「外資CAの海外生活日記」に続き、第2弾として、別のアジアの国で活躍している現役CAの方に、異文化を中心にエッセイを綴っていただきます。 |
☆なでしこCA日記☆ No27 |
度胸ある人たち |
オートロックは、鍵のかけ忘れの心配がなく安全ですが、逆に、もしその鍵を室内に置いたまま出かけてしまったら面倒です。あわて者の私は、ステイ先のホテルで、部屋の中に鍵を忘れて出かけてしまうことが何度かありました。 ホテルならスペアキーですぐに開けてもらえます。しかし、1人暮らしのマンションでは、そうはいきません。誰もドアを開けてくれる人がいないので大変です。そして、ついに今のマンションに越してきて7年、先日それをやらかしてしまいました。 友人とランチの約束をしていたオフの日でした。 ゴミ置き場は同じ階にあります。
今まで、風で玄関のドアが閉まることは一度もありませんでした。 イラスト Illust AC 高級ホテルでのランチ用に選んでいた大人っぽい服装に、ビーチサンダルというアンバランスな格好で部屋から閉め出された私。 合い鍵は部屋のオーナーが持っているのみです。ベランダの窓は開けっぱなしですし、財布も携帯電話も全て部屋の中です。オーナーに連絡しようと思っても、電話がないのでどうしようもありません。 フライト前じゃなかっただけ、不幸中の幸いではありますが、それでも、友人にも連絡が取れず、待ちぼうけさせてしまいます。鍵を持たずにゴミ捨てに行ったほんの数分前のことを強く後悔しながら、とりあえずマンションの1階にある管理事務所にかけ込みました。 まって、オーナーに連絡できなくて困っているんです」 にしちゃってるんです!」(完全に自分のせい) とにかくしつこく泣きつくと、 あなたのベランダに綱で降りてもらって、中から鍵開けてもらいましょうか」 今、ちょうど空き部屋で誰も住んでいないから、そこのベランダからあなたの部屋に 降りてもらいましょうよ」 鍵屋さん待ちます!」
“この国ではこういうこと普通なのかな?” と考えたり・・・。 じゃあ誰か協力してくれる人呼んで来るよ!」 彼女はすぐに工事現場に向かいました。ものの2、3分も経たないうちに、小柄な筋肉質の、たった今まで現場作業をしていたのだろうというような風采の男性を連れて戻ってきました。その男性は、無表情で片手に太いロープを持っています。 その姿を見て、危なさを実感してやはり恐くなった私。 で起こしてしまったことに巻き込んで、命の危険だってあるし、こんなこと頼むわけには いきません!」 ほうが失礼ですって・・・」 おばちゃんは、私の手を引っ張り、工事現場の彼とさっさとエレベータに乗り込みました。 男性が私の部屋のベランダに無事着地するまで、私は恐くておばちゃんの腕にしがみついていました。友達でもない人にしがみつくなんて、初めての経験でしたが・・・。 私がロックアウトしてから合計30分ほどの出来事でした。 管理人の彼女からアドバイスされた額は、日本円に換算しても600円くらいのものでした。私の礼の言葉も特に気にせず、チップを受け取ると彼はさっさと工事現場へ戻っていきました。信じがたいですが、彼にとってはちょっとお小遣い稼ぎしたようなイメージかもしれません。実際に、ロープを使ってベランダに降りてくれた彼も、その彼に頼もうと思いついた管理人も、度胸がありすぎませんか? 確かに、この国の工事現場を見ていると、命綱のようなものも何も付けずに高層マンションの工事をしている姿を頻繁に見かけます。この国の人たちは、高い所が平気なのか、ヘルメットもなしで平気でウロウロしているので、その姿には本当に驚かされます。 日本生まれ育ちである私は、今まで安全で出来過ぎた環境の中で育ってきたからでしょうか。働く側の健康や安全が考えられた仕組みになっているのは、先進国ならではのことなんですね。東南アジアでは、いくら首都とはいえ、まだまだ危険な状況の中で働いている人々がほとんどなのだと実感させられます。 そんな環境の中で働いている彼に救われた先日の私。 便利で安全過ぎる日本で生活できることは、とてもありがたいことだと思います。 |
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☆なでしこCA日記☆ No26 |
正装とは・・・ |
この国に暮らしだして8年目を迎えました。 私の場合、職場は飛行機の中で、制服が支給されます。空港で着替えるのではなく、家から制服のまま出勤しています。 まわりの人からは、仕事の時は、常にヘアスタイルはアップにし、徹夜のフライトでもメイクはばっちり(要するに深夜に厚化粧)しないといけないので「CAさんって大変だね」とよく言われます。 そんな、普段は機内が職場の私も、街中にある本社や訓練センターに出向くことがあります。有給の申請や航空券購入などの私用から、非常時訓練や機内サービスのブラッシュアップ受講のためです。
写真lightinthebox.comより では、その正装とはどんなものかと考えると、スーツや襟付のシャツに膝丈のスカート、ストッキングは必須で、足元はパンプス、といったところですよね。清楚と言えば清楚なのですが、どうしても地味になってしまうのも確かです。本国人CAたちと一緒に訓練を受けることがありますが、日本人と本国人は、服装ですぐに違いが判ります。
ミニスカートやピンヒールはOKだけど、ジーンズや七分丈のパンツはダメ。 プライベートで飛行機に乗る時にも、ちゃんとした身なりで搭乗するようにと、一応規則があります。しかし、本国人CAがプライベートで乗る時、かなりの頻度でジーンズを履いているのを見かけます。最初の訓練で厳しく言われたはずなのですが、規則を真面目に守っているのは日本人乗務員くらいのような気がします。 この国では、上司であっても、自分が嫌われるのを避けるためか、気を使ってあまり部下を叱責することがありません。そういう国民性のためか、ちょっとくらい規則を守らなくてもすぐに注意されることがないので、「まぁいいか」となってしまうのでしょう。
写真pinterest.comより 私は、年齢的には30歳を数年前に通り越した大人の女性ではありますが、今もカジュアルな格好が大好きです。 日本だと、年齢に見合わない服装をしたらすぐに浮きますが、この国では気になりません。
職場では決められた制服を規則通りにきっちり着る。 日本ステイ中には、年相応の大人服も楽しむ。 |
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☆なでしこCA日記☆ No25 |
読書よりおしゃべり |
ところがこの国に暮らし始めて7年、今まで、読書が趣味だという本国人に、出会うことはほとんどありませんでした。この国では、人々は本をあまり読まないらしく、読書が国民全体に根づいていないようなのです。 移動中や待ち時間などに、現地の人が手にしているのは、本ではなくスマートフォンやタブレットです。日本でも、読書する人が以前に比べると減ったとは言われていますが、それでもこの国に比べると断然多い感じがします。 この国では、例えば、電車の中で本を読んでいる人はまずいません。1車両に一人いれば多い方です。 電車だけでなく、カフェや公園、会社の食堂、どこを見渡しても本を読んで時間を過ごしている人を見ることはほとんどありません。
以前ヨーロッパへ旅行した時、欧州の航空会社に乗客としてお世話になりました。 私の会社では、CAたちは乗務中、機内での空き時間に読書をすることは禁止されています。
たまに、会話がヒートアップし皆の熱が入り、その声がうるさくて眠れないと乗客からクレームが来ることもあるほどですが・・・。そういうわけで、本国人CAたちは会社のこと、ファッションや政治のこと、大体何に関しても詳しいのです。 ところで、機内で私がお手伝いをするのはもちろん日本旅客だけではありません。 この国では、都市部での生活は日本以上に便利です。 正直に言うと、この国に暮らし出して最初のうちは、「普段、本を読まないなんて、勤勉な人が少ないのかな」なんて思ったこともありました。しかし、国の歴史や背景、人々がおかれている環境を改めて考えてみると、日本で暮し育ってきた自分とは違う生き方があるのは当然なのだと思うようになりました。 |
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☆なでしこCA日記☆ No24 |
かぶりつかない |
