僕は出不精だ。できれば遠出をせず、会社のある五反田と自宅のある中央線沿線を粛々と往復していたい。それでいて旅には憧れがある。旅に出たい、でも、出たくない。
そんな僕を『高知家エクストリームトラベル社』が後押ししてくれるという。高知でうまいジビエ肉を食べまくるツアーにご招待いただいたのだ。
そうだ、旅に出よう。他人のお金で。
中高共に修学旅行のない学校だったので、正直これまでの人生で京都に行ったこともないんだけど、取材や出張は(他人のお金で旅ができるので)大好きです。誰かおれに京都企画をくれ〜〜〜!!!
— 朽木誠一郎 (@amanojerk) 2015, 12月 6
今回体験したのは『狩りガール!秋のべふ峡に全員集合!!』『都会女子におくる!女性のための美食ジビエバーベキュー』のふたつのツアー。
べふ峡(ツアー要項より)
景色と料理はたしかに出不精を連れ出す理由になる。しかし僕は狩りガールでも都会女子でもないのに大丈夫か、トマトを投げつけられたりしないだろうか。
大丈夫でした
羽田空港から高知龍馬空港までは約1時間30分ほど。航空券の値段は時期にもよるがおおよそこのくらい。週末の旅行には時間的にも金銭的にもほどよい。
空港ではツアーの送迎バスが待機してくれていて、ツアーは一路、べふ峡へ。土佐湾に注ぐ物部川の源流で、温泉も湧いている。高知市内からは車でさらに1時間30分ほど。
最高かよ
大きい写真でもどうぞ
来ちゃったぞ、旅に
高知には狩りガールが必要だ
派手なジャケットで周囲から浮いている
さっそくひとつめのツアー「狩りガール!秋のべふ峡に全員集合!!」がスタート。まずは猟師の杉本民雄さんに、高知におけるニホンジカの獣害についてお話を伺う。そもそもニホンジカとジビエがどう関係するのかピンと来なければこちらでご確認ください。
なんでも高知ではかつてニホンジカが乱獲で激減、絶滅の危機に瀕したことがあるらしく、行政が一時手厚く保護。その結果、1998には12,400頭だったニホンジカが、2015年現在には十数万頭にまでなってしまった。
国定公園の樹齢数百年の樹の皮を食べ尽くしてしまうなどの状況を受けて自然保護団体も駆除を認め、猟師さんには報奨金も支払われるなど、県を挙げてこの問題に取り組んでいるとのこと。なるほど、それで「狩りガール」か。
レクチャーはガチのやつ
しかしこれが不幸中の幸いと言うかなんと言うか、高知のシカ肉はうまいのだ。何で高知のシカがうまいのか、このあたりの詳細は次のツアーで説明することにして、まずは初日のバーベキューをいただきます!
はしゃぐオッサン
あと、この直後に橋のたもとに戻ったら物陰からテンパったサルがギャース!って叫びながら飛び出してきて死ぬほどビックリしました。
べふ峡温泉にはバーベキューの設備もバッチリあって、すぐ隣の山の中(レクチャーの場所)で獲れたシカの肉が食べられるんだとかおすすめはシカ肉の塩麹漬けとソーセージ、イノシシ肉もあるそうです。
前がシカ肉の塩麹漬け、右がイノシシ肉、奥がシカ肉のソーセージ、左が鶏肉
はい、よろこんでーーー!!!
しっかり火を通したら
ごはんにワンバウンドして
うまい!!!
よく言われるけど、新鮮なジビエ肉はまったく臭みがありません。それでいてずっしりと肉。肉を食っているというたしかな実感がある。噛み切れないとかじゃなくてむしろサクサクしていて、かつジューシー。うまい肉汁が口の中にじんわり浸透していく。
シカ肉は脂肪分が少なく、鉄分など女性にうれしい栄養素が豊富(このあたりが肉肉しさの理由かも)。イノシシ肉は逆に脂肪分が多いけど、ぜんぜんしつこくなくて、あまいあぶらの味がした。
じゃんじゃん焼くよ
僕は食いしん坊なので、この量でお腹が一杯になるかぜんぜん自信がなかったんだけど、どうやら目測を誤った。これはたらふく肉である。むしろそれ以上の肉量だ。隣の人にも手伝ってもらい、完食。
隣の男性はテレビ高知のスタッフさんで、同じく取材で来ていた。僕が執筆しているようなウェブメディアはご存知なかったけれど、テレビ高知では放映した番組をYouTubeにアップするなどしているそうだ。ちょっとずつ交じり合うインターネット。
放送はこちら(僕もちょっと映ってた)
ツアーガイドさんから夕食に有名なうるめ市場でカツオのタタキを食べるようにおすすめされて、市内に戻ります。
狩りガール!秋のべふ峡に全員集合!!
