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<思想なき選挙互助会は「有権者騙し」だ>民主党に「権力の暴走は許さない」を主張する資格はない

矩子幸平[ライター]

***

民主党のホームページで、岡田克也代表の写真とともに「権力の暴走を許さない。」というキャッチコピーが踊っている。選挙前だけに、耳障りの良いキャッチや大衆迎合でしかないフレーズをどの党だって使っていることは仕方がないだろう。

しかし、だ。この民主党の「権力の暴走を許さない。」だけはちょっ許せないと感じる人は多いだろう。

自民党や政権への批判を強めることで、対立軸を鮮明にし、「支持票」というよりも「政権批判票」として集票しようとする野党の戦略はよく分かる。選挙シーズンの風物詩として、「ユニーク候補」などと同様で、ある種のエンターテインメントとしても楽しむことも一興だろう。

それでも民主党に「権力の暴走を許さない」を標榜する権利はあるのか。政権時代に暴走を続けたのが民主党だ。「暴走」を切り口にした政権批判は、他の野党には許されるだろうが、民主党には絶対に許されない。連続殺人犯が「戦争反対」を主張するようなものだ。

我が国では、本年2015年も昨年に引き続き2名のノーベル賞受賞者を生み、科学技術分野におけるアジアでの牽引国としての役割を担いつつある。そういった成果の根幹にあるのは、資源を持たない我が国が、これまで地道に続けてきた「教育・研究」への投資であり、目先の収益や現世利益だけにこだわらない基礎研究への膨大な投資にあった。

2010年、民主党政権時代に「事業仕分け」という名のもとに犯された日本の科学技術と知性の否定は民主党による「権力の暴走」に他ならない。
仕分け人として、次世代スーパーコンピュータ開発の予算削減を決定した蓮舫議員による、

「世界一になる理由は何があるんでしょうか? 2位じゃダメなんでしょうか?」

という発言は、野依良治氏をはじめ、ノーベル賞・フィールズ賞を受賞した日本を代表する5人の科学者が批判会見を開催するという異例の事態にまで発展した。

この時に我が国が被った科学技術や安心・安全技術に与えた影響は甚大だ。この時期に大幅に削減された科学研究の予算によって、大学を中心とした研究機関での一時的な「脳死」による後遺症から、最近ようやく立ち直りつつある、というのが実態だろう。

この民主党政権の行った「仕分け」こそ民意や長期的な発展戦略をもたない民主党による「権力の暴走」に他ならない。目先の利益のみを追求する反省なき民主党に、「権力の暴走」批判をする資格はない。

先日、次期参院選で民主党が鳥取県選挙区で、政権時代の元消費者庁長官である福嶋浩彦氏に「無所属での出馬を要請する方針」だという報道があった。政権時代の閣僚に「出馬を要請」しているのに「無所属」とは、あまりにも無責任であるようにも感じる。目先の利益のみを追求する「有権者騙し」はすべきではない。

社民など他野党との共闘も視野にいれた措置だろうが、「当選すればなんでも良い」という民主党の烏合戦略・選挙互助会方針に辟易しているからこそ、有権者の支持な伸びないとう現実をそろそろ理解してはどうか。

「権力の暴走を許さない」などというキャッチコピーベースの具体的ではない政権批判は、「当選すれば良い」という発想の裏返しだろう。

民主党はそんなことよりも、政権時代の反省を踏まえて、正面から正直に自分たちの政策を主張することが重要だし、役割だ。それで有権者の支持をえられないのであれば、それが民主党の本当の「評価」なのだ。

目先の利益のみを追求する日和見主義は主要野党の役割ではない。

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