そのうちの一つが、“食べ物を、直接手にとってかぶりつかない”というマナーです。 これを最初に知るきっかけになったのは、入社してすぐの頃の機内での休憩時間中でした。サービスが一段落してCAたち皆でギャレーに集まり食事を取っていた時のことです。本国人CAが、日本ステイ中に買った大福をスーツケースから取り出し、機内用のお皿に乗せ始めました。次にナイフとフォークを準備して、その大福を綺麗に切り分けながら食べたのです。 日本人の私にとって、大福は手に持ってかぶりつくものだったので、初めて海外の人がそんな風に食べる姿を見て、つい笑ってしまいました。そんな笑う私を見て、彼女は、 この国のCAたちは、特に機内では、マナーと衛生面、この両方の理由で、食べものを直接手でつかむことはほとんどありません。さっと手でつかんで食べたいもの、例えば、みかんやいちごなどの果物や菓子パンまで、フォークやナイフを使って食べます。バナナも皮を剥きながらかぶりつけばいいものを、縦半分に皮を剥いてフォークで食べています。今となっては私もそれに習っていますが、最初の頃は違和感たっぷりでした。笑 この“かぶりつかない”習慣は、機内だけの話に限らず人々の日常生活に完全に馴染んでいます。初めてこの国でケンタッキーに入った時には驚きました。
写真出典Namjai Blog そのおかずの中に、手羽元のから揚げがありました。 すると、手でつかんで食べるのとは何かが違うのです。 このかぶりつかない習慣は、この国に暮らして長くなった今、私にとっても自然なことになりました。日本ステイ中に無意識にこのかぶりつかないマナーを実行していると、「上品だね」なんて言われたこともあります。(笑) 最近では、国際化が進んでいることが理由なのか、この国でも伝統的なマナーが以前ほど守られていないそうです。直接食べ物にかぶりつくことがよくないとされているので、ハンバーガーやドーナツは、元々はあまり人気がなかったということは理解できます。 しかし、ここ数年の間に多くのその類のお店が街中に進出してきました。そして、何の抵抗もなくかぶりついている本国人の若者たちを目にする機会が増えてきています。 「最近は西洋の文化も入ってきているし、この国特有の昔からあるマナーを守る人が減ってきている。でも私は若い女の子たちの憧れの職業であるCAにつけたのだから、所作が美しい女性であり続けたい」と言っていた本国人CAのことを思い出します。 彼女はとてもステキで美しく素晴らしい人です。 写真出典Masa気が向いたら日記 この国での、ほとんどのマナーは守っているつもりですが、ハンバーガーはやっぱり手でつかんでかぶりつくのが一番美味しいから仕方ない!と開き直りながら、若者たちにまじってかぶりついています。 |
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☆なでしこCA日記☆ No23 |
コーヒーがぬるい |
うちの航空会社では、コーヒーを離陸後、専用マシーンを使って豆から落とします。淹れたての時はギャレー内にとてもよい香りが漂います。エコノミークラスでも、落としたてのコーヒーが飲めるという点は、うちの会社の強みの一つだと聞いたこともあります。
本来は、機内には一人用の粉末インスタントコーヒーが搭載されているので、食事サービス時以外はそれをサービスしています。それにもかかわらず、時間が経ったコーヒーをお出しするのは、一体なぜなのか、そんなに面倒くさいことなのか?と最初のうちはよく不思議でした。 ただ最近、これは本国人CAたちの配慮が足りないというより、この国の気候が関係しているのではないかと気づきました。というのも、ここは常夏の国なので、普段、人々はほとんど温かい飲物を口にしません。コーヒー自体は人気ですが、いつもアイスコーヒーです。それにミルクとシロップをたっぷり入れて飲んでいます。温かい飲物の必要性や、コーヒーの鮮度へのこだわりがあまりないのでしょう。だから、ついぬるいものをお出ししてしまう本国人CAが多いのだという結論にたどりついたのです。
とにかく毎日暑いので、屋外ビアガーデンで飲んでいるとすぐにぬるくなります。そのためにビールをオーダーすると、必ず氷のバケットと一緒に持ってきてくれます。ビールが冷えていないなら、氷を入れたらよいという考えがあるのか、機内で乗客にお出しする際、缶ビール自体が冷えているかどうか気にしている本国人CAはあまりいません。 私はビールが大好きです。 しかし、やはり日本人の私としては、ビールはできる限り冷やしてお客様にお出ししたいです。 またある日の静まり返った深夜便で、一人の本国人乗客に呼ばれました。 機内食だけでは足りず、他の種類のものを召し上がりたいとのご要望を受けました。うちの機内には、乗務員用に地元のカップ麺が搭載されています。乗客の安全を守るのが一番の仕事なので、乗務員たちがフライト中にダイエットのために食事を抜かすのは禁止です。お腹が空いて力が出なければ、いざという緊急時に乗客を助けることができないからです。 ただいくら仕事といっても、CAも毎回機内食ばかり食べていたら飽きるのも当然です。宗教上の理由で牛肉や豚肉が食べられないというCAもいます。そういう時のためにも、カップ麺が搭載されているのです。たまに乗客の中でも宗教上の理由で通常の機内食が食べられないなどの事情があると、そのカップ麺を提供することもあります。 そのお腹を空かせた本国人乗客にも、今回、特別に差し上げることにしました。 日本のカップ麺だとお湯を入れてから3分や5分待ってから食べると決まっていますよね。 麺が硬すぎたり、逆にのびてしまったりするのが許せない日本人としては、とても大事なことです。カップの中に熱湯を注ぎ、3分ほど経つ前にそのお客様のもとへお持ちしようとしたその時、本国人CAに止められました。 最終的に、私がお湯を注いでから40分ほど経った頃、ついにお客様のところにカップ麺を持っていきました。あまりにも気の毒になり、様子を見にお客様のもとへ行くと、なんとそのカップ麺は完食されていました。 間違いなく冷めているし、麺はのびているし・・・。 そもそも、常夏のこの国の料理は、味がとにかく「辛い」「甘い」「塩辛い」「濃い」のオンパレードです。大体の料理が、多少冷めても問題なく美味しいのです。日本のように繊細な料理とは違い、多少麺がのびたり、料理が冷めたりしたところで味は変わらない。アツアツが大事、麺はのびたらもうダメだという概念がないのでしょう。
しかし、しばらく住むうちに、この国の食べ物や気候を考えたら、なんとなく理解できるようになりました。日本人は、でき立てアツアツを好むため、急いで食べる傾向にありますが、この国の人たちは、麺であろうが何であろうがのんびり食事しています。冷めた料理をテーブルの上に残しながら、ちょっとずつゆっくりお喋りながら食べている姿をよく見ます。 こういうこだわりが少なくのんびりしたところが、この国の人たちの穏やかな性格にもつながっているのでしょうか。 |
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☆なでしこCA日記☆ No22 |
女性は大変 |
“お洒落は中からして初めて本当の女子力が上がる!” 最近の、私のぜいたくな出費は、脱毛処理のためのサロン代です。 ところが、私の住むこの国の女性たちを観察していると、 しかしそれと同時に、彼女たちの腕や足に目をやると・・・、まったく手入れがされていないので、顔とのギャップにびっくりさせられました。街で歩いている女性を見ていても、腕や足はほとんど手入れしていません。 欧米人のように、体毛も金髪だと、まだ違うのでしょうが、彼らは同じアジア人 そうかと思えば、この国の女性たちは、とにかく色白になることに憧れます。 美容関連の出費の話に戻りますが、美容院代というものもありますね。 それに比べ、こちらの国では、多くの女性は自分でヘアカラーをしているのです。 また、肌のケアでも違いがあります。 女性は、様々な美容関連の出費が毎月あります。 |
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☆なでしこCA日記☆ No21 |
笑顔で陳謝 真顔で陳謝 |
ある日の機内、食事サービスを行なっている時でした。 “笑ってしまったのか…!” 実は、この国では何か粗相をして謝罪する時には“笑顔で謝る”のが習慣なのです。
