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福島県内の指定廃棄物 国の計画受け入れ正式表明12月3日 21時14分
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福島県内で出た放射性物質を含む指定廃棄物を、民間の処分場を活用して処分する国の計画について、福島県の内堀知事は3日、富岡町など地元の町長らの理解を得たとして、国の計画を受け入れることを正式に表明しました。指定廃棄物の処分場の受け入れが決まるのは全国で初めてです。
指定廃棄物は、東京電力福島第一原発の事故で出た放射性物質を含む稲わらや汚泥、焼却灰などの廃棄物で、放射性物質の濃度が1キロ当たり8000ベクレルを超えるものを環境大臣が指定します。
このうち、福島県内の指定廃棄物などについて、環境省は富岡町にある民間の処分場を国有化して最終処分する計画で、福島県の内堀知事と富岡町の宮本皓一町長、それに施設への搬入路がある楢葉町の松本幸英町長らが3日午後5時半から福島県庁で会談しました。
会談は冒頭以外、非公開で行われましたが、終了後、内堀知事は「地元に大変な負担をお願いすることとなり苦渋の決断だが、広域自治体の長として計画を容認する考えを伝え、富岡町と楢葉町を含めた双葉郡の8つの町と村のご理解をいただいた」と述べ、地元の自治体の理解を得て、国の計画を受け入れることを正式に表明しました。
福島県には全国の指定廃棄物の8割以上が集中していて、処分場の受け入れが決まるのは福島県が全国で初めてです。国は指定廃棄物について、福島県以外では5つの県で処分場の建設を計画していますが、いずれも地元の反対などでめどが立っていません。
このうち、福島県内の指定廃棄物などについて、環境省は富岡町にある民間の処分場を国有化して最終処分する計画で、福島県の内堀知事と富岡町の宮本皓一町長、それに施設への搬入路がある楢葉町の松本幸英町長らが3日午後5時半から福島県庁で会談しました。
会談は冒頭以外、非公開で行われましたが、終了後、内堀知事は「地元に大変な負担をお願いすることとなり苦渋の決断だが、広域自治体の長として計画を容認する考えを伝え、富岡町と楢葉町を含めた双葉郡の8つの町と村のご理解をいただいた」と述べ、地元の自治体の理解を得て、国の計画を受け入れることを正式に表明しました。
福島県には全国の指定廃棄物の8割以上が集中していて、処分場の受け入れが決まるのは福島県が全国で初めてです。国は指定廃棄物について、福島県以外では5つの県で処分場の建設を計画していますが、いずれも地元の反対などでめどが立っていません。
県と地元自治体 受け入れ容認の背景は
福島県と地元の自治体が計画の受け入れを容認した背景には、処分場への不安は拭い切れないものの、全国の指定廃棄物の8割以上が集中する福島県では、「廃棄物の処理が進まなければ復興も進まない」という判断があります。
処分場がある富岡町では、計画が示された当初から安全性に対する不安の声があった一方、早ければ平成29年4月の避難指示の解除を目指す中で住民の帰還に向けて廃棄物が復興の妨げになっているとの認識もありました。こうしたなか、町が強く求めてきた処分場の国有化の方針がことし6月に国から示されたほか、廃棄物を埋め立てる土にセメントを混ぜて雨水の浸透を防ぐといった新たな安全対策や地域振興策が示されたことも一定の評価につながりました。
また、富岡町に隣接し処分場の搬入路がある楢葉町では、同じ双葉郡の大熊町と双葉町が、去年、除染で出た廃棄物などを最長30年間保管する「中間貯蔵施設」の建設を受け入れたこともあり、楢葉町としても「負担を分かち合う必要がある」との考え方もありました。一方、楢葉町では処分場から数百メートルの距離にある地区の住民が放射性物質の漏えいや、農業への風評被害などを懸念して計画に反対する看板を設置するなど、福島県内でも計画に対する反対の声は拭い切れていません。
こうした状況のもと福島県の内堀知事は、これまで処分場について、「県全体で廃棄物の処理を進めるには必要な施設だが、受け入れを要請されている町にとっては迷惑施設だ」と重ねて述べるなど、難しい立場をうかがわせていました。福島県は先月24日、富岡町と楢葉町に対し復興に向けて使いみちの自由度が極めて高い100億円を交付する考えも示していて、慎重な配慮をみせながら2つの町と協議を進めてきました。
処分場がある富岡町では、計画が示された当初から安全性に対する不安の声があった一方、早ければ平成29年4月の避難指示の解除を目指す中で住民の帰還に向けて廃棄物が復興の妨げになっているとの認識もありました。こうしたなか、町が強く求めてきた処分場の国有化の方針がことし6月に国から示されたほか、廃棄物を埋め立てる土にセメントを混ぜて雨水の浸透を防ぐといった新たな安全対策や地域振興策が示されたことも一定の評価につながりました。
