ノーベル賞の受賞者だけでなく、王室や外交関係者ら大勢のゲストが招かれる10日の晩餐(ばんさん)会。華麗に彩られたホールでは、一流のシェフによる料理が振る舞われる。今年のメニューを作ったシェフと装飾の責任者はいずれも日本で学んだり仕事をしたりした経験があり、日本文化に造詣(ぞうけい)が深い。

 ノーベル財団によると、晩餐会の参加者は1300人以上。市庁舎最大の広間には、60以上のテーブルの上に7千の陶器と5400のグラス、1万の銀器が並ぶ。テーブルクロスの総延長は500メートル。260人が給仕をし、厨房(ちゅうぼう)では40人以上のシェフが腕をふるう。

 今年のメニューの考案者はサヤン・イサクソンさん(41)。タイ生まれのスウェーデン人だ。4年に一回開催される世界料理オリンピックで2002年に優勝し、ストックホルム市内ですし店など3店を経営する。ミシュランの星つきの店もある。

 かつて日本ですしを習ったこともある日本びいきだ。今夏も日本の銀座を訪れてすしを堪能した。日本のすしに関する質問には「鮨(すし)よしたけ」「さわ田」と銀座の名店の名前が次々に出てくる。「日本食はシンプル。コメでも魚でも、日本人は食材に敬意を払う。今回のメニュー作りでは日本食の哲学を大いに参考にした」