ほとんどの本国人CAたちは、日本人に対して好意的です。 しかし、私自身、入社してからずっと気になることが一つあります。 笑って謝罪することに関してのクレームはよくあるのに、この相槌の打ち方でお客様を怒らせたという話を一度も聞いたことがないのが不思議なくらいです。 入社当初は、この「ああ!?」に驚き、私がいくら新入社員で年下だからってそれはないだろう!と憤慨していたくらいです。しかし実は、これはこの国の人たちにとっては全く悪気もなく、普通の聞き方なのです。 空港への通勤時、私は毎回タクシーを電話で呼ぶのですが…、 また、ある時のカフェでのオーダー時、 (写真) 水の精霊に感謝するロイクラトン祭り(灯篭流し) 機内での空き時間もあります。 入社してすぐ、まだこの国の人たちの習慣にそれほど慣れていなかった頃のことです。 日本人CAの間では、 |
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☆なでしこCA日記☆ No20 |
虫対策の巻 |
そこで、フライトで日本に飛んだ時に買って帰ることにしました。
でも実は、とても曲者なのです。 それ以来、マンゴスチンを買って帰った時には、まず大きめの鍋かボウルに水を入れ、マンゴスチンを漬けます。
換気で窓を開ける時は、必ず蚊取り線香をつけます。 そんな私に比べて、この国の人たちは、蚊に全然刺されないのです。 また、この国の人たちは、蚊が目の前を飛んでいても、手で叩いて殺すことはしません。実は、彼らは敬虔な仏教徒です。その教えを忠実に守っているので、虫であってもなるべく殺生はしないのです。ゴキブリでさえも殺すことはよくないと言います。 この国では、蚊に刺されてかゆい辛さを分かってもらえない上に、 それを目の前で殺せないのです。 虫が暮らしやすい夏が、一年中続くこの国では、自分を守るため、対策はこれからも欠かせません。その対策さえちゃんとしていれば、快適に過ごせます。 塾長より ヤモリは、人間に害を与えることなく、蚊や蛾、ゴキブリを捕食してくれ、家を守ってくれると言われています。 |
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☆なでしこCA日記☆ No19 |
赤ワインをこぼす |
何年飛んでいても、手元が狂ってしまう時もあれば、急な揺れでこぼれてしまうこともあります。こればかりは、誰にでも起こりうることなので、赤ワインを扱う時には、特に気を引き締めています。 そのCAは、 一応、 あなた通訳お願い」と言います。
聞いた話によると、事件は、食事サービスの最中に起きたそうです。お客様が化粧室に行こうと、座席から立ち上がったものの、通路にはミールカートやドリンクカートが出されており、ふさがっています。 そこで、カートの横を通っていただくため、本国人CAが、カートを端に動かそうとしました。それと同時に、そのお客様も、「通らせて」と、カートを押したそうなのです。互いのタイミングが合わず、上に置いていた赤ワインのボトルが倒れて、お客様のズボンにかかってしまったという。どちらかといえば事故に近かったようです。 事情がどうであれ、お客様の真っ白な、オシャレなハーフパンツが、すでに真っ赤に染っていることに変わりありません。 代わりのはきものとして、ファーストクラス用のスウェットをお渡ししたとのことですが・・・。 チーフパーサーと、こぼしたCA、そして通訳の私が、そのお客様に謝罪、そして対処法のお話をしに伺いました。私たちが「○○様、この度は・・・」と言い始めるとすぐに、 お客様の顔には、微笑が浮かんでいるのですが、完全に目が怒ってらっしゃいます。 わが社の規定では、飲物などで、旅客の衣類を汚損しまった場合、主に、2つの対応法があります。機内免税品の中から、お好きな物を選んでいただくか(上限金額あり)、マイル(大体近距離線往復分程)を差し上げるかです。 「この後、仕事で大事な会議があるんだ。それなのに、こんな赤ワインのシミつけたズボンで 行けないよね。今借りているこのパジャマみたいなスウェットで、会議に出ろっていうの?免 税品とかマイルなんていらないし、とにかく何かはくものを準備しろよ」 と、パーサーに詰め寄るお客様 「私の部下の配慮が足りなかったために、お客様のお仕事に支障が出てしまうことに、 大変申し訳なく思っております。大事な会議の前に、このような不快な思いをさせてし まい、心よりお詫び申し上げます。ただ、本当に申し訳ないのですが、この機内では、 今お渡ししているそちらのスウェット以外にすぐにご用意できるズボンの準備がございま せん。お客様は預け荷物の中に、替えのお召しものはお持ちでいらっしゃいません か?」 「ないね・・・」 「さようでございますか…到着後すぐのターミナルビル内に免税店がございますが、そちら では洋服を扱っておりませんし・・・」 「どうすんだよ。ワインこぼすことなんて、フライトでしょっちゅう起こることだろ。それなのに、 替えの一つも用意がないなんてひどい会社だな・・・」 「大変申し訳ありません・・・」 「とにかく、何か準備しろよ」 “自分たちは何をして差し上げられることがあるのか・・・” このようなやりとりだけが続き、時間が過ぎていきました。お客様のお怒りもマックスになりつつあり、まずい雰囲気が・・・、とその時、本国人の男性乗務員が近寄ってきました。 「僕、今回の日本ステイでズボンを買ったのですが、もしそれでよろしければ差し上げます。 お客様の履いてらっしゃったものと同じようなハーフパンツです。」 「なら、それ、はかせてもらうわ」 お客様が試着した結果、ぴったり! 実は、この後、近くに座っていらした他のお客様に話しかけられました。 「さっきのあのお客さん、いくらなんでもtoo muchだったね。機内で飲物こぼされること なんていくらでも起こりうることだって、本人も言っているじゃない。海外での大事な 仕事の会議があるって時に、本当に替えのズボンの1着も持ってきていないのかね? しかも元々履いていたのが、白のハーフパンツでしょ。それ、会議で着る格好?何が起き ても自分で対処できるように替えの洋服の一つくらい持っておくのがビジネスマンでしょ。 そんな準備もできてなくて、あなたたちだけのことを責めるなんて、日本のビジネスマンっ てそんな未熟な人が多かったっけ?」 それ聞き、正直少しだけ胸がすっきりしました。確かに私たち乗務員皆、大事なお洋服を赤ワインでよごしてしまい、申し訳ない気持ちでいっぱいでした。しかし、こちら側が何を言ってもズボンの替えを迫るそのお客様を目の前に、チーフパーサーも私たち乗務員も徐々に途方に暮れ始めていたのです。 オレンジジュースを頭からかぶっても、 「大丈夫。飛行機って狭いし揺れるからそんなこともあるよね。大丈夫だよ」 本国人CAの間で、日本人旅客は普段は大人しいけれども、一度怒らせてしまうと大変という噂は昔からあるようです。 今回のことがきっかけで、日本人は顔が笑っていても、実はとっても怒っていることがあるのだ、と新しい情報が本国人たちの間で広まっていくでしょう。 |
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☆なでしこCA日記☆ No18 |
あと片付け |
同じアジアとはいえ、この国と日本、違う習慣は数知れず。 日本では、マクドナルド等のファーストフード店では、「返却口」という場所があり、食べ終わったものは自分でゴミ箱に捨てて帰ります。 使い終わったもの、借りたものは元の位置に戻すというのが日本人。 先日行なわれたブラジルワールドカップでは、こんなニュースも流れてきました。 「日本代表の試合後に日本人サポーターが観客席のごみ拾いをしたことをたたえ、リオデジャネイロ州政府は11日、サポーター代表として駐リオ日本総領事や地元日系団体代表を表彰した」 この国では、自分が客として利用した時、使い終わったものを元に戻すという概念はありません。例えばスーパーに買い物に行った時、使い終わったショッピングカートを定位置に戻す人はほとんどいません。レジ周辺や駐車場の中に、皆放って帰ります。
機内でも、違いはよく出てきます。 日本人旅客の行儀の良さが、とにかく顕著に表れるのが、読み終わった新聞の状態です。 この国では、利用する人と片付ける人と、うまいこと分かれています。 この国の人々の国民性は、生真面目になりすぎず、周りのことを気にせず、良い意味でも悪い意味でも自分のことが第一という考えです。 数年前には三十路を過ぎた私。 しかし実際のところ、日本の外へ出ると、日本とは違った習慣が待ち受けています。 私の母は70歳を過ぎました。 |
