「3不社会」韓国の「3放世代」

経済界 / 2015年12月5日 15時0分



 さて、現在の韓国では「不公平、不安、不信」の「3不社会」だと言われる。
 第1に、貧富の格差である。韓国では、大企業と中小企業の賃金格差が100対40だという。歴代政権が、大企業優先の施策を採ってきたので、大きな格差が生まれたと考えられる。

 第2に、年金制度である。1988年に公的年金が導入された(当時、既に軍人・私学教員・公務員のための年金制度は存在していた)。原則、60歳以上に支給されるが、2013年から5年ごとに支給年齢が1歳ずつ上がる(2033年には65歳からの支給となる)。しかし、年金未加入者は40%以上にも及ぶという。

 また、日本と比べ、韓国の年金は1カ月平均4.4万円と低い(生活保護給付金4.7万円よりも劣る)。具体的な例を挙げてみよう。
 平均月収約23万円で、年金支払い年数が20年の場合、1カ月約2.3万円である。同額の月収で、年金の支払い年数が40年になっても2.9万円しか支給されない。
 平均月収約230万円でも、年金支払い年数が20年の場合、年金支給額は1カ月約5.4万円である。同額の月収で、年金支払い年数が40年でも、年金受給額は月額約10万円程度となっている。
 もし老後の蓄えがなければ、高齢者にとって生活は厳しいだろう。

 第3に、医療保険である。韓国の医療保険は支払い額が少ない。けれども、その分、自己負担の割合が大きい。大病院になるほど、自己負担率が3割から6割へと上昇する。したがって、病気・怪我で入院した際には、医療費が高額となるのを覚悟しなければならない。
 また、病気の早期発見に有益なCTスキャンやMRI等の検査は100%自己負担となる。そのため、一部の韓国人は病気が重くならないと病院へは行かない(ただ、がんなどの重篤な病気に限り、自己負担は軽くなる)。
 韓国の高齢者が病院へ行っても、青壮年と自己負担率は変わらない。したがって、高齢者には負担が重くのしかかる。

  結局、現代の韓国は、「3放世代」の若者はもとより、高齢者も生きづらい社会と言えるのではないだろうか。
 
 

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