マラソンのコース上に遺体、参加者が足止め 車中で自殺か
6日午前8時20分ごろ、神奈川県大磯町の西湘バイパス下り線の路肩に停車してあった軽乗用車の中から、成人男性の遺体が見つかった。道路はこの日、開催された「湘南国際マラソン」のコースでスタート前に車両規制をしていた県警の白バイ隊員が発見した。事件の影響で、ハーフマラソンなどでランナーがコース上で足止めされるアクシデントが発生した。
大磯署によると、現場は、湘南国際マラソンの復路となっている西湘バイパス下り線。県警の白バイ隊員が交通規制のため、周辺を確認していたところ、路肩に止まっていたシルバーの軽自動車を発見した。自動車はレンタカーだった。車内を見ると、男性がぐったりとした様子だったため、隊員が119番した。
男性は病院に搬送され、死亡が確認された。現場には消防が到着し、車内にあった液体を調べたところ、硫化水素と判明し、自動車をレッカー移動した。同署は自殺とみて調べている。
この事件の影響で遺体が発見されてから30分後となる午前8時50分スタートのハーフマラソンの参加者約450人が一時、コース上で約40分間、足止めされた。澤一弘さん(34)は仲間約20人と参加。20・3キロ地点で、大会スタッフから「スピードを抑えてゆっくりお願いします」と言われ「もうすぐゴールなのに『なんで』と思ったら、コースに人がたまってストップした」という。
足止め後に、ゴールしたが、計測用チップの記録は仲間を含めすべて「2時間11分29秒」と表示されていた。記録が取れなかった可能性もあるが、大会実行委員会は「記録が取れていたかどうかを含めて、確認中です。事件の影響や記録についての詳細は大会のホームページで発表します」と話した。
また、フルマラソンでは午前9時のスタートが約5分遅れた。横浜市の男性(45)によると、スターターを務めたフリーアナウンサーの徳光和夫氏(74)が、トークをするなど間を持たせていたという。男性は「事件は知らずに走った」と言い「帰りの電車の中でニュースを見て事件を知った」と話した。10キロの部では、開始が午前9時50分から5分遅延し、一時コース上でストップ。車イスの部でも一時中断された。
実行委はレース後、事件の影響を受けた「ハーフマラソン」「10キロ」「10キロ車いす」の部について参加者は次回大会で出走権を用意すると発表した。返金には応じないという。同マラソンは今年で10回目で、河野太郎行革担当相が実行委員長を務め、海岸沿いの景色を楽しめる人気のコース。当初の参加者は約1万人だったが、人気も急上昇中。今回は約2万3800人が参加していた。