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☆なでしこCA日記☆ No17 |
この国の結婚式 |
新婦である友人は、会社のCA同期で日本人です。
立派なホテルでの式にも関わらず、リラックス感を演出していたもう一つの理由があります。 お待ちかねの披露宴では、日本では司会者は必須ですが、ここではいません。 後日、その新婦だった友人と一緒に食事に行きました。 日本ほど、結婚式が、人生の中でも、ベスト3に入りそうなほどのビッグイベントという感覚はないのでしょうか? また、この国でのご祝儀の習慣も、日本とは違うようです。 今振り返ってみても、立派な会場や食事ではあったものの、こんな風にリラックスできる式はまず日本ではなかなかないでしょう。 私はあまり乙女チックなタイプではなく、「自分は式や披露宴はやらなくてもいい」とずっと思っていました。憧れがほとんどなかったのです。 やっぱり女性にとっては、綺麗にメイクをしてもらい、素敵な会場で家族と仲の良い友人に祝ってもらうことは、幸せなことなのだなと、大きく感化された最高の式でした。 |
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☆なでしこCA日記☆ No16 |
楽がすべて!(ゴミ事情) |
この国に移ってきてすぐの頃、不燃物と可燃物を一緒に捨てるのに抵抗があり、自分なりにゴミの種類を簡単に分けてからゴミ出しをしていました。
それに、捨てられたゴミを分別する仕事の人もいるくらいなんだから!」 私の住んでいるコンドミニアムでは、各階の階段の踊り場に大きなバケツが置かれており、各階の住人が、家庭ゴミをそこに捨てに行くようになっています。
これほど自由な状態であっても、踊り場のゴミ捨て場や廊下が汚れていることはまずありません。私たち住人がこれほど心地よく過ごせているのも、清掃員のおかげです。
また別の日、近所を歩いていると、作業終わり帰宅途中の彼女とすれ違いました。 ゴミの分別の他に、日本と大きく違うのが、スーパーマーケットでの袋事情です。 日本ステイ中、私もエコバッグを持ち歩くようになりました。
楽で便利だったら、それでいいって考えしかないからねー」 この国では、現代の世界的なエコフレンドリーな動きと正反対の生活環境の中で、人々は暮らしています。 これだけこの国の生活に慣れていると、将来、もしも日本やヨーロッパで暮らすことになったら、最初は、再適応するのに苦労するだろうなと思います。 |
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☆なでしこCA日記☆ No15 |
機内での食事時間 |
英語を話せる日本人旅客が諸外国に比べて少ないので、 「高齢のお客様が何か質問あるそうなんだけど通じない、
来てくれない?」 日本人CAは1便に1、2名しか乗務していなので、いつもすぐにお呼びがかかります。
ここ最近は、家でおにぎりを作ったり、日本ステイ中にご当地弁当やお菓子を買ったりして、自分で機内に持ち込むようになりました。ほんの10分から15分ほどの時間ですが、暖かい飲み物と一緒に、持ち込んだお弁当やお菓子を食べると心も落ち着きます。そんな色気のない花より団子状態の私ですが、そういう所がこの国に合っているなと感じる大きな1つです。 というのも、本国人たちも食べることが大好きなのです。 多くの本国人CAたちは、帰りの機内に、日本ステイ中に購入した食べ物を持ち込みます。 他にも、今では当たり前の光景となりましたが、まだ私が初々しかった頃にとても驚いたことがあります。ニンニクたっぷりの料理をギャレーに広げ、皆で頬張っているのを目撃したのです。 例えば、日本の焼き餃子。本国人CAの間で人気が高く、私も大好きです。でも、フライト前(ましてやフライト中も!)は食べないようにするのがサービス業に従事する者だと信じていました。
しかし、本国人CAたちにとっては、ニンニクもなんのそのなのです!笑
先日のフライトで、厳しいと噂されているチーフパーサーにあたりました。 サービスが終わって、乗客の様子も落ち着き、さて、皆の大好きな時間になりました。
彼のこだわりっぷりがあまりにも興味深かったので、近寄ってみると、なんとも嬉しそうな表情で食事の準備を進めています。 しかし、これはあくまで前菜で、オーブンで厚揚げも温めているとのこと。
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☆なでしこCA日記☆ No14 |
NGポイントが謎??? |
私は入社前、 この国の人たちは、上司や先輩に対立して意見を言うことは、まずありません。 結局そのベテランCAは この国では、大抵は、 「意見を言い合ってぶつかるのは面倒」 「深く考えず、楽しくやろうよ!」 また、 が!ところがです。 私も、けっこう言われてきました。ある時、 乗務員だねって言っていたわよ!」 また、日本から来ていた友達の観光案内をしていた時のことです。 気にしない気にしない!ははは!」 これらのように、微妙に、チクリとくる言葉を今まで何度となく言われてきました。 少し注意されただけでも、傷つくほどプライドが高く繊細かと思えば、平気でズバズバ言うところもあるこの国の人たち・・・。 |
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☆なでしこCA日記☆ No13 |
赤ちゃんにキス? |
今はクリスマスのホリデーシーズンということもあり、お子様連れのお客様が多く、子ども大好きな本国人CAたちは、お子様が乗ってこられると、「可愛い〜!!」と皆テンションが上がります。私自身も含め、呼ばれなくても(笑)、赤ちゃんや小さなお子様のところへ行き、お話したり遊んだりしています。 その時の親御さんたちの反応は、国籍によって変わります。
そして、しばらくすると本国人CAが赤ちゃんの頬にキスしました。 本国人CAたちは、ただ単純に子どもが可愛いから近寄っているだけではありません。
さて、機内には、ヨダレ掛けや塗り絵、シール等、数に限りはありますが、お子様用のグッズが用意されています。 また、お母様一人で、お子様や赤ちゃんを連れて搭乗された場合には、 実は、日本の親御さんからは、こちらから伺わない限り、何かを頼まれることはほとんどありません。お客様側から何か頼まれることといえば、熱が出た等の緊急の場合か、哺乳瓶にお湯を入れるくらいでしょうか。 先日、日本人のお母様がお一人で、5ヶ月の赤ちゃんと3歳のお姉ちゃんを連れて搭乗されてきました。 ちなみに、いつものように本国人CAが赤ちゃんや小さなお子様に話しかけて遊んでいても、大体の日本の親御さんは 遠慮をする、これも日本の美徳の一種と言えるのでしょう。 もちろん、中にはちゃんと日本人の繊細さや厳しさに気づいており、日本線に乗務する時には、頼まれなくてもこちらから話しかけてお手伝いするなど、積極的にアプローチしている乗務員もたくさんいます。ある本国人CAは、国籍によってサービスに差をつけているわけではなく、それぞれの国柄にあったアプローチ方法にしていると言っていました。 増えている訪日外国人。 赤ちゃんには、病気に対する抵抗力がまだ十分備わっていません。他人の赤ちゃんにキスするのは避けたほうがよいでしょう。塾長 |
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☆なでしこCA日記☆ No12 |
美しさとは |
また、本国人女性は、日本と比べると独身でいることを選ぶ人が多いため、年齢に関係なくいつも恋をしています!機内での空き時間、決して若いとは言えない本国人CAと、恋話に花が咲くこともあります(笑) そんな風に、年齢に関係なく、活き活きとしている本国人CAたちに囲まれて仕事をしていると、私も、「女度を上げたい!」と、よい刺激を受けます。 美に関する情報は、特に女性なら誰でも興味があることですね。この国でも、日本同様、人々の美意識はとても高いです。ただ、その美しくなるための努力の仕方が、この国と日本では、少し異なるように思います。 日本の女性は、メイクやファッションで美しく見せようというだけでなく、元からの美、例えば、健康的な肌や髪を保つように心がけます。普段の食生活に気を付けたり、エクササイズする人も多いですね。たまに、エステ等に頼ることもあっても、あまり手を加えすぎずに、自然な形で自分の美を磨く人が多いのではないでしょうか。 それに対し、この国の女性たちは、人工の力に頼ることにあまり抵抗がないようです。例えば、本国人CA同士の会話の中で、たまに耳にする痩せ薬です。私は恐くて手を出せませんが、かなりの効力があるらしく、しかも簡単に手に入るそうです。整形も、日本よりもお手頃価格で行われています。普段から、多くの女性は、当たり前のように、かなり濃いメイクをしています。
