トップ > 茨城 > 記事一覧 > 12月の記事一覧 > 記事
【茨城】<ひと物語>発達障害児を支援 NPO法人・風の子代表 水口進さん(59)水戸市を中心に県央・県北地域で、発達障害の子どもたちをサポートするNPO法人「発達支援グループ風の子」の代表を務める。本職は常磐大大学院(水戸市)人間科学研究科教授で、障害児心理学の第一人者として研究を続けている。 風の子は、デイサービスや居宅介護などと合わせて、発達障害について地域の人たちに知ってもらうためワークショップや講演会を開いている。先月下旬、水戸署と水戸市役所と共に、発達障害の人たちを対象にした避難訓練を行った。「障害者も地域の一員ということを理解してもらうことが重要だ」と説明する。 青森県弘前市出身。愛知学院大大学院を修了後、一九八三年、二十六歳で開院したばかりの秋田県小児療育センター(当時)に臨床心理士として就職した。退職するまでの二十三年間、年間千二百人の子どもたちに接して、それぞれの障害に合わせた教育と治療を行う「療育」の研究や、家族に対し子どもとの接し方についてアドバイスしてきた。 センターを退職した二〇〇六年、より多くの人材を育てようと、常磐大を選び、縁もゆかりもない茨城に降り立った。発達障害児を育てる母親たちが立ち上げた風の子に入会。「高い専門性で、子どもたちを支援したい」という思いを胸に、一三年夏、代表に就任した。 茨城に来て今年で十年目。療育を行う専門施設が少なく「まだまだ療育後進県」と感じる。保健師が、子どもの障害を早期発見しても、うまく対応できないケースが少なくないという。 先月下旬、元県教育委員(71)が会議の席上、子どもの障害の有無について「妊娠初期に分かるようにできないか」「県では(障害児の出産を)減らしていける方向になったらいい」などと発言し、辞職した問題に「絶対言ってはいけないことだ。多くのお母さんたちを傷つけた」と憤る。一方で「県の障害者への対応が十分でないことが表面化したともいえる」と指摘する。 これからの時代に求められるのは、障害児を長期的に支えていく地域の人材の育成と考えている。「障害児とともに長く走れる伴走者を育てたい」と話し、障害者に寄り添う臨床心理士の育成に力を注ぐ。 夢は「障害者も楽しく働ける駄菓子屋を水戸市内で開くこと」。障害者に寄り添った社会づくりをさまざまな方面から目指す。 (山下葉月) <みずぐち・すすむ> 1956年10月、青森県弘前市生まれ。秋田県小児療育センターや同県内の児童相談所を巡回し、多くの障害のある子どもたちに接してきた。06年から水戸市の常磐大大学院の教授に就任した。水戸とつくば両市内の障害者就労支援施設のアドバイザー、子育て環境などについて話し合う水戸市の「子ども・子育て会議」の会長も務める。 PR情報
|