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三省堂「編集会議」、営業活動と密接に関係

三省堂が開催した「編集会議」

 教科書会社「三省堂」が「編集会議」の名目で小中学校の教員に検定中の教科書を閲覧させて現金を渡していた問題で、同社は7日、記者会見して内部調査結果を発表した。編集会議は、同社の営業担当者が出席者を選ぶなど、営業活動と密接に関係していた。

     同社は再発防止策として、出版局、営業局から独立した部署を新設し、教科書関連業務の法令順守をチェックする方針を示した。教員への謝礼に関する内規も作り適正化する。

     調査結果によると、2009年度に新規参入した小学校国語はシェアが1%に満たず編集会議は09年のみで打ち切られたが、約2割のシェアを持つ中学校英語は10年、14年と続けられた。編集会議はいずれも東京都内のホテルで、09年2回▽10年4回▽14年1回の計7回開いた。09年度は小学校の教科書、10、14年度は中学校の教科書の検定時期だった。

     各地の営業担当者の人選で、青森、愛知、大阪、福岡など26都府県の計53人の教員(校長、教頭ら)が出席した。5万円の謝礼が支払われ、宿泊費や交通費、会議後の懇親会費も同社が負担した。

     会見した同社の滝本多加志・出版局長は、09年度から参入した小学校国語はシェアが0.9%にとどまったため、「教科書編集に人や時間をかけづらい状況だった」と編集会議を09年のみでやめた理由を説明した。国語については小中とも、4年後の次回検定時に会議は開かなかったという。

     中学校の英語に関しては、社内から「続けていいのか」という異論が出ていたという。しかし、滝本氏は「(国から)小学校で英語を教科化するとの方向性が示され、小中連携が課題だったので、教科書に反映できないかという編集上の働きかけがあった」と述べた。シェアは、10年の会議後に20.2%から約4ポイント伸び、14年の会議後は横ばいだった。

     文部科学省は、各地の教育委員会が使用する教科書を選ぶ「採択」に一連の会議が影響を与えていないか調べる。【三木陽介、高木香奈】

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