人権監視、アムネスティインターナショナルによる詳細なレポートでも、セックス売買が組織的なものであるとの同じ結論に達している。
少女たちは、3人のISの兵士が登録リストを手に入って来た様子を語っている。彼らは少女たちに立ち上がるように言い、一人ずつに、名、ミドルネーム、姓、年齢、出身地、結婚しているかどうか、子供がいるかどうかを言うよう命じた。
Fは、ギャラクシーホールに2ヵ月間監禁された。「彼らは私たちのことを笑って嘲り、『お前たちは、我々のサバヤだ』と言いましたが、私は言葉の意味が分かりませんでした」と彼女は言う。後で、地元のISのリーダーが、それは奴隷という意味だと説明してくれた。
宗教的習慣
特定の聖書の一節が何世紀もあとになって、米国で奴隷売買を支持するために使われたのと同じように、IS(イスラム国)では、コーランまたはスンナの中にある特定の節や物語が引用される。これは、預言者ムハメッドの言葉や行動に基づく習慣で、人身売買を正当化するためものだと専門家たちは指摘する。
イスラム神学理論の学者たちの間では、これらの節の適切な解釈や、イスラム教が実際に奴隷制を認めるかどうかという問題に対する意見の一致は見られない。
ボストン大学の宗教学准教授で、初期イスラムの奴隷制に関する本の著者でもあるキシャ・アリは、次のように指摘する。
「コーランが生まれた時代の環境では、男性が囚われの身の女性と性関係を持つ習慣が広く見られました。しかし、それは特定の宗教的制度ではなく、ただ、人々がそういうことをしていたというだけです」
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プリンストン大学のイスラム神学理論学者のコール・バンゼルは、この説に同意しない。彼は、コーランには「右の手が持っているもの」という言葉が何度も出てくるが、これは何百年もの間、女の奴隷を意味するものと解釈されてきたことを指摘する。彼はさらに、近代にも脈々と続き、奴隷の扱いに関する詳細な規則があるイスラム法学の存在を指摘する。
ブルッキングズ研究所が出版した、ISのイデオロギーに関す研究論文の著者であるバンゼルは「奴隷制を認める経典の言葉は数多くあります」と言う。
「それは、今日もはや意味がなく失効したものだと主張することはできます。しかしISは、これらの制度は復活されるべきだと主張するでしょう。なぜなら、それは預言者と彼のコンパニオンとなった女性たちがやったことだからです」
(AUG. 13, 2015)
翻訳/オフィス松村