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何でもスマホで“オンデマンド化” 米国で「雇用破壊」と批判の声も

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米シリコンバレーで今、さまざまなサービスをスマホからオンデマンドで入手可能にするスタートアップが次々登場している。これら「オンデマンドエコノミー」の担い手たちは投資家から熱い注目を集める一方で、労働者の権利を損なう存在だと目の敵にもされ始めている。

消費者が欲しいと思ったその時に、“オンデマンド”で商品やサービスを届けるスタートアップが、シリコンバレーで急増している。スマートフォン(スマホ)でタクシーを呼ぶ「Uber」だけではない。近所のレストランの出来たての料理を届けてくれる「DoorDash」や、近所のスーパーでの買い物を代行して商品を届けてくれる「Instacart」など、「オンデマンドエコノミー」と呼ばれるこれらのサービスは、シリコンバレーに住む人々にとって欠かせない生活の手段になりつつある。

駐車場探しの苦痛から解放

 筆者がよくお世話になっているのは、駐車場のオンデマンドサービスの「LUXE」。これはホテルなどでよく見かける、係員に車とキーを預けて駐車をお願いするバレットパーキングを、サンフランシスコのダウンタウンであればどこででも利用可能にするサービスだ。

 使い方は簡単。車で出かける直前に、スマホのLUXE専用アプリの地図上に目的地を指定しておく。目的地に着くと、そこにLUXE係員が待ち受けており、自分の代わりに車を駐車しにいってくれる。帰る際には、アプリで車を持ってきてほしい場所を指定する。そうすると指定した時間に係員が車を運転して持ってきてくれる。

LUXE専用アプリで目的地を指定

 目的地にLUXEの係員がいるのは、LUXEのアプリがGPS(全地球測位システム)機能を使って、利用者の位置をリアルタイムで把握しているため。また、LUXEの係員はキックボードで移動している。

 料金やチップの支払いは、すべてスマホアプリで行う。金額は普通の駐車場を利用するのと同じか、ちょっと安い程度。サンフランシスコの駐車場は、場所が良いと1日30~40ドルはかかる。一方のLUXEは、筆者が利用した限りでは上限は30ドル程度だ。それでいてLUXEの場合は、利用者がダウンタウン内を移動しても、移動先まで車を持ってきてくれる。交通費のことを考えると、ずいぶんとお得な計算になる。

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