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夫婦別姓 世論調査で賛否大きく分かれる
12月7日 7時06分

夫婦別姓 世論調査で賛否大きく分かれる
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夫婦別姓を認めない民法の規定が憲法に違反するかどうかについて、最高裁判所大法廷は来週、判決を言い渡します。NHKが行った世論調査では「夫婦は同じ名字を名乗るべきだ」という答えが50%、「同じ名字か別の名字か選べるようにするべきだ」が46%で賛否が大きく分かれていることが分かりました。
NHKは、先月21日から3日間、全国の20歳以上の男女に対し、コンピューターで無作為に発生させた番号に電話をかけるRDDという方法で世論調査を行い、2376人のうち58%にあたる1380人から回答を得ました。
今の法律では、結婚した夫婦は同じ名字を名乗らなければなりませんが、同じ名字にするか、別々の名字にするか選べるようにするべきだという意見もあります。
これについて聞いたところ「夫婦は同じ名字を名乗るべきだ」と答えた人が50%、「同じ名字か別の名字か選べるようにするべきだ」と答えた人が46%で、大きく2つに分かれています。
年代別では、20代から50代までは「選べるようにするべきだ」という回答がいずれも6割を超えていますが、60代はほぼ同じ割合で、70代以上になると逆に「同じ名字を名乗るべきだ」という回答が70%近くになり、世代によって答えが大きく異なっています。
「夫婦は同じ名字を名乗るべきだ」と答えた人に理由を聞いたところ、▽「同じ名字を使うことが当然だから」が28%、▽「家族の絆や一体感が弱まるから」が26%、▽「子どもに好ましくない影響を与えるから」が22%などでした。
一方で「同じ名字か別の名字か選べるようにするべきだ」と答えた人に理由を聞いたところ、▽「個人の意志を尊重すべきだから」が59%で最も多く、▽「女性が名字を変えるケースが多く不平等だから」が17%、▽「どちらかの名字が途絶えることがあるから」が13%などでした。
それぞれの名字を名乗るために婚姻届を出さずに、結婚している夫婦と全く同じように生活する「事実婚」についてどう思うか聞きました。▽「とても理解できる」が10%、▽「ある程度理解できる」が49%、▽「あまり理解できない」が23%、▽「まったく理解できない」が12%で、「とても理解できる」と「ある程度理解できる」を合わせると全体のおよそ6割が「理解できる」としています。

選択制に賛成「別姓には個人尊重と平等の意味が」

夫婦が同じ名字か別の名字か選べる「選択的夫婦別姓」に賛成の立場を取る家族法の研究者で立命館大学の二宮周平教授は、世論調査で賛否が大きく分かれていることについて「今回の調査では60代以上が回答者の55%を占めた。若い世代では、夫婦別姓を選べるほうがいいという人が60%を超えている。20代から50代は、別々の名字を名乗ってもいいと思っている人が多く、『賛否きっ抗、反対派が多い』という調査結果の見方は誤りだ。夫婦同姓といっても96%以上が、女性が夫の名字を選択している今、夫婦別姓には個人の尊重と男女の平等、2つの意味が込められている」と述べています。
また、世代によって意見が大きく異なっていることについては「高齢の世代は、自分たちのこれまでの生活を否定する意見を持てないので、理解できないのではないか。一方、働いている男性や女性から見ると個人の呼称、自己の人格の象徴として、氏名を捉える人が多くなっているのではないか」と話しています。

反対派「社会の安定や福祉基盤が崩壊も」

夫婦別姓に反対している、憲法学者で平成国際大学の高乗正臣名誉教授は、世論調査で賛否が大きく分かれていることについて「個人に重点を置くか、公の利益に立脚するかの違いではないか。個人の権利が大事だと考えると婚姻や戸籍の制度は拘束されるもののように映るが、こうした家族の制度は社会の秩序の維持や子どもの福祉に貢献してきた。名字が同じであることは家族を統合する重要で有力な手段なので、選択的であれ、夫婦が別の名字であることを認めると、社会の安定や福祉の基盤が崩壊していく危険があるのではないか」と述べています。
また、世代によって意見が大きく異なっていることについては「若い世代は多様な選択肢に寛容だが、社会にとっての家族の重要性をどれくらい理解しているのかが若干心配だ。これに対し、高齢者は家族の大切さを経験的に理解しているのではないか」と話しています。

最高裁判決は16日

夫婦別姓を認めない民法の規定について、最高裁判所の大法廷は今月16日に判決を言い渡します。最高裁はこの規定について憲法に違反するかどうか判断を示すものとみられその内容が注目されています。

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