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今日はヒトデ祭りだぞ!

主に勢いに任せた雑記

その温もりを覚えている

ペットロス

 

hitode99.hatenablog.com

 
 
愛犬が僕の元から居なくなってしまってから2ヶ月が経とうとしている。これくらいの時間が経つと、居ないはずの愛犬の残像を感じる事も少なくなって来た
 
ふと気付けば季節は冬に。すると、段々と感じる事も無くなってきた愛犬の残像を、再び感じる事がある


冬に外出する時、玄関のドアを開け車に乗り込む前に犬小屋の前に行き、「寒いね」といいながら彼を撫でまわしてから出かけるのが僕の日課だった
 
 
あれから2ヶ月。その習慣もすっかり意味がなくなった僕だが、先日、暖冬と呼ばれていながらも随分寒くなった日。眠い目をこすりながらボケっと玄関を出た事もあって、無意識のうちに犬小屋の前まで歩いて来てしまった。


「あ……」と間抜けな声を出してからその事に気付いた僕は、よせばいいのにそっと犬小屋を覗きこむ。居るわけないのに。その事実を確認して、勝手に落ち込む
 
 
きっと僕は季節が変わるたびに、「その時の愛犬」の事を思い出すのだろう
 
 
一緒にいた時間は、あまりにも長かった
中学生から社会人になるまで。毎日のように一緒にいたのだ。1月や2月で忘れるなんて方が不自然だ
 
 
犬小屋も、いつか片付けようと言っていながら誰も片付けない
大きくて、重くて、処分が大変という事もあるが、きっとそれだけが理由じゃない。本当はとっとと片付けてしまうべきなのだろうが、どうにも腰が上がらない。僕も、両親も、みんなだ
 
 
あらゆるシチュエーションで愛犬を思い出す
 
宅配便が来た時、滅茶苦茶に吠えるものだから素早く受け渡しをしていたが、そんな心配はしなくて良い事に気付く
 
深夜に家を出る時、起こさないようにそっとドアを開けていたが、もうそんな気を使う必要はない事に気付く
 
薬局で無意識のうちにペットコーナーに足を向けるが、もうご飯やおやつを買う必要はない事に気付く
 
大雨の音が聞こえれば、家に入れてやろうと思うが、もうその必要がない事に気付く
 
甥っ子が玄関へと駆け込んでいく時、犬が離れているかもと慌てて追いかけるが、もうその必要がない事に気付く
 
 
 
頭の中で、心の中で、もう整理はついたはずなのに、ほんの日常の中の「反射」の中から愛犬はよく姿を現す。そのたびに僕は、どうしようもなく寂しくて、泣きたくなる。しかしどこか懐かしくなったりもする
 
 
僕の愛犬は、こんなにも「当たり前」の中にいたんだ
 
 
「居なくなって初めてわかる」っていうのは、きっとこういう事なんだ
 
確かにそうだ。愛犬が居るのは僕の中では当然の事で、いつもの日常で、本当に当たり前のことだった
 
 
でも、もういない
 
 
こればかりはどうしようもない事だ
 
泣いても、喚いても、悲しんでも、どうしようもない事だ
 
だから、その寂しさを感じるたびに、僕は涙を堪えて笑うのだ
 
「楽しかった思い出」を、何て事はない「当たり前の中の思い出」を、わざわざ「悲しかった事」にしてしまう事もない
 
 
だから僕は、当たり前の中の君を忘れない
 
これから先も、ずっとだ
 
 
 
当たり前の中の君を覚えている
 
 
 
その温もりを覚えている