この国では、枠にはまらず、自分を上手に演出している人が多いなと感じます。日本的感覚でいえば、「派手なメイクだなぁ」というくらいの人の方が、「綺麗」とよく褒められています。カラーコンタクトや付けまつげ、太すぎるほどのアイライン、濃いリップ。日本の働く女性たちの間では、なかなか定番になりそうにないこれらを、あらゆる場所で違和感なく使用しています。 以前、日系航空会社の元CAの方とお話をしたことがあります。その航空会社では、CAは万人受けするメイクにするようにと言われるそうです。確かに、お客様は老若男女、色々な方が搭乗されます。それに、全体的に派手な乗務員よりも、優しそうで、ほんわかした雰囲気の方が、何か頼む時に声をかけやすいですよね。
訓練が始まって間もない頃のことでした。教官の一人は、外見に細かい毒舌な男性(中身は女性?)でした。私たち日本人訓練生数十名、顔を見渡され、 当時日本で人気のベージュ系のグロスをしていると、
確かに、この国は、エキゾチックで彫が深い人が多いので、本国人CAたちは濃いメイクや盛った髪型も、嫌味なく似合います。日本人の同期の中でも、何人かは本国人仕様のメイクがばっちりきまっている者もいましたが(笑) 訓練時の慣れないど派手なメイクをしていた自分の写真を見ると、美しさからはかけ離れており、今となっては、ただ恥ずかしさと笑いがこみ上げてきます。 機内では、派手な本国人CAを見て、やや驚いている日本人旅客の姿もたまに見かけます(笑)。反対に、日本では、なかなか見ない華やかな雰囲気を醸し出している本国人CAを見て、「すごく綺麗ですね!」と言ってくださる若い日本人女性もいらっしゃいます。 目で楽しんでいただく。これも素敵なサービスの一環ですよね。私は残念ながら、外見で、お客様に「綺麗!」と言わせるほどの美貌は持ち合わせていませんので、自分に見合った方法で、乗務員である自分を演出していくしかありません。それも大事かな思っています。私は、声をかけていただきやすい雰囲気を出すよう、柔らかい表情を心掛け、通路を歩く際は、静かにゆっくりしたりしているつもりです。もちろん、会社のルールに沿って、メイクなどはしているつもりではいますが(笑)。 いずれにしても、誰もが認める本当の美しい人というのは、内面が綺麗な人ではないでしょうか。メイクやヘア、もちろん外からのアプローチは、自分を美しく仕上げる大きな効果になります。身だしなみを整えることは、CAにとって大事なことには間違いありません。ただ、お客様をおもてなししたい、お手伝いをしてさしあげたいという、心から滲み出る優しさやオーラは、まつげやネイルのように外側から付け足すことはできませんよね。また、前向きな人が醸し出す目の輝きや姿勢、これらも内面から自然に湧き出てくるものですね。私も、外見を整えるのはもちろんですが、日本とこの国それぞれの良さを吸収し、いつまでもイケイケで目の輝きが衰えない本国人CAからも刺激を受けながら、内面も磨いていきたいと思っています。 |
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☆なでしこCA日記☆ No11 |
日本の人は寒がり |
私も、かなりの寒がりで冷え性なので、乗客として乗る際、機内で配られるブランケット1枚では足りません。厚手の靴下やパーカー、ストールなど、羽織るものだけで鞄がパンパンになってしまうくらいに持ち込みます。やや長期のバケーションで遠出する時には、他社機に乗ることもあります。 先月も欧州系航空会社2社にお世話になりました。
ではなぜ、私の勤める航空会社はこれほどまでに寒く(涼しく)するのか。
以前、男性のお客様に、「いくらなんでも寒すぎだ!君たちどんな神経しているんだ!」 また、機内全体の温度を設定する権限を握るのは本国人の客室責任者(チーフパーサー)のみです。機内の乗客がほとんど日本人だという場合は、 時には、本国人CAたちも、「寒い、寒い」とぶるぶる震えているのに、温度を変えようとしません。それを見ていると、屋内はとにかく寒いくらいに設定するということが、彼らに染みついている習慣なのだと感じます。 ちなみに、私の航空会社では、日本人旅客へのイメージは、「礼儀正しい」がダントツ1位だと思います。その他には、 機内では、日本人のお客様から、毛布をもう1枚余分に頼まれることが多くあります。他の国のお客様に言われることは、あまりありません。その意味では、日本人は寒がりと言えます。 機内に限らず、この国のほとんどのビル屋内は、私にとって凍える寒さです。
教官は、「冷房を切ると息ができなくなる」といつも言っていました。 以前、フライトが無事日本に到着し、ステイ先のホテルに着いてすぐでした。ある本国人CAが真っ先にホテルスタッフのところへ向かい、深刻な顔で何やら話をしています。 冷房が使えるかどうか聞いてくれないかな? その本国人CAいわく、1ヶ月ほど前のフライトで、このホテルにお世話になった時、まだ5月初旬だったからか、部屋の空調を、宿泊客が自由に調整できるように、まだ設定されていなかったようなのです。今は、すでに6月、ホテル側も、さすがに全室、空調を利用できるような設定にしていました。翌朝の本国への折り返し便でそのCAに体調を尋ねたところ、「ぐっすり眠れてよかったよ!」と、とても爽やかな笑顔で答えてくれました。 私も、平熱がこの国の人たちのよう高ければいいのに、もう少し血液の循環が良ければなぁ〜と、うらやましくなることもあります。興味深いことに、この寒さに慣れてしまい、逆に体温が上がったという日本の友人もいるのです。 何にしても、体を冷やすことは特に女性には良くないことですよね。 人一倍寒がりである私が、常夏の国に暮らせるなんて、なんてありがたいことだと、入社が決まった時、家族一同喜んでくれました。 |
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☆なでしこCA日記☆ No10 |
計画どおりにいかない |
買い物リストは必ずと言っていいほど準備しますし、オフの日にしたいこともメモします。例えば、「1.ネイル 2.銀行(待っている間に△△と■■をする) 3.ヨガ 4.○○デパートでギフト選び」というように、どの順番に何の用事を済ませば一番効率よく動けるか、前もってリストにします。 ところが、この国に来てから、計画通りに物事を運ぶことの難しさを実感するようになりました。 フライト時に着用する制服は、汗をかきますし、シワもすぐついてしまいます。常に清潔に保っておくため、ジャケットを除き、一度着た制服は、毎回クリーニングに出すようにしています。ありがたいことに、会社がその費用を負担してくれます。ただし、空港の隣に設置されている指定クリーニング店を利用することが条件です。自腹を切るなら別ですが、自宅付近の店に出しに行くということはできません。そうなので、フライト勤務で空港へ行く際、前の乗務で着た制服を一緒に持っていき、クリーニングに出す、という形をとっています。 以前、指定クリーニング店の営業時間にぎりぎり間に合わなかったことがありました。乗務前のため、その出しそびれた制服をまた家に持って帰る時間もなく、結局、フライトに持っていくはめになったのです。不要な制服の荷物が増え、面倒な思いをしました。これは営業時間を勘違いしていた自分のせいだったので仕方がないことです。しかしその後も、様々な理由でクリーニングを出せないことがちょくちょくありました。開店時間内に行ったはずなのに、店はすでに閉まっていました。予告もなく、突然閉店時間を1時間早めたとのことだったのです。先日なんて、入口のドアノブに「従業員只今休憩中」というプラカードがぶら下がり、鍵がかかっていました。 こういうことが立て続けに起こるため、今では、さすがに私も対処方法を身につけました。このような場合、強い味方になるのは会社のコインロッカーです。入社当時の頃と違い、「クリーニングに出せたらラッキー。出せなければ会社のロッカーに預けたらそれでいいや」くらいの考えに変わったので、とても気が楽になりました。笑
