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 11月の大阪ダブル選は、「大阪都構想」再挑戦を掲げた大阪維新の会の候補が圧勝した。大阪市の5月の住民投票で廃案になったのになぜなのか。住民投票では反対が多かった「反対区」を歩き、特に動向が大きく変わったとされる高齢者に心境を尋ねてみた。

 「大阪市をなくしていいのか……。賛成するほどの自信はなかったからなあ」

 自宅近くを散歩していた天王寺区の男性(74)が説明した。住民投票で反対票を投じた理由だ。でも市長選では、大阪維新公認で橋下徹市長の後継候補である吉村洋文(ひろふみ)氏に入れた。自民党推薦の柳本顕(あきら)氏は、民主党や共産党からも支援される寄り合い所帯のようで、都構想に代わる「『これ』という政策が見えへん」。

 天王寺区は住民投票で、賛成の得票率が46・82%だった。市長選の吉村氏の得票率は55・65%。吉村氏の得票をすべて都構想賛成とみなせば、「賛成票」は半年で8・83ポイント伸びた計算だ。住民投票での反対区13区中、最も「賛成票」が伸びた。吉村氏は結局、柳本氏を約19万票上回る59万6045票を得て当選した。