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ツタヤ図書館、ラーメン本購入し郷土資料を大量廃棄、小説『手紙』が「手紙の書き方」棚

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「海老名市立図書館 HP」より
 2013年のリニューアルオープン以来、2年間で約170万人もの来館者を集め、ほかの自治体からの視察が後をたたず、「成功モデル」ともてはやされた佐賀県・武雄市図書館。同館は、明るく開放的な読書スペースに、お洒落なカフェや新刊書店とレンタル店を併設した“新感覚の図書館”として話題を呼んだ。レンタルビデオチェーンTSUTAYA(ツタヤ)を展開するカルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)が運営していることから、通称「ツタヤ図書館」とも呼ばれている。

 ツタヤ図書館は、10月に神奈川県海老名市に誕生したのに続き、来春には宮城県多賀城市にもオープンが予定されている。今後、全国各地に広がっていきそうな気配だが、その勢いとは裏腹に、CCCに対する批判が日を追って激しくなっている。いったい何が問題となっているのか、あらためて整理したい。

系列会社から古本を大量購入?

「よそが捨てたゴミ本で埋まっている!」

 他館の司書が武雄市図書館の初期蔵書入れ替えリストを見たら、きっとそう思ったに違いない。次々と新しい本が入ってくる公共図書館では、スタッフが常時書架をチェックして、資料価値が著しく減じた本を棚から「除籍」する作業は欠かせない。それによって、常に一定水準の質を保った棚を維持しているのだ。しかし武雄市図書館では、リニューアルオープン時に、『ラーメンマップ埼玉2』(ラーメン探検隊/幹書房)、『公認会計士第2次試験2001』(TAC出版)など、出版年度が著しく古く「除籍本リスト」と見まがうような資料価値の低い本を中古で約1万冊も購入していたことが7月、市民の情報公開請求によって判明した。

 そのリストを見た図書館関係者は、「毎日コツコツ除籍した本が、一度に逆流してきたみたい。すごい悪夢ですね」と、思わずため息を漏らす。

 しかも購入先が、当時、同社と資本関係のあった新古書店だったため、「系列会社の在庫処分に図書館を利用したのではないか」との疑惑すら浮上した。

 騒動後、武雄市は「高層書架の安全対策のために書籍購入費2000万円から1300万円流用したために、残りの費用で中古本を購入することになった」旨の釈明をしたが、かえって公費使途の不透明さが浮き彫りになったばかりか、本よりも設備にカネをかけている事実も市民の不評を買うことになった。