ツアー料金:4,000円(現地集合)/12,000円(送迎オプションあり)
高知での移動はレンタカーもおすすめだそうです。たしかに車があればべふ峡温泉でもゆっくり温泉に入れたし、道中には『アンパンマンミュージアム』なるものもあり(作者のやなせたかしさんは高知出身)寄ってみたかった。
肉だけじゃなくて魚も食べなさい
昇天寸前
ひろめ市場というのは高知市街にある商店街で、アーケードにたくさんの屋台が軒を連ねて営業するスタイル。高知市の台所として県内外から親しまれているそうです。食べログも3.5以上。都会のものさしでも安心。
営業時間はそんなに遅くまでやってない(22〜23時には閉まっちゃう)ので注意してください。不慣れな旅行に疲れて仮眠をとったらギリギリになった。ひろめ市場の中でどのお店がよいとかよくないとかは諸説あるようですが、僕はこのお店をチョイス。
ツアーガイドさんに教えてもらった
やいろ亭はひろめ市場の中でもかなり人気のお店で、カツオのタタキはここであればまちがいはないそうだ。そして高知では、カツオのタタキは塩で食べるのが常識らしい。塩ってすごくない?! それ、いい肉を食べるときのアドバイスじゃない?!?!?!
食べるけども
もうめちゃくちゃ美味しそうですよね。なんていうか、色からして上質な雰囲気だ。見かけが美味しさを保証してくれているのすごい。迷いなく口に運べる。
わさびもつけていただきます
ありのままの気持ちをお届けしています
カツオは本当はそんなに好きじゃなくて、それは特有の後味というか、ちょっと苦い(ような気がする)のが原因でしたが、それがない。泳いだ、お前はよく泳いだぞ、とカツオを褒めてあげたくなる赤身の魚の濃厚なタンパクが舌を直撃します。
塩タタキは1250円。他にもいろいろと美味しかったので以下、ざっくり紹介しておきます。ちなみに、ひろめ市場の飲み食いはプライベートなので、自腹です。
タレタタキ1350円
カツオの刺身
川エビの唐揚げ
店員さん曰く、常連さんの一番人気はこのカニクリームコロッケ
大きいのは顔か、餃子か
ひろめ市場はフードコートのようにテーブルと椅子をぐるっとお店が囲い、その中では旅行者だろうが地元民だろうが誰でも別け隔てなく仲良く酒を飲む文化だと聞いていて、それが実はちょっと気が重かった。僕は出不精だし、人見知りだ。
郷に入りては郷に従え、とはいえ、ひっそり静かに飲みたい……と思っていたら、できた。別に無理やり他のグループが話し掛けてくることもないし、落ち着いて飲めたので、そういうのが苦手でもひろめ市場は大丈夫です。
でも高知の人がお酒好きっていうのは本当らしい。「四国の人が1万円を拾ったら」という笑い話はおもしろくて、イケダハヤトさんもブログで言及しているのでそちらでご確認ください。
高知のジビエ肉がうまいと言われる理由
ふたつめのツアーが「都会女子におくる!女性のための美食ジビエバーベキュー」。こちらは“高知でもっとも予約が困難”と言われるジビエレストラン「ヌックスキッチン」オーナーの西村直子さんが監修・実際に調理もしてくれる。
西村さんは12年間ほどニュージーランドでジビエ肉を調理してきたが、高知のジビエ肉は本場を上回るうまさだったという。森林面積が広大でかつ水質のよい四万十川や仁淀川があるなど、高知はジビエにとっては理想的な環境だ。
また、「猟師の腕がよく、的確にシカやイノシシを仕留めること、仕留めた後処理も素早いことなども肉質を向上させている」(西村さん)。これが高知のジビエがうまいと言われる理由らしい。
前置きが長くなってしまったがそろそろ実食にしたい(おなかへってるから)。刮目せよ!
