「Windows 10」法人導入の手引き

「Windows Update for Business」の展開方法と「CB/CBB」のサポート期間

胡口敬郎 2015年12月08日 07時00分

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 「Windows 10」を企業で活用するための機能や展開方法を解説する本連載の第3回目はWindows 10の最大の特徴である「Windows as a Service」を取り上げ、その概要と実際に展開を管理するための「Windows Update for Business」の機能や設定方法について解説したい。

なぜ「サービスとしてのWindows」モデルになったのか

 「Windows as a Service」(以下WaaS)は、MicrosoftがWindows 10搭載デバイスに対し、機能の追加や強化のためのアップグレードモジュールを定期的かつ継続的に無償で提供する、新しいコンセプトモデルだ。

 これまでのWindowsでは、新しいバージョンをリリースしてから約10年間をサポート期間とし、その期間中は新たなマルウェアへの対応や脆弱性対応のため、セキュリティ更新プログラムやバグフィックスを定期的に無償提供してきた。そして、おおよそ3年のサイクルでメジャーバージョンアップを行い、有償のアップグレードライセンスで最新のWindowsにアップグレードしてもらう形態となっていた。


「Windows as a Service」の概念

 ここでのポイントは、従来のWindowsでは、市場にリリースしたあと原則として機能追加をしなかった点にある。例えばWindows 7に対しては、市場にリリースした後、バグ対応のための修正は実施したが、ユーザーや市場からの機能向上の要望を受けて機能追加をすることはなかった。

 Microsoftは、Windows XP以前の世代ではService PackやFeature Packという形で機能追加を実施してきた。しかしWindows Vista以降、Service Packを累積パッチという位置付けに変更し、ここには大きな機能追加は組み込んでいない。結果、Windows 7ユーザーへの新機能の提供は次のメジャーバージョンであるWindows 8以降、最悪3年後という状況だった。

 しかし昨今、急速に拡大している標的型攻撃などへの対応や、働き方を多様化するワークスタイル変革へのITの柔軟な対応を実現するために、迅速な機能実装が求められている。機能の実装に数年を要する状況がそぐわなくなってきた。

 WaaSというコンセプトは、Windowsに新機能を実装するまでの時間を短縮し、ユーザーや市場からの要望にいち早く応えるために登場したもので、今後、機能向上のためのアップグレード用のモジュールは、Windows Updateを経由して継続的に無償で提供されるようになる。これは同時に、3年ごとのメジャーバージョンアップという提供形態が終了したことも意味しており、Windowsは10が最終バージョンになる。

Windows 10の更新モジュールの構成とバージョン表記

 Windows 10のアップグレードは、MicrosoftがWindows Updateから提供する2種類のモジュールで構成される。1つは「Feature Upgrade」と呼ばれる機能追加をともなうアップグレードモジュール。もう1つは従来の更新プログラムに相当する「Servicing Update」だ。

 Feature Upgradeのバージョンは従来Build番号で表記していたが、11月の新Buildからは年と月を記載するバージョン番号を振ることになった。最新のFeature Upgradeはバージョン「1511」で、「Windows 10 Ver.1511」と表記する。

 そしてServicing Updateは、それぞれのFeature Upgradeバージョン向けに対応版パッケージの形でリリースする。記事公開時点(2015年12月)においては、リリースBuild(ver.1507)向けのServicing Updateと、ver.1511向けのServicing Updateの2つのパッケージを提供している。

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