスキャンする事で行う。つまり、出社・退社時間は誤魔化そうにも誤魔化せない。

そこで生まれた裏ワザが、「業務時間中に私用で離席しました」と申請する事である。「4月23日、この日は定時の間に3時間私用で席を離れました(例えば、社内のカフェテリアでコーヒーを飲んでいた、等)」と申請すると、3時間残業しても、その日の残業時間は離席の3時間を差し引いて0になるわけだ。

しかし、この裏ワザについては、「毎日3時間以上かけてコーヒーを飲んでいる社員がいる」と人事部の中ですぐに不信が広がり、禁じ手となった。 

3. セキュリティーカードを忘れた事にする

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離席が禁じ手となった後に生まれた新たな裏ワザが、セキュリティーカードを忘れたふりをする事だ。オフィス入口でセキュリティーカードを忘れたと申告すると、その日は外来のカードを渡され、このカードでオフィスから出入りする事になる。

当然、カードを拝借する際には社員名・番号を控えられるが、この外来カードを使えば、自分のカードを使っている時のように、自動的に出社・退社時間と社員名が記録されてしまうことはない。

外来カードを使用した社員の出社・退社時間を把握するためには、社員名・番号を記入したオフィス入口の名簿と、その社員が使用したカードの番号とを照会しなければならない。しかし、人事部はそれを怠っているので、外来カードを使った社員は透明人間になっている。

4. AM5時以降に退社する

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最後の裏ワザは、夜を徹してオフィスに籠城する事である。自分のセキュリティカードを使っていても、セキュリティーカードは朝5時に日付が変わったとしてリセットされてしまうので、それ以降に退社すると「退社時間=エラー」となる。この場合、システムの不具合として人事部から連絡が来るので、そこで「え?昨日は定時退社でしたよ?」としらばっくれるわけだ。

この裏ワザはかなり有効ではあるが、社員の体力を削り取るという諸刃の剣である。当部では、夜の3時頃に仕事が終わったとしても、残業時間が積み上がっていて警告が来そうな場合には、朝まで粘るという気合と根性の文化が根付いている。

 

僕の告発により、果たして裏ワザは全て禁じ手となるのであろうか。

<激務関連①:商社の激務っぷりについて> 

<激務関連②:総合商社の激務の構造について>