仔イノシシロース/シカモモ/シカレバー/仔イノシシお尻/イノシシバラ etc.
シカ串/シカ肉のハンバーグ etc.
シカアドボ/シカハツ etc.
ちがうよ?
本日のメイン! シカロースのグリル!!!
いつもより多目に回っています
昨日のジビエ肉はジビエ肉でうまかったが、こちらのツアーはより本気でジビエを味わうのにピッタリというか、シェフのもと綿密に計画されている印象だった。
バーベキューの途中で香川から来ているというご夫妻と仲良くなり、聞いてみればご夫妻のお目当ては西村さんで、通常は予約困難な西村さんの料理に裏口的にありつけるから、というのが参加理由らしい。そう思うとすごいぞ、エクストリームトラベル社。
ワインくれた。
参加者で談笑しながら焼き上がりを待つ。もちろん先程のお肉がメインだが、サイドメニューも充実しているのでご覧あれ。
シカ肉のホットドック
シカ肉のアヒージョ
感想ですが、「ああ、これはジビエ肉だからうまい料理なんだ」と思った。牛肉とか豚肉とかとまったく同格のジビエ肉。たとえが適切かはわからないけど、あえて鴨肉を食べることがあるじゃないですか、それと同じです。で、次第にお肉は焼けていって。
もうガマンできない!!!
オシャレなソースをつけて・・・
高知のジビエ肉、うまいよ
あまりのうまさになんと、東京からわざわざ西村さんの料理を目当てに訪れる客もいると聞いて、「本当に〜〜〜?」と斜に構えていたら、Facebookページに本当に僕の知人が何人かいいね!を押していてビックリした。本当だコレ、すいませんでした。
デザートまで充実
こりゃしばらく食事を節制しないとだな
ということで、全日程が終了! そのまま空港に直行して、夕方には東京に戻りました。思ってたよりぜんぜん遠くないぞ、高知。
都会女子におくる!女性のための美食ジビエバーベキュー
ツアー料金:大人 5,000円/小人 3,000円(小学6年生まで)
ヌックスキッチンのジビエ料理は、ぜひ一度みなさんに体験してみてほしいです。西村さんは世界60カ国を放浪した後、ニュージーランドで12年調理の修行をして、現在は地元でもある高知で「シカを資源に変える」取り組みをしている隠れたすごい人でした。
お土産はゆずポン酢がいいです
面倒くささを何かしらの理由で越えることができれば、日頃からちょっとずつ溜め込んでしまった心の重荷をいちどきに荷降ろしできるので、月並ではあるものの、やっぱり旅行っていいものです。
高知発の飛行機が羽田に到着して乗客が立ち上がりはじめたときに後ろの席の女性が「ハア〜〜〜アァ、ポン酢、重っ」て言ったのめちゃくちゃ笑った
— 朽木誠一郎 (@amanojerk) 2015, 11月 8
10箱くらい買ってた、業者かよ
高知はゆずの産地なので、お土産にはゆずポン酢はいかがでしょう。特に有名な馬路村では、他にも『ごっくん馬路村』っていう名前のゆずジュースなどが人気を博し、農協はなんと年商30億を売り上げているらしいので今度取材させてください。
また来たいぜ!(できれば取材で)
さいごになりますが、貴重な機会をくださいました高知県地産外商公社のみなさん、本当にありがとうございました。
[SPONSORED] 高知家エクストリームトラベル社
高知家エクストリームトラベル社では、“ここでしか実現できない、振り切ってる高知を体験できるツアーを提供しています。「日常ではなかなか味わえないヤバすぎる高知を、思う存分満喫してください!」(ホームページより)
現在受付中のツアーでは『城西館「とさ恋ツアー」かつおタタキ藁焼き体験&上町丼』がよさそうです。
文句なくうまそう