■エピローグ〈2〉記憶

 終戦70年を迎えた8月15日、東京・九段の靖国神社。日の丸がはためき、軍歌を合唱する輪があった。境内では、前日発表された「安倍談話」を賛美する声が相次いだ。

 《私たちの子や孫、そしてその先の世代の子どもたちに、謝罪を続ける宿命を背負わせてはなりません》

 安倍談話が、植民地支配と侵略に対する反省とおわびを表明した戦後50年の「村山談話」や戦後60年の「小泉談話」とは一線を画し、「謝罪外交」を断ち切るものと受けとめられていた。

 集会のステージで中年男性が「日本に謝罪を要求する中国が近隣諸国を脅かしている。日本はもう謝ってはいけない」と叫んだ。数百人の参加者の中から「その通りだ」と声が飛び、拍手がおきた。