また、富岡町に隣接し処分場の搬入路がある楢葉町では、同じ双葉郡の大熊町と双葉町が、去年、除染で出た廃棄物などを最長30年間保管する「中間貯蔵施設」の建設を受け入れたこともあり、楢葉町としても「負担を分かち合う必要がある」との考え方もありました。一方、楢葉町では処分場から数百メートルの距離にある地区の住民が放射性物質の漏えいや、農業への風評被害などを懸念して計画に反対する看板を設置するなど、福島県内でも計画に対する反対の声は拭い切れていません。
こうした状況のもと福島県の内堀知事は、これまで処分場について、「県全体で廃棄物の処理を進めるには必要な施設だが、受け入れを要請されている町にとっては迷惑施設だ」と重ねて述べるなど、難しい立場をうかがわせていました。福島県は先月24日、富岡町と楢葉町に対し復興に向けて使いみちの自由度が極めて高い100億円を交付する考えも示していて、慎重な配慮をみせながら2つの町と協議を進めてきました。
福島県以外は難航
東京電力福島第一原子力発電所の事故で発生した指定廃棄物について、国は、福島県以外では、関東や東北の5つの県で処分場の建設を計画していますが住民の反対などで計画は難航しています。
環境省によりますと、指定廃棄物はことし9月末の時点で東北や関東地方を中心に、12の都と県で合わせて16万6329トンに上ります。都県別では、福島県が最も多く13万8490トンと全体の83%を占めるほか、栃木県は1万3533トン、千葉県は3690トン、茨城県は3532トン、宮城県は3405トン、群馬県は1186トンなどとなっています。
指定廃棄物は発生した各都道府県内で国が処分を行うことが法律で定められていますが、原発事故から4年8か月以上が経った今も、各地の自治体の農地やごみ焼却施設、下水処理場などで一時保管が続いています。
福島県以外では、廃棄物の量が多い5つの県で、国が新たに1か所ずつ処分場を建設する計画で、これまでに宮城県、栃木県、千葉県で候補地を示しましたが、いずれも住民の反対などで計画は難航しています。
このうち、宮城県では、去年1月、栗原市、大和町、加美町の3か所が候補地として示され、環境省は候補地の一つ、加美町で10月以降、連日、職員を派遣して現地調査を試みましたが地元の反対で実施できず、先月、年内の調査着手を断念しました。これを受けて、候補地の1つの栗原市が候補地を返上する考えを示すなど処分場の建設は一層不透明な状況になっています。
栃木県でも去年7月、塩谷町の国有地が候補地として示されましたが、町は風評被害や近くの水源への影響が懸念されるとして反対を続け、さらに先月には、「ことし9月の関東・東北豪雨で浸水し、候補地には適していない」として、国に候補地を返上することを表明しました。千葉県ではことし4月、千葉市にある東京電力の火力発電所の敷地が候補地として示されましたが、住民から安全性などを懸念する声が多数寄せられているとして、千葉市が再協議を求めています。
指定廃棄物の保管を続ける農家などからは、早期の処分を求める声が上がっていて、環境省が住民や自治体の理解を得ながら処分に向けた道筋をつけられるかが課題となっていますが、処分場建設に向けた状況は厳しさを増しています。
環境省によりますと、指定廃棄物はことし9月末の時点で東北や関東地方を中心に、12の都と県で合わせて16万6329トンに上ります。都県別では、福島県が最も多く13万8490トンと全体の83%を占めるほか、栃木県は1万3533トン、千葉県は3690トン、茨城県は3532トン、宮城県は3405トン、群馬県は1186トンなどとなっています。
指定廃棄物は発生した各都道府県内で国が処分を行うことが法律で定められていますが、原発事故から4年8か月以上が経った今も、各地の自治体の農地やごみ焼却施設、下水処理場などで一時保管が続いています。
福島県以外では、廃棄物の量が多い5つの県で、国が新たに1か所ずつ処分場を建設する計画で、これまでに宮城県、栃木県、千葉県で候補地を示しましたが、いずれも住民の反対などで計画は難航しています。
このうち、宮城県では、去年1月、栗原市、大和町、加美町の3か所が候補地として示され、環境省は候補地の一つ、加美町で10月以降、連日、職員を派遣して現地調査を試みましたが地元の反対で実施できず、先月、年内の調査着手を断念しました。これを受けて、候補地の1つの栗原市が候補地を返上する考えを示すなど処分場の建設は一層不透明な状況になっています。
栃木県でも去年7月、塩谷町の国有地が候補地として示されましたが、町は風評被害や近くの水源への影響が懸念されるとして反対を続け、さらに先月には、「ことし9月の関東・東北豪雨で浸水し、候補地には適していない」として、国に候補地を返上することを表明しました。千葉県ではことし4月、千葉市にある東京電力の火力発電所の敷地が候補地として示されましたが、住民から安全性などを懸念する声が多数寄せられているとして、千葉市が再協議を求めています。
指定廃棄物の保管を続ける農家などからは、早期の処分を求める声が上がっていて、環境省が住民や自治体の理解を得ながら処分に向けた道筋をつけられるかが課題となっていますが、処分場建設に向けた状況は厳しさを増しています。