2010-01-15
ねずみ講容疑、元会長ら逮捕=ネット機器販売名目
「Lively」の元幹部会員は昨年、読売新聞の取材に応じ、詳細な手口を語った。社会経験が浅く「もうかる」との誘い文句に簡単にだまされてしまう学生像と、新手の“集金手法”を次々と生み出すグループの存在が浮かび上がる。
「君もヒルズ族のような成功者になれる」。同社の事務所や、ビルの借り部屋で開いたセミナーで、元幹部会員は熱く語ったという。
「面白い話がある」などとあいまいな言葉で若者を誘う。「これだけもうかる」と金額を示し、最後に「人数限定だから」と言うと、多くがその場で契約した。書面はチラッと見せるだけ。細かくは説明しない。会員の大半は契約内容をほとんど理解していなかった。
会員は20歳代前半がほとんどで、その半数は大学生。ゼミやクラスの名簿を持ち込ませたうえ、ネットの交流サイトを駆使した結果、会員は急速に拡大した。
通常、こうしたマルチ業者は学生を避ける傾向があるという。悪評が広がるのが早いためだが、元幹部会員は「社会を知らない学生は、『あの先輩が言うのだから』と、すぐ信用する。途中で疑い始めても、自分は借金をしたくないから友人を誘ってくれる」と言う。
同社は、宝石や美顔器などを販売するマルチ業者から独立した数人が設立した。主要メンバーの中には、同社が解散する直前に、携帯電話を使ったネット広告収入をうたい文句にした新会社を作った者も。
「この業界では、同じ人物やグループが次々と新手法を生み出している。自分自身の金もうけという夢をかなえる一つの方法だ」。元幹部会員は、こともなげに言った。
IT関連会社を装い、若者を中心に端末機代や登録料名目で約7億1千万円を集めた「ライブリー」(解散、大阪市住之江区)によるねずみ講事件で、勧誘の際にうたっていたインターネットのポータルサイトをつくる事業に充てられたのは、わずか約200万円だったことが14日、捜査関係者への取材でわかった。
府警によると、無限連鎖講防止法違反容疑で逮捕された同社元役員、前田壮一容疑者(33)は約1900人の会員のトップに位置し、会社設立から約2年間で約3千万円の配当金を受け取っていた。
捜査関係者によると、同社が集めた約7億1千万円のうち約2億5千万円はクーリングオフで会員に返還。約1億5千万円は配当金に回され、残りは人件費などに充てられていた。
同社の収益の大半は会員から集めた出資金で、ポータルサイト事業の実現性はほとんどなかった。府警は、同社がねずみ講行為を隠すために端末機などの商品を介在させ、合法のマルチ商法を装ったとみている。
逮捕された前田容疑者ら元幹部4人は「物(インターネット端末機)があるのでねずみ講にはあたらないと思っていた」「マルチ商法でねずみ講ではない」などと供述し、全員が容疑を否認しているという。
ねずみ講を運営したとしてインターネット端末機を販売していた大阪市中央区の「Lively(ライブリー)」=解散=の自称元会長、城間勝行容疑者(37)ら元幹部4人が逮捕された事件で、同社が「ネットの仮想空間から広告収入が入る」と説明、接続に端末機が必要と勧誘していたことが14日、京都府警への取材で分かった。
府警によると、4人は「物があるからねずみ講にならないと思った」などと容疑を否認。府警は約40万円で販売していた端末機などが実際には3万円程度で、仮想空間も収益を見込める事業ではなかったとみて実態解明を進める。
同社は「マトリックスシティ」という仮想都市をネット上に開設すると説明し、3次元のビルが立ち並ぶ映像などを見せて勧誘。「いずれアバター(利用者の分身)が街を歩き、買い物できるようになり広告収入が入る」と端末機とソフトの購入費名目で1人当たり約40万円を集めていた。
一方、代理店になった若者には、新たに2人を誘い入れる“ワンペア”で7万〜8万円、その下に2人ずつを誘い入れる“ツーペア”で14万〜15万円が入る仕組みにし、勧誘をあおっていた。
インターネット上の仮想都市の中で広告収入を得られるなどと持ち掛け、ねずみ講式に京都市内の大学生らから金を集めたとして、京都府警生活経済課と北署は14日、無限連鎖講防止法違反の疑いで、大阪市にあったIT関連会社「ライブリー」(解散)の元会長城間勝行容疑者(37)=大阪市天王寺区=ら4人を逮捕した。
■学生ら約7億円被害
府警などによると、同社はネット上に3次元空間サイト「マトリックスシティ」を開設し、買い物や映画鑑賞ができるようにするとして会員を募り、2005年5月〜08年2月ごろに大学生らを含む約1900人から計約7億1千万円を集めたという。
ほかに逮捕されたのは、ライブリー関連会社役員の城間博行(44)=堺市=やライブリー元社長柏木文男(47)=奈良県斑鳩町、同取締役前田壮一(33)=大阪市西区=の3容疑者。
逮捕容疑は共謀し、仮想都市に接続できるとうたった携帯端末機の購入名目などとして、1口約30万円と約40万円で代理店登録するよう勧誘した。新たに会員を増やせば2万〜40万円の報酬を支払う仕組みで、05年5月〜07年4月に立命館大生ら25人から計約930万円を集め、ねずみ講を運営した疑い。
城間勝行容疑者は京都新聞社の取材に対し「ねずみ講のつもりはない」と話した。
同社をめぐっては、京都府と大阪府、兵庫県が08年3月、特定商取引法に基づき6カ月の業務停止とした。同年4月、弁護士が府警に告発した。
「3D空間ポータルサイト」につながるとうたったインターネット接続機器をねずみ講式に販売したとして、京都府警生活経済課は14日、無限連鎖講防止法違反容疑で、大阪市天王寺区烏ケ辻、IT関連業「ライブリー」(解散)元会長城間勝行容疑者(37)ら4人を逮捕した。同課は同日朝、城間容疑者宅など関係先を家宅捜索した。
同課は城間容疑者らが2005年以降、全国約2000人の会員から7億円余りを違法に集めたとみて捜査を進める。
ほかに逮捕されたのは、奈良県斑鳩町龍田南、同社元社長柏木文男容疑者(47)、大阪市西区南堀江、同社元取締役前田壮一容疑者(33)ら。
逮捕容疑によると、城間容疑者らは05年5月〜07年4月、買い物やゲームができる「マトリックスシティー」と銘打ったサイトに接続する携帯端末や関連ソフトなどの購入をねずみ講式で勧誘。大津市の男子大学生(24)のほか、東京都や大阪府、神戸市などに住む24人から計約930万円を集めた疑い。