でも、この品揃えの不安定さも、たまには良いものです。というのも、前もって調べたレシピ通りの材料を調達するためスーパーに行ったとしても、完璧に揃えられないことがしばしば。仕方なく代わりになる野菜や調味料を探します。そうすると、最終的に、レシピ通りではなく、自己流の料 買うつもりにしていた野菜が売られていなくても、好きな料理をすることには変わりはありません。自己流のレシピを考案でき、結局、料理中ハッピーな気持ちになっているものです。 また、急な停電に予定を狂わされることもあります。 先日、時差がある海外に住む友人と、スカイプで通話しようと約束をしていました。「さて、そろそろ約束の時間だし、インターネットを立ち上げよう」と、パソコンの前に座った途端、“パチッーン”という音と共に、家の中が真っ暗になりました。電気系統は一切使えず、ネットもつながりません。友人に連絡は取れないし、いつ停電が収まるかやきもきしていました。 運がよければ5分で電気は戻ってきますが、1時間近く、そのままのこともまれにあります。結局、この時は20分ほどの停電で済みました。友人を待たせてしまったものの、とりあえず話をすることはできました。ただ、ここは常夏の国です。その友人を待たせてしまったことよりも、停電の間、クーラーが止まっていたため、汗だくになった顔を披露しないといけなかったことの方が申し訳なかったですが・・・(笑)。 フライト前に大停電が起こったこともあります。早朝フライトのため、起床時間は午前3時で、外はまだ真っ暗。暗い部屋の中で、クーラーも扇風機も使えず、汗をかきながら、懐中電灯とろうそくの光で準備をしました。暗い中でメイクをしたため、チークが必要以上に濃かったことは、後で空港に着いてから知ることになりました。さて自宅で、なんとか出発の準備ができました。今度はエレベーターが使えません。7階の部屋から、スーツケースを抱えて階段を下りて、空港へ向かいました。フライト前にすでに汗だく、へとへとです。私の部屋は7階でまだよかったものの、もっと高層階に住んでいたら・・・と想像するだけでぞっとします。 計画していた通りになかなか実行できない経験が増え、お蔭で以前に比べ、多少のことにはイライラしないようになったと思います。相変わらず今もリストを書いていますが、よい意味で諦めも早くなったようです。 品揃えが安定していて当然、予定通りお店がオープンしているのが当たり前。それを基準に、この国で生活していると疲れてしまいます。逆に計画通りにいかないことが多いお陰で、臨機応変に対応する力や柔軟性がつきました。こうやって、海外生活を通して、逞しくなっていくものなのだなと感じる日々です。 |
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☆なでしこCA日記☆ No09 |
自分の国を知る |
「日本製は、とにかく、質がよくて信頼できる。 世界中を飛び回り、色々な国を見ている本国人CAにそう言ってもらえると、とても嬉しく感じます。興味を持ってくれている分、質問されることもよくあります。 自分でも知っているようで、いざ聞かれると、細かい説明にまごついてしまうようなものもあります。今まで、本国人CAを含め、海外の人に日本のことを聞かれ、答えらず恥ずかしい思いをしたことも、何度かあります。 自分の国の基本的なことさえも、ちゃんとわかっていないことに情けなく感じました。 機内での空き時間、説明書を手に持った本国人CAに、 日本から本国への帰り便で、空き時間での出来事です。 プライベートで遊んでいる時など、時間にゆとりがある時ならまだいいです。 日本人CAの私は、この国では外国人、 でも、そういう私も、人のことは言えません。 結局、お互い様なんだなと思います。 |
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☆なでしこCA日記☆ No08 |
子供にやさしい |
実際、もちろん赤ん坊は飛行機に乗れます。
基本的に日本の親御さんは、周りの方に迷惑をかけないよう、お子様を静かにさせようとしている方が多いように見受けられます。ギャレーの空いているスペースに立ち、泣いている赤ん坊をあやしている方はたまにいらっしゃいます。 しかし、大体、それなりに長い飛行時間にも関わらず、昼間の便でも、お手洗いにお子様を連れていく以外、ウロウロとされているのをあまり見ません。 それに対し、この国の親御さんたちは、お子さんが機内を歩き回っていても、放ったらかしにするほどおおらかな方もいます。先日の便では、本国人の2歳の男の子が、一人でギャレーにてくてくと遊びに来ました。 ギャレーから近い席だったこともありますが、これにはさすがに驚きました! また、子どもがどれだけ泣きわめこうと、ほとんど叱りません。この国の親御さんたちが、静かにさせようとしている場面に出くわすと、珍しいものを見たなというくらいです。 実は、「元々、子どもは泣きわめくもの、わがままなもの、好きなようにさせてあげたらいい」 自分が怒られず育てられてきているので、自分の子どもにも怒る習慣がないらしいのです。
家庭内で手をあげるとしても、基本的には子どもに優しい(甘い?)親御さんが多いからか、この国には、とても仲のよい親子が多いです。宗教的視点から見て、
との質問されたことがあります。 それに対し、この国の人たちは、最近、国が裕福になってきたことも関係してか、家族連れの旅客が目立ちます。10代半ばの男の子が、父親の肩にべったりと寄り添って座っている姿を見ても、違和感がありません。 また、そのくらいの年頃の少年少女たちが、母親と手をつないでいるのを見ることもわりとあります。親と一緒に行動するのが恥ずかしい、嫌だという思春期特有のつんけんした態度もあまり見ません。 手をあげられることはたまにあるにしても、子どもの頃に、優しく甘く育ててこられたことが関係しているのではないでしょうか。 結局、私のその友人は、今回は赤ちゃんを乗せて飛行機に乗ることはやめたそうです。 もしこの国の人たちに囲まれてその友人一家が暮らしていたら、違った答えを出していたでしょう。 皆が、子どもに、特におおらかに接してくれるので、安心して飛行機に乗せられただろうなぁと思います。 |
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☆なでしこCA日記☆ No07 |
至れり尽くせりサービス |
私は、一番「食」に意識が向きます。
さらにこの街は、この贅沢な食環境に加え、飲食店でのサービスが素晴らしいのです。 それに対し、こちらの国では、お店の人が常に見てくれていて、グラスの中がなくなる前に注ぎにきてくれます。 といっても、もちろん誰もが笑顔でサービスしてくれるわけではありません。 この国の飲食店でのサービスの良さは、チップ制であることが関係しているのかもしれません。 私もお客様にサービスを提供する立場です。 なんてこと、1度や2度ではありません。 お店の人がお世話をしてくれるものと思い込み、ついつい会話と食事に集中してしまうのです。 日本での知人たちは内心驚いていることでしょう。(笑) 一度に、様々な国籍の人々が集まっています。 さて、この国での大好きなオフの日の話に戻ります。 多くの日本人が、この街に滞在しています。 自分以外に最低1組くらいは、日本人の姿を見ます。 何度も席を立ってテーブルの周りを回っていました。 そして、その時の担当ウェイトレスはというと、 入社してこの国に来た頃は気づけなかった、日本とは違うこの国の人たちのサービ精神 まず、お客様に目的地まで安心して過ごしていただけるよう努めるのがCAの仕事ですよね。 |
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☆なでしこCA日記☆ No06 |
この国の食文化 |
例えば、風邪ひとつひいただけでも、フライトができなくなります。 怪我や急な病気は、誰にでも起こりうることで仕方がありません。 朝日と共に起きて、夜は自分のベッドで寝る。 しかしこの国の、本国人CAも含め、国民全体はというと、
