マイナンバー「受け取り拒否」しても問題なし!こんな「政府のための制度」がいらない理由

2015年11月08日(日) 週刊現代

週刊現代賢者の知恵

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マイナンバーの活用・提示が想定されているケースごとにそれを検証していこう。

【会社に番号提出を求められたら】

サラリーマンなら、すでに人事や経理から番号の提出を求められている人も多いだろう。だが実は、応じなくても罰則規定はない。

社会保険労務士の北見昌朗氏が解説する。

「提出を拒否すれば、『出してください』と、経理や人事から督促を受けます。しかしそれでも嫌だといえば、『督促をした旨』を記載した上で、人事は税務署に提出する。税務署はそれを受理してくれます。

企業にも提出しなかった社員にも、現状では何ら罰則規定はありません。今後も、提出しないからペナルティを科す、ということはできないと思います」

ただ、あえていえば、国税からマークされるケースはあるかもしれないと語るのは、前杉並区長で一般社団法人国家経営研究会代表理事の山田宏氏だ。

「私はかつて杉並区長として住基ネットに反対しましたが、その後、税務署が頻繁に調査に来るようになりました。もちろん向こうは『関係ない』と言いますが、私からすればそうは思えない」

とはいえ、番号を出さなかった人を一人ひとり調査するとなれば、膨大なコストと手間がかかる。きちんと納税をしていれば、ほとんど心配はいらないということだ。

口座との紐付けは不可能

【番号なしで銀行口座は開設できるのか】

預金口座との紐付けは、「公正な徴税」を目的とする、マイナンバー制度の肝。'18年からは任意による紐付けが開始され、その3年後の'21年からは義務化が検討されている。

だが、やはり心配はいらない。前出の水永氏が断言する。

「義務化される可能性があるのは、あくまで新規口座。しかも、これも検討段階にすぎない話です。そして、いま使っている口座を強制的に番号と紐付けをさせるのは事実上不可能。紐付けしなければ口座を凍結するなどという措置は、財産権の侵害にあたり、憲法違反になるからです」

口座との紐付けについては、他にもできない理由がある。『大事なことだけすぐにわかるマイナンバー制度』を監修した税理士の青木丈氏が語る。

「紐付けについては、金融機関もあまり乗り気じゃありません。番号がないと口座が作れないなどと言えば、口座を開設してくれない人が出てくるかもしれませんからね。

番号を提出した際のメリット、しなかった場合のデメリット、共に特にありませんし、預金との紐付けは現実味がありません」

金融機関へ番号を提出する必要がないのだから、当然、従来通りの手続きで、融資を受けられるし、ローンも問題なく組める。

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