「あかつき」の噴射は成功、中村プロマネは「肩の荷が下りた」と安堵

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「あかつき」の噴射は成功、中村プロマネは「肩の荷が下りた」と安堵

大塚実  [2015/12/07]

既報の通り、宇宙航空研究開発機構(JAXA)は12月7日、金星探査機「あかつき」の金星周回軌道への再投入を実施した。同探査機は5年前の同日、金星に到着。軌道投入を試みたが、推進系のトラブルで失敗していた。今回成功すれば、日本の探査機にとって、初の惑星周回となる。

再投入に挑むあかつきの予想CG(C)JAXA

同日の正午から開催された記者会見には、JAXAの中村正人・あかつきプロジェクトマネージャが出席。今回の運用結果について説明した。

JAXAの中村正人プロジェクトマネージャ。会見では笑顔も見せた

あかつきは予定通り、8時51分29秒に、トップ側の姿勢制御エンジン(RCS)の噴射を開始。そして9時11分57秒に終了した。この1,228秒という噴射時間は計画通りだったという。あかつきは不具合による噴射の中断に備え、姿勢を反転させてボトム側で追加噴射できる体勢を取っていたが、順調だったため、この追加噴射は実施する必要が無かった。

噴射1時間前の管制室はまだ落ち着いた状況 (C)JAXA

9時22分ころの管制室。拍手がわき上がった (C)JAXA

現時点で分かっているのは、噴射方向と噴射時間が計画通りだったということのみ。肝心の金星周回軌道に入れたかどうかは、今後さらに観測する必要があるため、現時点で断定はできないものの、中村プロマネは「かなり期待できる」とコメント。予定通りの噴射は実施できており、周回軌道への投入はほぼ確実だろう。

あかつきは本来、5年前に周回軌道へ投入されているはずだった。中村プロマネは「本当は欧州の探査機と一緒に観測して、世界的に盛り上がっているはずだった。日本が責務を果たしていないという、忸怩たる想いがあった」と当時を振り返る。今回、5年前の雪辱を晴らせたことで、「肩の荷が下りた」と安堵の表情を見せた。

周回軌道へ入れば、次はいよいよ科学観測だ。記者会見前にすでに観測プログラムを探査機に送信したとのことで、午後2時から5時の間に、「中間赤外カメラ(LIR)」「紫外イメージャ(UVI)」「1μmカメラ(IR1)」を使い、撮影を行うという。最初の3カ月は試験期間で、本格的な観測は2016年4月から2年間実施する計画だ。

なお金星到着前に、これらのカメラで試験撮影を行ったところ、「傷は思ったより遙かに少なかった。カメラの状態は非常に健全」(中村プロマネ)だったという。最初の観測データが届くのは2~3日後になる見込みだが、こちらも楽しみだ。

12月1日に撮影した「紫外イメージャ(UVI)」の画像(C)JAXA

こちらは同日に撮影した「1μmカメラ(IR1)」画像(C)JAXA

探査機の状態は、現時点で正常であることが確認できている。あかつきは打ち上げから5年半が経過。すでに設計寿命は超過しているが、5年前にメインエンジンが破損した以外は、特に問題は起きていない模様だ。中村プロマネは「丁寧に作ってくれたおかげ。こんなに堅牢だとは思わなかった」と、メーカーの技術者に感謝を述べた。

JAXAは軌道投入の結果について、12月9日に発表する方針。18時より記者会見が開催される予定なので、続報をお待ち頂きたい。

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