本国人と付き合っている、日本人の友人から聞いた話です。 そもそもこの国のアパートや家では、台所がちゃんと備え付けられていません。 日本でも、学生時代の一人暮らしは、1Kの台所はあってないようなものですよね。 もしくは、部屋の中に台所関連のスペースは一切なく、庭やバルコニーにコンロが置かれているようなアパート・一軒家も多いです。 この国の料理はハーブやニンニクをふんだんに使います。
機内でも、本国人のお客様は、健康志向とかけ離れている様子です。 ドリンクサービスの後は、機内食をお配りします。 さて飛行中 しかし、食事に気を付けていると言った私ですが、何を隠そう、この国で働きだして、スプライトが大好きになってしまったのです。 では、いくつになっても元気にフライトをしている本国人CAの先輩たちはどうやって健康を保っているのか? 色々と考えすぎて食事をとるよりも、食べたい時に食べたい物を食べる。 |
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☆なでしこCA日記☆ No05 |
この国ならではのマナー
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私の航空会社では、日本人乗務員も何名かは在籍しています。しかし、直属の上司や一緒に働くほとんどのCAはこの国の人たちです。さらに機内となると、世界各国からのお客様に接します。 海外で有名なマナーといえば、例えば、欧米では、「麺をすすらない」「鼻をすすらない」「大っぴらにくしゃみをしない」等々ですね。
入社してすぐの、訓練中のことでした。 そんな座学訓練中の気晴らしは、なんといっても授業の合間に1度設けてもらえる約15分の休憩時間 さすがに、「がははー!」と大声で笑ったりはしませんでしたが、休憩時間は休憩時間
私たち日本人は、500ml程度の大きさのペットボトルや350mlの飲料缶は直接口につけて、ぐいっと口飲みするのが普通ですよね? 訓練中は、「世界に誇るこの航空会社のCAたるもの、あなたたちは、世間で女性のお手本といわれる存在です。制服を着ていないプライベートの時でも、立ち振る舞いには十分気をつけなさい」と、毎日のように教官から言われました。 テーマから少しはずれますが、他にしつこく言われたのは、 さて、機内でも、コップや缶に直接口をつけて飲まないというマナーは、本国人のお客様からも窺い知ることができます。 ただ、もともと250mlも入れれば溢れるような一般的なサイズの紙コップ1杯分も、飲みきらずに返却するのですから、後々喉が渇いて当たり前です。 本国人CAにこの話をしてみると、「ストローを使わずに直接コップに口をつけて飲むのは品がよくないでしょ。機内ではストローの用意はないでしょ。その飲み物を飲みきるとしたら、コップをぐいっと上に向けないと飲み切れない。それに抵抗がある人が多い。だから途中までは飲むけど、そのあとは残すんじゃないかな」とのこと。 確かに。自国の習慣として、一度にぐいっとすべての量は飲みたくない。 このマナーは、守っても守らなくても、特に誰かに迷惑をかけるというものではありません。 訓練中に厳しく注意されて以来、ペットボトルや缶の飲み物を飲む時は、ストローを使うようにしており、完全にこの国に馴染んでいるつもりです。 |
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☆なでしこCA日記☆ No04 |
アメリカ旅行 |
私たちが訪れた西海岸カリフォルニアの街は、とにかく道が広く、沿道には信じられないほど背の高いヤシの木がずらりと並んでいます。コーヒーショップでは、レギュラーサイズでも、日本でいうExtra Large並みの料理の数々。女性たちのファッションは、かなりカジュアルで、通りすぎる人々は大声でのびのびとしたジェスチャーで話をしています。 信号待ちをしていたら、おじさんが車の窓を全開にして、大音量でビートルズの曲を流し、タンバリンを振り回して、ノリノリで歌いながら走り去って行きました。 カリフォルニアは、とにかく広い土地のため、自家用車での移動が主流で、どの街も、公共交通機関があまり発展していません。しかし、私も、友人も、車の運転が苦手だったため、レンタカーはせず、毎日すごい距離を徒歩で移動し、限界を感じると、その不便な公共交通機関である電車とバスを利用しました。
私たちも、このバス待ち時間のおかげで、地元の人たちと世間話しをする機会が何度かありました。中でも、特に記憶に残っているのが、20代半ばの地元男性ジミーです。 車移動がメインのこの街の住人でありながら、車を持たず公共交通機関を利用しており、求職中でなかなか仕事が見つからないと、本人が言っていたことから、あまり裕福な人ではないようでした。 ジミーは自称「愛日家」で、お気に入りの日本食は牛丼とのこと。 日本人がお風呂で湯船に浸かることに疑問があるらしく、「日本人はあんなに小さな湯船に体を丸めて入って、どうやってリラックスできるのか?」と不思議そうにしていました。ちなみに、彼は身長190 cmくらいで、なかなか肉付きのいいどっしりとした体型でした(笑)。そんな彼にとっては、一般家庭の湯船は小さく写るに違いないでしょうね。 私たちは、彼に簡単な日本語を教えたり、自分たちがエアライン業界で働いていること、今回、この国に初めて来たこと、この国の広大さ(特に炭酸飲料の大きさ)に驚いたことなどで、会話に花が咲いていました。 そうすると彼から、「この街にCoolなJapanese Bar Restaurantがあるから、帰国前に一度絶対に行くべき!」と、お店を強く勧められました。 「海外旅行に来てまで日本料理かぁ」とも思いましたが、「お店の雰囲気が抜群で、料理も美味しい。地元の人たちに大人気!!」と、とにかく相当のおススメっぷりです。お店の場所も、中心街にあり、行きやすい場所でした。その日、観光後の夕食は決まっていませんでしたので、試しに行ってみようかと、友人と行くことにしました。 貴重な観光時間がバス待ちのために削られてしまいました。だけど、地元男性と話ができ、おススメのお店も教えてもらえたし、よい思い出になったかなと、友人も私も満足してバスに乗り込みました。もちろんジミーも後に続き乗ってきました。と、その時、「肩に何かついているよ」という程度の軽いノリで、ジミーは、
こうというのか?≫ ように楽しく会話をした私たちに頼むその神経は一体!?≫ 多くの場合、こういう時は、「話せて楽しかったよ。またね」で爽やかに終わるものですよね?私も友人も、一瞬あっけにとられましたが、優しい友人は、結局、彼のバス代を支払ってあげました。「なんか悪い人じゃなさそうだったし・・・」とのこと。確かに年下だし、憎めないタイプではあったけど・・・。 「次に会った時に返すよ。ありがとう」 私も日本で食べに行ったことはありますが、彼の言う“CoolなJapanese
Bar Restaurant”というイメージとは少し違いますよね? しかし、よくお店の中を覗いてみると、天井が高くて、落ち着いた照明で、Coolな雰囲気です! 焼き肉用の網付のテーブル席ゾーンと、バーやクラブにあるような背の高い丸テーブルのカクテル用ゾーンとに分けられた内装です。煙をもくもくさせてお肉を焼く、とうよりかは、丸テーブルゾーンでスツール椅子に腰を下ろして、お酒を飲んで語り合っているお洒落な地元人で混みあっています。外にあったメニューをチェックしてみると、価格設定もけっこう高めです。 結局、私たちは外から眺めるだけにしましたが、ジミーの熱く語っていた、そのクールな日本食バーレストランという意味は、確かに、合ってはいました。 日本の大定番であるお店が、この地域の特色や需要に合わせて形を変えて展開することもあるのだなと、興味深かかったです。 そして、個性の強かったジミーとの一期一会の出会い。 これぞ、観光地巡りを超えた、旅のよいところです。 |
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☆なでしこCA日記☆ No03 |
写真大好き |
結婚式でプロのカメラマンを雇うのは、日本でも一般的ですが、この国では大学の卒業式でも自分の晴れ姿を撮ってもらおうと、カメラマンを雇う人たちが少なくありません。街中では、観光客に並び一眼レフを抱えた人がたくさんいますし、飲食店でも、友だちとの会話もそっちのけで、スマートフォンで写真撮影している姿をよく見ます。 先日友人と飲食店で食事していると、一人で女性が来店してきました。 上目づかいで、可愛い表情を作ったり、食事と一緒に撮ったり、何度も撮り直し、撮影後は何事もなかったように、無表情に戻り、もくもくと食事を食べ帰っていきました。 この国の人たちは、自分が可愛く写っている写真や恋人とのツーショット写真を、恥ずかしげもなく、携帯電話やパソコンの待ち受け画面に貼り付けています。フェイスブックでは、完璧なアングルで、至近距離の自分撮り写真を、躊躇なしにしょっちゅうアップしています。 おそらく、そのおひとり様女性もフェイスブック用に撮影していたのでしょう。
