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金星周回軌道へ噴射成功 5年ぶり再挑戦

あかつきの観測計画

 宇宙航空研究開発機構(JAXA)は7日午前、金星に接近した探査機「あかつき」を金星周回軌道に投入するため、あかつきのエンジン噴射を試みた。JAXAによると、予定通り20分間の噴射が確認され、軌道投入に成功したとみられる。あかつきは2010年に金星周回軌道投入に失敗しており、今回が2回目の挑戦。日本の探査機が地球以外の惑星の周回軌道に入るのは初めて。

 あかつきは金星の大気循環などを観測し、地球の隣の惑星ながら大きく環境が異なった原因に迫ろうと、10年5月に打ち上げられた。同年12月7日、主エンジンの故障で軌道投入に失敗し、太陽を周回していた。

 今回の軌道投入では、4基合わせても主エンジンの5分の1の力しか出せない姿勢制御用の小型エンジンを噴射してブレーキをかけた。燃料は打ち上げ時の3割しか残っておらず、機体の設計寿命も既に超えており、今回が最後のチャンスだった。

 7日午前8時51分から20分間、小型エンジンを噴射する計画で、相模原市中央区のJAXA相模原キャンパスの運用管制室では、あかつきから送られてくるデータを見守った。同9時20分過ぎ、予定通りエンジンを噴射し、あかつきの機体に異常がないことが確認された。

 今回の予定投入軌道は、当初計画していた1周30時間の軌道に比べると極端に細長い楕円(だえん)で、金星を15日かけて1周する。投入が確認されれば、今後、1周8〜9日の軌道に移す。金星から遠くを飛ぶ時間が長くなるため観測データの解像度は下がるが、長時間、大気の動きを追跡しやすい利点もあるという。自転よりも速い秒速100メートルもの暴風が吹く「スーパーローテーション」という金星特有の大気現象の解明が期待される。

 プロジェクトマネジャーの中村正人JAXA教授は「予定軌道に入ったことに大変期待が持てる。やっとできたと肩の荷を下ろした気持ちでいる」と笑顔で語った。あかつきの正確な軌道の確認には時間がかかるため、JAXAは9日夕に改めて成否に関する記者会見を開く予定。【斎藤広子、久野華代】

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