日本でなら、有名人のブログくらいでしか見ないであろう、決め顔の自分撮り写真や、私服スナップがじゃんじゃんフェイスブックにアップされます。それを普通の娘たちがやっているのです。この国に住むようになって、最初のころは、けっこう驚きました。今となっては、まったく違和感がないから不思議なものです。 この国の人たちは、しょっちゅう写真撮りと関わっているためか、自分自身の綺麗な撮られ方をすごくよく知っているのです。人の写真を撮るのも上手な人が多いです。たまに機内で撮ってもらうのですが、「写真の勉強をしているの?」と聞きたくなるくらいみんな本当に上手で驚きます。 本国人CAたちは、機内での空き時間を、飲物片手にお喋りして過ごします。同時に、写真撮影会やお披露目会も、ギャレー内でしょっちゅう開催されます。ステイ中に、観光名所で撮影した写真を見せ合うのです。また仲良しCA同士でのフライトとなると、暇さえあればギャレーで、一緒に撮りまくっています。始めて一緒に乗務する日本人CAの私も、その仲良し組に誘われて、付き合いで一緒に撮るはめになります。その写真に、勝手に、ウサギの耳をつけるなどの編集して、知らぬ間にフェイスブックにアップされていたなんてこともあります。
結局は、自分が可愛いということなのか、という結論にも至りますが、ナルシストというのは万国共通。それを隠そうともしない、この国のそういうところが、楽に感じられて、私は好きです。 |
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☆なでしこCA日記☆ No02 |
単独行動が苦手 |
日本人の私は、本国人CAと違って、日本便しか乗務しません。したがって、私にとってのステイ先は日本になります。日本便のステイ時間は、大体1泊、ときどき2泊ステイできる時もあります。 私のステイ中の過ごし方は、関空便や名古屋便を乗務した際には、実家に帰ります。また、それぞれのフライト先にいる友人に会う、買い物に行く、美容院に行く、ホテルでのんびりする等です。同期と飛んだ際には、一緒にご飯を食べに行くこともあります。 さて、本国人CAはどうでしょうか。 世界中を飛び回っている彼女らにとって、日本ステイは、ご褒美のようなもの。本国人CAの日本でのメジャーな過ごし方は、私が知る限り、買い物とお寿司を食べることです。100円ショップも大好きです。 この航空会社で働き始めてとても驚いたのは、このステイ中、本国人CAたちが、必ず団体になって行動することです。 私たちはチームというものがなく、フライト毎にメンバーが変わるので、ほとんどのクルー同士が初顔合わせです。また、上司や先輩と一緒に出かけないといけないというようなルールはなく、いたって自由です。 私たち日本人CAは、母国ということもありますが、大体単独行動です。 本国人CAはというと、初めてフライトで顔を合わせた者同士で、ホテルにチェックイン後、待ち合わせ時間を決めて、食事、買い物、観光、みんなで行動開始です。 先日、仲の良い同期と一緒のフライトだったので、ステイ先ホテル近くの回転寿司屋さんで食事していたら、本国人CA総勢10名がぞろぞろと入ってきました。同じ便で乗務していて、その日のエコノミークラスを担当した全員でした。中には、元々カップルだという2人もいましたが、ほとんどが、その日初めて顔を合わせたという乗務員同士ばかり。
慣れていない国(日本ステイには慣れている))や、治安の悪い国で、みんなで行動するのならまだしも、この国の人たちは、どこでもいつでも、必ず誰かと行動します。単独行動が極端に苦手なのです。 10名の外国人がカウンターに座って、慣れた様子で食べている姿に、5年この国の人たちと仕事をしていても、さすがに驚きました。いくら団体行動が好きでも、まさか回転寿司屋さんに10名で来るとは・・・。 さて気を取り直して食後のお茶をしに隣のカフェへ。 以前、私が1人でステイ中ぶらぶらしている時に本国人CAにばったり会い、「食事一緒にしてあげようか、1人ですごく寂しいでしょ。気持ちわかるよ」とすごく気の毒そうに言われたことがあります。気心知れてない人と過ごすくらいなら、1人の方が気楽でいいという、私の考えは、この国の人たちにはあまり通じないようです。 |
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☆なでしこCA日記☆ No01 |
異文化経験 |
私の行動範囲はあまり広くはありません。電車で大体10〜20分のところに行くくらいです。それに、休みの日にときどき利用する程度です。それだけの短い区間を乗っているだけでも、この国の独特な文化を感じられるので、電車移動は好きです。
日本では、妊婦さん、怪我人、お年寄りの方々に優先して席を譲りますが、この国では、子どもたちにも優先して席を譲ります。 子どもといっても、乳幼児だけではなく、小学校低学年を超えた育ち盛りの丸々した子どもにも、大人が席を譲っているのを見ることがよくあります。以、前私の目の前に小学生くらいの子どもが立っていたのですが、そのまま譲らすに座っていたら、周りから、「なぜ席を変わってあげないの?」という目で見られました。 またある時、私がつり皮につかまり立っていたら、席を譲られたことがあります。しかも、初老の女性に・・・です。
何度か譲ってもらう経験をしていくうち、「荷物が重そうに見えたからか」、「無意識にしんどそうにしていたのか」、「もしくはヒールが大変そうに見えたからか」、自分なりに簡単な理由を考えてみましたが、結局この街に暮らしまもなく5年、なぜ初老・中年の女性が若い女性に席を譲るのか、その理由はいまだに分かりません。 さて、この高架鉄道も、日本と同じように通勤通学時間になると超満員になります。 日本では列を作って順番に乗り込みますが、この国では順番などおかまいなし。 日本ステイ中、電車に乗る際、ついつい前の人を抜かして乗り込もうとしてしまいそうになる自分が、最近恐いくらいです。 その他、常々おもしろく感じるのは、改札口からホームに上がる際、エスカレーターがあると、階段を利用する人はまずいないということです。日本ではエクササイズも兼ねて、あえて階段を利用する人も昨今では少なくないですが、こちらでは、私が階段を利用していると、「一体全体何があったの?」という不思議な目で、エスカレーター上からまじまじと見られます。 そのエスカレーターでも、日本のように片側に立ち、後ろから急いでいる人を通すということなどまずありません。そもそも“駆け込み”乗車をしている人を見たこともありません。駆け込み乗車どころか、逆に電車が来ているのが見えているのに、走ってまでそれに乗り込もうとする人もいません。 たまに、私が友人との約束時間に遅れそうになり慌てている時、前に立っている人に、通してもらおうと、真後ろに立って急いでいる素振りを見せても、まず気づいてもらえません。 最初のうちは、この国の人のおおらかすぎるところに困ったり、腹立たしく感じたりしたこともありました。でも、よく考えてみたら、それなりに成長している子どもに大人が席を譲ってあげる姿は、日本ではあまり見ないですね。子どもは厳しく躾けるのではなく、時には甘やかしてあげる。ましてや、妊婦さんでもない一般の女性に席を譲るなんて、日本では考えられないですが、この国の人たちはみんな優しいのです。 多少の遅刻を遅刻とまず思わない(笑)遅刻をされた方も、いちいち気にしない。だからみんな慌てていない。 エクササイズだと言って地味に階段を上ることなんてしない。痩せたければ、ダイエット薬を飲むか、お洒落なウェアを着てジムでのんびり走るものと考えているのです。解釈の仕方をポジティブにしてみると、なんてよい国なのだと思えます。 この気を張らなくてよい街で暮らしていると、自分も、少しだけ、前よりもおおらかになれたような気がします。 |
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